義烏(イーウー)。上海から300キロも離れた辺鄙な場所に忽然と現れた、世界最大の卸売ゾーン! 日本からは雑貨商をはじめ、100円ショップの仕入れ担当が足しげく通う謎の町。100円で売るものを、一体幾らで仕入れているのか?

気にはなっていたが場所が場所だけに踏ん切りがつかず、はや構想三年──。今回、中国在住30年・中国人より中国語が上手な友人のA氏に誘われ、一泊二日の強行軍で憧れの聖地に向かったのでありました。

上海虹橋駅から義烏までは高速鉄道(新幹線)で約二時間半。ところが運悪く高速鉄道の切符がとれず、時間もないので駅の脇で客待ち中の白タクと怒鳴り合い、いざ、300キロのドライブがスタート。

運転手曰く「電車で行くのとかわんねえよ」とのことだったが、行けども行けども農村地帯。薄々感づいてはいたが、長旅になりそうな雰囲気である。

途中、運ちゃんはケータイで何やら電話をかけまくり、二時間ほど経ったところで突如、パーキングエリアに突入。駐車場の隅で謎のワンボックスカーが我々を待ち構えていた。

「売り飛ばされたみたいだな……」

A氏がつぶやいた。いわく、中国の長距離タクシーは文字通り客を「下請け」に売り飛ばす。先ほどの長電話は、下請けの白タクと我々の売値を交渉していたのだ。

半ば強制的に乗り換えさせられ、再び義烏目指してひた走る。運が悪いと二度、三度売り飛ばされることもあるそうだが、幸いにして今回は一度きり。なんとか無事に義烏の町に入ったのは出発から四時間あまり、午後一時過ぎだった。

しつこいようだが一泊二日。明日の朝には上海に戻らなければならない。閉店時間の五時まであと三時間ちょい。急げ! とばかり、アラブ人の運転するポルシェに轢き殺されそうになりながら、義烏最大の卸売市場「福田市場」に滑りこんだ。

この福田市場だけで中央区の半分近い広さ。四万店あまりの卸売問屋が集結している。四万店を三時間でチェックするには一軒あたり0.27秒のペースで巡回しなければならず、それは無理なので今回はジャンルを「玩具」に絞り、見て回ることにした。続きはまた来週!
(取材・文=クーロン黒沢

▼高速鉄道の切符が買えず、上海駅から白タクで杭州へ!

▼料金所。結構立派でした

▼料金所のおばさん、睨まれたので顔は撮れず

▼高速鉄道なら二時間半。車だと……四時間以上でしょうか

▼義烏で一番でかい、福田市場に着きました!

▼これが福田市場だ! 総工費1000億円、広さ130万平米、ここだけで4万店!

▼死ぬほどでかい。故にこういった商売も大繁盛

▼皆さん、とにかくお疲れの様子です