東芝のlbrettoシリーズは、いつでもどこでも手軽に持ち歩けるパソコンを目指したミニノートPCだ。熱狂的なモバイルユーザーの中には、新librettoの登場を心待ちにしていた人もいるが、2005年4月発売した「libretto U100 」以降は新モデルは登場していない。しかし、その沈黙がついに破られた。
東芝は2010年6月21日、ノートPC事業25周年にあたり、Windows ミニノートPC「libretto W100」を発表した。グランドプリンスホテル赤坂 五色の間にて報道関係者向けに開催された発表会において、株式会社 東芝 執行役上席常務デジタルプロダクツ&ネットワーク社長 深串 方彦 氏が「リブラーの皆さん、大変長らくお待たせいたしました」と語るほど、今回の「libretto W100」は、東芝の自信作だ。
最大の特長は、世界初の2画面タッチパネルを採用した点だ。本体に内蔵の加速度センサーが、パソコン本体の動きを感知して、画面表示の縦や横が自動的に切り替わる。また、2画面を大きな1画面にワンタッチで切り替えたり、向かい合ったどうしで逆向きに表示させることもできる。
キーボードは、ソフトウェアキーボードで、指でタッチすることで文字入力ができる。パソコンと同じキー配列のフルタイプのキーボードに加え、文字入力だけに機能を絞ったシンプルタイプや、スプリットタイプ、テンキータイプなど、目的にあったキーボードを表示させて、文字を入力できる。画面のキーを押したときに打鍵感を出すために、そのキーの部分を振動させる工夫も面白い。
さて、そんな「libretto W100」は、今までにないコンセプトのミニノートPCであるだけに、さまざまな用途が考えられる。東芝が想定しているのは、iPadに対抗した「ネット+電子ブック+パソコン」という使い方だろう。直観的な操作ができるという点で、「libretto W100」はiPadと同等だが、パソコンの機能が使える点で有利だという考え方だ。
しかし、パソコンの機能があるだけで、「libretto W100」はiPadに勝てるだろうか。
iPadは、必要最小限のプラットフォームを提供することで、逆に使い勝手を良くした端末であり、どちらかといえば、エンターテイメント性に特化している。「libretto W100」は、機能が高いぶん、それだけユーザーの要望も大きくなり、逆に欠点が露わとなる可能性も否めない。
「libretto W100」は、高機能な端末であるだけに、発売されてからのユーザーの使い方次第で、その存在意義が明らかとされるだろう。