【実録】インスタに「写真をお金にしませんか?」と怪しいメッセージが着た → 潜入した『スマホアフィリエイト説明会』の衝撃内容とは!?(2ページ目)

・第3章:「突き放す男」

説明会当日──。LINEには「今日の説明会には参加できますか?」と念押しのメッセージが届いていた。「大丈夫です」と返信をし、私は指定された都内の雑居ビルを目指す。

この時点で私は説明会を1対1、つまりマンツーマン形式だとイメージしていた。何かを買わせるつもりならタイマンの方が逃しにくい気がするし、何より向こうからは「スマホアフィリエイト説明会」というキーワードだけで、それ以上の情報を得られていなかったからだ。

だが雑居ビルの指定されたオフィスに到着して目を疑った。広い事務所は2つに区切られており、説明会が行われる片方のスペースにはすでに15人以上が着席、私は後方の席をギリギリで確保できたくらいの満員御礼だったからである。平日の14時に20代~50代くらいまでの男女がこんなに集まるだなんて……。

そこに登場したのは、超有名大学の経済学部を卒業したという28歳の男性、仮に名前を「桐島」としよう。桐島は涼しげな目元が印象的な、肉食よりは草食、熱いというよりはクールな男性で、結果的に説明会は桐島1人がすべてをこなしていた

ホワイトボードに「桐島」と書き込み、プロジェクターを利用しつつ始まった桐島のオンステージ。説明会は前半20分、後半60分の合計80分に及ぶ構成だという。桐島が「最初の20分で興味がわかなかったらお帰りいただいて結構です」と軽いジャブを放ち、いよいよゴングは鳴らされた。

桐島のしゃべり方は、ハキハキではなくどちらかというと淡々としていて、感情の抑揚もあまり感じられない。そして終盤まで突き通していたスタンスは、

「私は情報をお伝えするだけで、決めるのはみなさんです」


……というもの。「強引に何かを売りつけよう」とか「どうにかダマしてやろう」などという気配は感じず、むしろ情報だけを冷静に述べ「あとはみなさんの判断に任せます」といった雰囲気であった。突き放す男、それが桐島だ。


・第4章:「本当とウソ」

振り返ってみると、説明会は本当とウソが絶妙なバランスでブレンドされていた……っぽい。特に前半の20分はほとんどが本当のことで構成されていたような印象で、冒頭でアフェリエイト商材は「オンラインカジノ」であることが明かされた。

オンラインカジノ──。反射的に怪しいと感じる人もいるかもしれないが、実はアフィリエイト業界では有名な高収益商材である。一般的なアフィリエイトは商品が売れても数%が入って終わりだが、オンラインカジノは違う。プレイヤーが利用すれば何度でも売り上げの数%が入ってくるケースもあるからだ。

実際に私には、数年前からオンラインカジノのアフィリエイトに目を付け、相当な額を稼いでいる知人がいる。オンラインカジノならば、アフィリエイト商材として十分にあり得る話だ。

前半は桐島がオンラインカジノやカジノ文化について「いかに日本が遅れているか?」「どれだけ違法性がないか?」「どれだけ日本にポテンシャルがあるか?」などを淡々と述べていく。ニュースなどでも報じられる「IR法案」なども織り交ぜつつ、その内容には説得力があった

そして前半終了間際、桐島の口調がやや鋭くなり、こう告げた。

「はい、最後列の右側の男性。眠るんだったら帰っていただいて結構です。今日はみなさんの運命を変えるかもしれないビジネスチャンスです。どうですか、お聞きになってチャンスを掴みますか? それともお帰りになられますか?」


き、切れ味──。なんてエッジだ桐島。会場はイヤでもピリリとした空気になり、参加者のまなざしも真剣になったように思う。桐島が休憩を告げ、再度「興味がわかなかった方はお帰りになっても結構です」と口にしたが、席を立つ者はいなかった。


・第5章:「金のニオイ」

5分の休憩をはさみ始まった後半戦。いよいよ核心の「報酬プラン」について説明が始まった。相変わらずの淡々とした口調で説明を進める桐島だが「ん?」と引っかかる部分が出始めてきた。例えば以下のような内容である。

「自分が1円もお金を使わないで稼ぐって都合よくないですか? そんな人はとっくにビジネスで成功してますよね?」


そりゃそうだがという話だが、徐々に金のニオイが漂い始めてきたではないか。さらにアフィリエイトには「無料プラン」と「有料プラン」が存在し、有料プランの中にも「ビジネスクラス」と「ファーストクラス」があるという。

この段階から、それまでは冷静だった桐島の口調もわずかだが熱っぽくなってきた。クールな桐島には似つかわしくない「いま付けている時計はロレックスのデイトナ」「昨日までシンガポールにいた」……などの露骨な自慢話まで展開され始めたのだ。

さて「報酬プラン」だが、自分が親だとした場合、紹介者は子、その紹介者は孫……と続く典型的なネットワークビジネス型の報酬形式だと判明した。つまり、誰かにオンラインカジノをプレイさせればその数%が、そしてその人が誰かを紹介しても数%が自分の手元に入るといった仕組みである。

これが1段階で終わるなら一般的なアフィリエイトだ。だがこの商材は違う。最初にある程度の顧客を掴めば、あとはほぼ自動的に子が拡散していくという夢のようなプラン。“ティア” という聞きなれないランクも、シルバーからゴールド、ゴールドからプラチナとぐいぐい上がるらしい。

桐島は続ける、これで実際に多くの人が稼いでいると。マンションを3つ買った人もいると。自分も海外旅行に行きまくりだと。というかコレ……完全にネットワークビジネスですやんねずみ講ですやん……!

だがしかし、桐島はネットワークビジネスとの違いについて力説を始めた。おそらく桐島的にもその部分は最重要課題なのだろう、参加者の疑念を打ち消すことができれば桐島の勝ちなのだ。さあ来い、桐島……! 俺に「やってみたい」と思わせてみろ……!!

「ネットワークビジネスとの最大の違いは “有料プラン” の存在です。僕もやってたことあるんですけど、ネットワークビジネスって商品を売り続けないとランクが落ちて報酬も落ちるんですよね。

でもウチは違います、有料プランに入れば1度獲得したランクは一生保証されるんです。ファーストクラスは1回ポッキリの支払いで1550ユーロ、日本円にすると20万円くらいですね。たったの20万円で安定が保証されるなんて安くないですか?」


え……そっち!? 怪しさを打ち消すどころか怪しさ倍増じゃないか! ちょっと意味がわからなくなってきたが、桐島は矢継ぎ早にこう続けた。

「みなさんには毎月300ユーロを動かしてもらうだけです。カジノで買っても負けても構いません、300ユーロ分遊んでください。それだけで報酬が獲得できます」

「知り合いに物を売りつけるのってイヤじゃないですか? 僕はイヤです。でも今はネットで知らない人に商品を売れるんです、そして有料プランならそのノウハウを全てお教えします。このノウハウだけで数百万円の価値があると思いますよ」


話の節々に安定の「決めるのはみなさんです」というスタンスを打ち出しながら、桐島塾は刻々と進む。そしていよいよ終盤「みなさんはいくら稼ぎたいですか?」というパワーワードをきっかけに説明会は衝撃のフィナーレを迎えた

果たして、クールガイ桐島が発した熱きメッセージとは? 桐島の最終落としテクニックとは? そして後日ネットワークビジネス経験者に聞いた、この説明会の正体とは? 衝撃の結末は最終ページへGOだ!!

Report:P.K.サンジュン
イラスト:稲葉翔子
Photo:Wikimedia Commons , RocketNews24.