人生いろいろというように、ラーメンもいろいろ。塩、味噌、醤油、魚介……福岡なら「とんこつ」が有名だ。ただ、これまた「とんこつ」にもいろいろ。博多や久留米、長浜など地域によって味が違うものだが、県の最南端に位置する大牟田にも “珍味” のとんこつが存在する。

聞いたところによると、大牟田のラーメンは独自のルーツを持ち、近くの久留米や博多ではなく、まさかの岡山からもたらされたものだという。そして代表されるのが、「便所ラーメン」という凄まじいネーミングで呼ばれるラーメン……これは確かめてみねばなるまい!

・大牟田ラーメンとは

まずは簡単に大牟田ラーメンのことを説明しよう。大牟田の地にラーメンが誕生したのは、戦後間もない昭和24年。当時、石炭産業で沸く地に岡山から来た4人の男たちによってもたらされた。

国鉄大牟田駅(現JR大牟田駅)前で構えた屋台から始まり、徐々に定着。炭鉱で働いていた人たちの胃袋を満たしていたらしい。その特徴は太めの麺と濃い味とのことだが、便所とはこれいかに。

・謎仕様の便所ラーメン

てな訳で、わずかな情報を頼りに大牟田へ向かうと、交差点にたたずむラーメン店に到着した。その名も「光華園」。なんだか中華料理が出てきそうな名前だが、実際に出てくるのは「便所ラーメン」と呼ばれる一杯だということを忘れてはいけない。

しかし、店内に入って見渡しても「ラーメン」は1種類のみで、便所の「べ」の字さえ見当たらない。気になったのは、ラーメン1杯500円と安いのに餃子が500円と謎の高額仕様になっていたことくらいだろうか。とりあえず両方頼んでみた。

・クセのあるラーメン

どんなラーメンが出てくるのかドキドキしつつ、待つことしばし。ついに便所ラーメンと対面だ。お店の人に「これが便所ラーメンですか?」と質問するのも失礼な話なので、とりあえずは自分の舌を頼りに何が便所なのか確かめることにした。まずスープから一口飲んでみる。すると……!!

ほほぅ、かなりコッテリしたとんこつでパンチが効いている。これまで福岡県内にある数々のラーメンを食べてきたが、確かに珍しい味がする。クセがあり、これはラーメンから大牟田という「街のルーツ」を感じられるとでも言おうか。なかなか濃い!

おそらく、好みは分かれそうだが、好きな人はとことん好き。ダメな人はとことんダメという味で、個人的には濃いとんこつはイケる口なのでおいしくいただけた。あと結構なとんこつ臭だったので、そのあたりも好みが分かれるかもしれない。ちなみに、ここまで便所の謎は解明できていない。

・500円の餃子

それならと餃子で便所らしさを探ってみたが、個数は10個と多めなことくらいで他は至って普通。誰かに会うなら控えた方がいいくらいニンニクが効いているものの、味の方は問題なくウマかった。

・建物の横に公衆便所

……と、結局なぜ便所ラーメンなのか答えが見つからないまま、お店の外に出てしまったが、そこでようやく納得。建物の裏側に回ってみると、便所ラーメンと言われている理由が分かったのだった。そう!

なんと建物の横に公衆便所があったのだ。ちなみに地元の人に話を聞いたら、詳しくは「便所横ラーメン」との愛称で呼んでいるらしい。また、タクシーに乗る時でも、お店の名前を言うより便所横ラーメンの方が通じる……むしろお店の正式名称で通じないドライバーも多いのではとのことであった。

不名誉すぎるネーミングがついているも、地元で愛されていることが伝わってきた「光華園」。老舗とのことなので、大牟田という土地を訪れたならば、是が非でも食べておくことをオススメしたい。同市には世界遺産もあるので、観光で訪れた時に味わってみるのもいいかもしれない。もちろん、目的地を告げるなら「便所横ラーメン」で。

・今回ご紹介した店の詳細データ

店名 光華園
住所 福岡県大牟田市東新町1−5−15
時間 11:00~24:30
定休日 月曜(月曜が祝日の場合、火曜が休み)

Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.