長野県茅野市になんとも不思議な建築物がある。その名も「空飛ぶ泥舟」。

泥舟なのに空を飛ぶとは、これいかに。しかも、見た目はまるで巨大な繭(まゆ)のようで、地面から浮かんでいるという。

一体何のために造られたものなのか。気になって実際に足を運んでみたところ、驚いたことに、周辺にはほかにも個性的な建築物が点在していた。

なんだここは! まるでジブリの世界に迷い込んだような、不思議な光景が広がっていたのである。

・宙に浮かぶ「空飛ぶ泥舟」

向かったのは、長野県茅野市。のどかな風景が広がる場所に、その建築物はある。


それが、こちら!


……なんだこれは。


丸みを帯びた茶色い物体が、たしかに浮かんでいるようではないか。

こちらが「空飛ぶ泥舟」という名の茶室。建築家の藤森照信氏が手がけたもので、2010年に開催された展覧会に合わせて制作されたという。

なんでも藤森氏は、学生時代からとにかく宙に浮くものを造ってみたかったのだそう。つまり、長年の夢を形にした建築物というわけだ。

それにしても、宙に浮かべるものとして茶室を選ぶとは……。発想がぶっ飛んでいる!


でもそういうの嫌いじゃないぞ。


近づいてみると、建物はワイヤーによって宙に吊られていることがわかる。小さな入口らしきものもある。

内部は通常公開されていないが、特別なガイドツアーなどでは、はしごを使って中に入ることもできるそうだ。

こんな人気のない場所でもし中に入っている間にはしごを外されたら……なんて想像すると、考えただけでもゾッとするぜ。


・木の上にも茶室があった!

この周辺には「空飛ぶ泥舟」だけでなく、藤森氏が手がけたユニークな建築物がほかにもある。

そのひとつが「高過庵(たかすぎあん)」。名前からして、すでに何かがおかしいが、目の前に現れたのは、なんと2本の木の上に建てられた小さな茶室!

地面からずいぶん高い位置にあり、まるで子どもの頃に憧れた秘密基地のようだ。

それにしても、なんとも頼りなさそうな見た目である。いや、もちろん安全性を考えて設計されているのだろうが、下から見上げているだけでも少々ドキドキする。

ちなみに、こちらも実際に茶室として使われる建物だという。こんな場所でお茶を飲んだら、さぞかし特別な気分になれそうだ。


・今度は低すぎる茶室

そして、そのすぐ近くには「低過庵(ひくすぎあん)」という建築物もある。

高すぎる茶室の次は、低すぎる茶室。こちらはやや地面に埋まるように造られており、先ほどの高過庵とは正反対の姿をしている。

高いところに造ったり、低いところに造ったり、しまいには空に浮かべたり。茶室というものは、こんなにも自由でいいのか!

もちろん、いずれも単に奇抜なだけではなく、自然素材を生かした藤森氏ならではの建築作品らしい。


・もっと知られてもいい場所だと思う

周辺にはのどかな田園風景が広がり、そんな中に突如として現れる個性的な建築物。そのギャップがまた面白い。

訪れた日は、連休だったが、私たちのほかには、スケッチをしている外国人が1人いただけという穴場感もまたいい。でも、個人的にはもっと知られてもいいスポットだとも思った。

ちなみに、もし次に新しい茶室が造られるとしたら、もはや地中か水中くらいしか思いつかないなぁ……。

・今回訪れた施設の詳細

施設名 空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵
住所 長野県茅野市宮川389-1

参考リンク:茅野市HPブログ 空飛ぶ泥舟
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.

▼近くには、同じく藤森氏が設計した公民館もあり、こちらも合わせて外観を観察してみてほしい