先日、伊豆や箱根などに安くで泊まれる東京23区の保養所がある、という紹介記事を書いた。

保養所といっても普通のホテルや旅館とそこまで変わらない設備なのだが、1泊2食・温泉付きで格安で宿泊できるので利用しない手はない! また、そこの区民ではなくても泊まれる保養所もけっこうある。

というわけで今回は区民以外も利用できる、山梨県にある保養所「新宿区立区民健康村 グリーンヒル八ヶ岳」に実際に宿泊してみた! 予想以上に最高のホテルだったので全力でレポートしたい。


・東京ドーム7.5個分の敷地

山梨県北杜市にある「新宿区立区民健康村 グリーンヒル八ヶ岳」は、新宿区が1995年に建てた保養所である。

八ヶ岳の麓にあるのだが、驚くべきはその敷地の広さと施設の充実度。

なんと敷地は東京ドーム7.5個分もあるという。健康村というだけあって、スポーツ施設が充実していて、ホテルの他に、プールにジムにキャンプ場、テニスコート、体育館、パターゴルフ場にグラウンド、カラオケに茶室、花畑に森まである

これが公的機関とは。新宿区の税の力、すごいな……!


宿泊料が安い

部屋は洋室、和室のほか、森の中のコテージを選ぶこともできる(コテージの利用は2名以上)。

宿泊料は1泊2食つきで大人は6000円から、3〜12歳のこどもは3600円から。ちなみに大人+1500円、子供+1000円で新宿区民以外も宿泊可能である。めちゃくちゃ安いと思う。

ただし、1室1名利用だと1泊1万3000円からと料金が跳ね上がってしまったので、ファミリーや団体利用のほうがお得だと思う。トホホ、おひとりさまはつらいよ……。


・アクセスが便利

そして車の免許をもたない人間にとってありがたいのが、送迎バスが出ていること。

事前予約が必要だが、最寄りのJR長坂駅や、特急あずさが止まるJR小淵沢駅からホテルまでのバスが、けっこうな本数出ている! 新宿から特急あずさで約2時間。実は初めて山梨に行ったのだが、こんなに近いものとは思わなかった。

また、清里や小淵沢など近隣の観光地へ出るために、最寄り駅まで送ってくれる便もあってありがたい。


・実際に泊まってみると…

送迎バスに乗って10分ほどすると、グリーンヒル八ヶ岳の標識が出てくるのだが……どこまでいってもホテルの敷地。入口までけっこうな距離があるのでビックリする。

建物に着いて中に入ると、修学旅行やバスツアーで泊まるホテルのような趣があり懐かしい気分に。さすがに高級ホテルとまではいえないが、区立の施設にしては十分だと思う。

フロントの前は開放的なテラスになっていて、窓からは緑の芝と美しい八ヶ岳の景色が広がっている。まさに高原のホテルって感じだ。

館内は節電をしっかりしているようで、昼間は消灯されている場所が多いところや、独特のカラーリングデザインが公共施設という感じがする。90年代の建物ってこんな感じだったわ……。

私が泊まったのは洋室の2名部屋。部屋はかなり広くてキレイで、日当たりもよし。

旅館によくある、おもてなしの茶菓子が3品もあって地味に嬉しかった……。

客室にお風呂はないけど、トイレと洗面台がある。ホテルの部屋は乾燥が気になるけど、加湿器がちゃんと置いてあったり、健康を意識してかツボ押しセットが置いてあったりと、保養所なのに痒いところに手が届く。


・プール・温泉・ジムがある

館内には庭に面した温水プールがある。

夕食の前にプールで泳いだのだが、ここがめちゃくちゃ気持ちいい。

・大人用プール(3レーン)
・子供用プール
・打たせ湯
・寝湯
・ジャグジー2種
・ミストサウナ
・水風呂

と、なかなかの充実っぷり。

高い天井から日差しが差し込み、窓の外には緑が広がる。人もそこまで多くないので、ビート板を使ってバタ足したり、下手くそながらに平泳ぎをしたり。体が冷えたらミストサウナやジャグジーに入って、また泳いで……。水にぷかーんと浮かぶだけで、めちゃくちゃ癒やされる……。


・健康的すぎる夕飯

泳いでほどよく体が疲れたところで夕飯。レストランに行くと、平日にも関わらずめちゃくちゃ宿泊客が多いことに驚く。年配の方が多い印象だ。

夕食は和食で品数が多め。酢の物があったり、刺し身があったり、鍋物があったりと旅館の夕食のような感じ。メインを5品の中から選べるサービスも。

こんなに野菜や魚をたくさん食べるのは久しぶり。年配層を意識した味付けなのか、新宿区の「健康村」と銘打っているからか脂っこいものが少なく、品数が多くても食べ終わったあとに胃がもたれることもなかった。


・ジムに温泉…

館内には小さいながらもトレーニングルームがある。そこで軽く体を動かしてから、温泉に入ることに。

トレーニングマシンだけでなく、整体にあるようなリハビリ用のマシンもあった。

お待ちかねの温泉は小さいながらも本格的。

浴槽は水風呂以外すべて温泉になっている。

・普通の温度
・あつ湯
・露天風呂
・ドライサウナ
・水風呂

さらに、浴室の水道は飲めるようになっているのだが、キリッと冷えていて水が美味しい!

そして何がいいって、露天風呂である。夜は満天の星空が見えて、山を吹き抜けるひんやりとした風が心地いい。あまりに気持ちよすぎて、サウナと水風呂、露天風呂を何度も繰り返してしまった。そして、朝風呂は眼下に森の緑が広がり、遠くに雄大な南アルプスの山が見える。

温泉のおかげで、風呂から上がったあとも体はポカポカ。そこに八ヶ岳乳業のコーヒー牛乳を1杯。最高である。


・人間のあるべき姿を知る

館内は23時にフロントが閉まり、お風呂の利用も24時までなので、必然的に早寝になる。

ベッドに寝転びながら、私はひとりで感動していた。プールで泳いで、健康的な食事を食べて、ジムで体を動かして、温泉&サウナにゆっくり入って、露天で夜空を眺めて、日付が変わる前にベッドに入っている。

なんて……なんて……なんて健康的で充実した1日なのだ!! 人間の暮らしって本来、こうあるべきではないのか? 無頼の都・東京でのせわしない日常が嘘のように感じる。


・心地よい高原の朝

翌朝はパチっと早朝に目が覚めた。部屋のカーテンをあけると、目の前は緑。ベランダが広めなので、鳥のさえずりを聞きながら、ラジオ体操やストレッチもできる。

朝食はバイキング形式。

ホテルの中で焼いているというパンや、フルーツジュース、新鮮なサラダやハムをたっぷり食べた。和食系も山菜中心で充実していてヘルシー! 

そして朝食を食べたら、東京ドーム7.5個分という広大な敷地の中を森林浴。

なんと澄んだ空気と風なんだ……。うぐいすやヒヨドリなど、鳥のさえずり、そして遠くから牛の鳴く声も聞こえてくる。

これまで「空気がおいしい」という言葉を実感したことがほとんどなかったのだが、はじめてきれいな空気というものを感じたかもしれない。

「牧場の朝」という童謡や乳製品があるのも納得。牧場の朝、気持ちよすぎる……。温泉に入ったりプールに入ったりして、チェックアウトの11時ぎりぎりまで満喫した。

区が運営している施設なので、客室や食事は高級ホテルほどのラグジュアリーさはない。それでも、新宿から電車でたった2時間で、森、山、星、風、鳥のさえずりと大自然を感じられる場所はかなり貴重だと思う。

「グリーンヒル八ヶ岳」はめちゃくちゃリピーターが多いそうなのだが、納得である。1泊6000円からでこれが楽しめるなんて、天国じゃないか……。

敷地が広すぎて、1泊で全部の施設を見ることができなかったので、できれば1週間くらい滞在したい! 今度は友人たちを誘ってコテージに泊まったり、キャンプしてみたいなあ。


・予約がちょっとめんどくさい

ちなみに、予約はちょっとややこしい。まず新宿区民向けに3ヶ月前にハガキでの抽選申込みが始まる。2ヶ月前に残った分から、区外の人も予約可能となり、新宿区保養施設受付の電話して予約する。

くわしくは新宿区の施設利用・申込方法のページを参照してほしい。ちなみに空室情報も公開されていて、直前に空室が出ている場合もあるので要チェック。

しかし、予約の面倒さを差し引いても、心身ともに健康になれる素晴らしい場所なので、本気でオススメである! 私はまた絶対行きたいと思う。

参考リンク:グリーンヒル八ヶ岳新宿区HP
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
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▼徒歩10分のところにある「清春芸術村」がまたいいところなのだ!

▼「清春芸術村」には安藤忠雄の「光の美術館」や、岡本太郎の彫刻、茶室・徹という建物がある

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