
1999年7の月、天から恐怖の大王がやって来るだろう──。世紀末を狂騒へと駆り立てたノストラダムスの予言。今振り返っても90年代後半の終末感はなかなかで、子供であった私(中澤)は結構世界の終わりを考えていた。それは世界が滅亡せず普通に夏が過ぎ去った時、虚脱感を覚えるほどであった。
世界は空っぽ。そう実感した2000年は、ある意味1999年までとは違う自分のように感じた。確かに私の世界はあの時一旦終わったんだと思う。
だが、改めてノストラダムスの予言集の原典をAIで翻訳してみたところ、別に「世界が滅亡する」とは書いてないことに気づいた。むしろ、今見ると普通にその後がありそうな内容なのである。
・10章72番
予言集の原典が載っていたのは1975年にたま出版から出版されているノストラダムス研究本『ノストラダムス大予言原典―諸世紀 (仏和対訳)』だ。
ニューヨークのノストラダムス研究家ヘンリー・C・ロバーツさんが蒐集し1946年アメリカで出版した本を原本としているこの本。予言詩の原典と日本語訳と解説が載っている。
その『ノストラダムス大予言原典―諸世紀 (仏和対訳)』によると、最も有名な冒頭の詩はその10章72番に表記されている。原典として記載されているフランス語4行詩は以下の通りだ。
L’an mil neuf cens nonante neuf sept mois,
Du ciel viendra un grand Roy d’effrayeur,
Resusciter le grand Roy d’Angolmois,
Avant apres,Mars regner par bon heur.
・AI翻訳してみた
インターネットが今ほど定着してなかった1990年代当時、ノストラダムスの原典を読み解くなんてことはほぼ不可能だった。まず、フランス語を習える場所を探すところからというレベルである。
だが、今はネットどころかAIもある。これぞ、21世紀。そんな21世紀の力を持ってノストラダムスの原典を日本語訳した内容が以下の通り。
「1999年7の月
天から恐怖の偉大な王[恐怖の大王]がやって来るだろう
アンゴルモアの偉大な王を蘇らせる[生き返らせる]ために
その前後、マルス[軍神・火星]が幸運[良好な時]とともに治めるだろう」
・2026年の予言
1999年に感じていた破滅の雰囲気とは読後感が大分違う。天から来る王とかアンゴルモアの王とかマルスとか登場人物全般の意味は分からないけど、「前後」ってことは後があるってことだ。さらに言うと、最後4行目の内容はむしろ平和とか安心を感じさせる。
つまり、「滅亡しなかった=ノストラダムスの予言が外れた」ということではないとも言える。ノストラダムス、まだワンチャンあんで! そんなわけで海外メディアなどを中心に「2026年の予言」と囁かれている詩が以下の5つ。
・1章26番「大いなる雷」
Le grand du Fondre tomb d’heure diurne,
Mal & predit par porteur populaire,
Suivant presage tombe d’heure nocturne,
Conflict Rheims, Londres, Etrusque, Pestifere.
AI翻訳「大いなる雷(閃光)が昼の刻に落ちる、
民の伝達者により不吉と予言され、
続く前兆は夜の刻に落ちる。
ランス、ロンドン、エトルリアに紛争と疫病をもたらす。」
解説:大国の指導者に不測の事態が発生し、ヨーロッパで紛争とパンデミックの再来を暗示していると議論に。
・2章26番「ティチーノ川に血が流れる」
Pour la faveur que la cité fera,
Au grand qui tost perdra le champ de bataille,
Puis le sang Pau,Thesin versera,
De sang, feux, morts, noyez de coupe de taille.
AI翻訳「都市が施す好意によって、
戦場で間もなく敗れ去る大人物に対して。
やがてポー川やティチーノ川には血が流れ、
血と、炎と、死者、そして斬撃の刃に沈む者たち。」
解説:ポー川はイタリアを流れる川。ティチーノ川はスイスとイタリアに流れる川なので、その辺で戦争の予言か。
・4章26番「ミツバチの大群」
Lou grand cyssame le levera d’albelhos,
Que non sauran don,te signen ven guddos,
Denech I’embousq,sou gach sous las treilhos,
Cuitad trahido per cinq lengos non nudos.
AI翻訳「ミツバチの大群が舞い上がるだろう、
どこからやって来たのか、誰にも分からぬまま。
夜には待ち伏せ、葡萄棚の下で目を光らせる見張り、
隠された(むき出しでない)五つの言葉によって、街は裏切られる。」
解説:蜂の大群はトランプとプーチンでガザやロシアのウクライナ侵攻を暗示してるという見方がある。
・4章100番「7ヶ月の大戦争」
De feu celeste au Royal edifice,
Quand la lumiere du Mars deffaillira,
Sept mois grand’ Guerre, mort gent de malefice,
Rouen Eureux, au Roy ne faillira.
AI翻訳「天の火が王の建物(王宮)に降り注ぎ、
軍神マルス(火星)の光が陰るとき、
7ヶ月の大戦争が起こり、邪悪な者たちは死に絶え、
ルーアンとエヴルーは、王への忠誠を失わないだろう。」
解説:自らを無敵と信じる2人の頑固な指導者による新たな衝突を予言したものという説。なんか当てはまる人が2人どころじゃなさそうだが。
・7章26番「海上戦争」
Fustes galees autour de sept navires,
Sera livree une mortelle guerre;
Chef de Madrid, recevra coup de vires,
Deux eschapees & cinq menees a terre.
AI翻訳「7隻の船を取り囲むフスタ船とガレー船の間で
凄惨な死闘が繰り広げられるであろう
マドリードの指揮官は痛烈な矢弾の打撃を受け
2隻は脱出するも、5隻は陸へと追い詰められる」
解説:フスタ船・ガレー船は現代で言う水上自爆ドローンや無人艇(USV)、小型ミサイル艇。7隻の大型船は空母打撃群や主要な大型護衛艦(あるいは主要7カ国・G7の象徴)。2026年に海上で戦争が起こる予言という見方が2025年時点であった。
なお、BBCニュースによると、2026年9月26日トランプ大統領はイランのホルムズ海峡再開案を拒否したそうな。
・時代を作った4行
以上、ネット上でノストラダムスの2026年の予言と噂になっているもの5つを紹介した。上記を見ていただいたら分かると思うのだが、ノストラダムスの詩って基本的には詳細な時期が描写されていない。ケネディ暗殺とか第二次世界大戦関連の予言とされるものも同様だ。
そのため、解釈の幅が広くなってしまうんだけど、その中だからこそ、1999年7の月の予言だけは異常なピンポイントっぷりが際立っている。社会現象から27年経過した今だからこそ思うことかもしれないが、この一篇のキャッチーさは尋常じゃない。まるで他の詩が伏線になるかのように「ここです!」と言っているのだ。
まさしく時代を作った4行を書いたノストラダムス。あの世紀末は歯車が噛み合い、なるべくしてなったものだったのかもしれない。その運命的な力を考えると、予言もあながち無くはない気がしてくるのだが、まあ信じるか信じないかはあなた次第である。
参考リンク:Amazon、BBC、nottinghampost
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼7章26番が再解釈されているという
中澤星児










































