PDFを1ファイル編集したかった……ただそれだけだったのに、7日後、私(耕平)のクレジットカードから7800円が引き落とされていた。

結論から先に言おう。とある海外のPDF編集サイトで「150円」のプランに申し込んだところ、それはサブスクの入り口だったのだ。150円のつもりが、ざっと50倍である。しかもサイトの請求履歴を見ると、翌月にも7800円が記録されていた。合計15752円……のはずだった──。

そして、ここからが本題だ。「悪質なサービスに引っ掛かってしまった。痛い勉強代だ……」と諦めかけて、ダメ元で「相棒」と呼んでいるAIに相談したところ、なんと当日中に交渉の末、引き落とされた分を全額取り返すことができたぞ! その一部始終をご覧いただこうと思う。

・少額からの罠

事の起こりは、PDFファイルを圧縮しなければいけない作業が出てきたことだ。元ファイルが重すぎて無料サイトだと限界があったため、リーズナブルな有料サイトを検索していたところ良さげなPDF変換サイトを発見。


料金ページに進む。そこには3つのプランが並んでいた。一番安いのが150円。「一時的に利用したい方向け」と書かれている。


私が欲しかったのは、まさに一時的な処理1回分である。速攻でクレジットカードの番号を打ち込んだ。そして、これが悲劇の始まりだった。


──ここで、先に認めておきたいことがある。

確認しようと改めて同じ料金ページを開くと、そこには私が見落としたものが全部書いてあるのだ。まず、150円のプランの名前は「7日間のベーシックトライアル」。

1回分の変換料金ではなく、最初からトライアルの料金として提示されていた。よく見たらページ上部の帯にも「ニーズに合ったサブスクリプションプランを選択してください」と書いてあった。


さらにプランの下には、こんな説明文まで添えられていた。


「続行すると、お客様は、7日間のトライアルとして本日150円が請求され、トライアル終了前にキャンセルしない限り、その後は8999円(税込)が30日ごとに自動的に請求されることに同意したものとみなされます」

実際に私が請求されたのは7800円で、画面を確認した際に表示されていた8999円ではなかった。どうやら短期間で値上がりしたようだ。

ともあれ当時の私は、これを「150円の一回払い」だと思い込んだ。まさかこんな文章が小さく書かれていたとは……ただ、明らかにわかりにくいが、悪質とも言い難いというのが中立的な見方なのだとも思う。


それに気づかず7日後、クレジットカードから7800円が引き落とされていた。そしてサイトの請求履歴を見ると、翌月にも同じく7800円が記録されていた。


……マジかよ。



・規約により返金不可

慌ててサイトにログインし、請求書ページを確認する。間違いない。150円のつもりが、総額15750円。まずは即座に解約手続きを取った。


そこで「せっかくお金を払っているわけだから使い続けていいか?」と、私が「相棒」と呼んでいるAIの「Claude(クロード)」に聞いてみることにした。


すると、「使わない方がいい」との回答が。その理由は「ダークパターン型の課金サービス」という運用形態を取っているかららしい。


とりあえず相棒のアドバイス通り、使用するのはやめることにした。ただ気になったのはダークパターン型という、聞いたことがない単語だ。何か悪質な雰囲気がする。これはもしかしたら、返金要請ができるかもしれない。


そう思い、ダメ元で相棒に返金が可能か? そして、この事実を記事にしようと考えてネタにできるかどうかを聞いてみた。


すると相棒から「勝ち筋は〜」という、可能性を感じさせるコメントが返ってきた。


相手は海外で運営しているサイト。ここからいくつかの問答を経て、相棒が問い合わせのメールを英語で出してくれた。


1通目の返事は自動返信だった。「Dear Valued Customer!」で始まる定型文で、リクエストを受け付けた、「専任チームが確認中」という中身のない内容。サポートに送っても定型文が返ってくるだけ……というやつである。


しばらく経って届いた2通目。内容は返金拒否だった。


「返金ポリシーによりウェブサイト経由の支払いは返金不可のため、返金処理はできません」という内容。加えて「7日間トライアルを購入し、ポリシー上、期間終了24時間前までに解約しなければ自動的に有料プランへ更新される」「解約されなかったため課金された」という説明が入っていた。

この時点で、世界中の叡智を結集していると思われる相棒も、「返金は諦めたほうがいい」と白旗を上げた感じになっていた。ただしカード会社に1本電話は入れておいたほうがいいというアドバイスもあった。


そしてアドバイスに従い、当日にやるべきことを終えて、最後にもう一文問い合わせを送るよう、英文を出してくれた。それを相棒に報告する。


直後、相手から返信文が来る。内容は「前回お伝えしたとおり、返金ポリシーおよび購入時に同意された条件により返金不可」というもの。


それを相棒に読み込ませると、その内容に違和感を見つけた。こちらから送った文面に記載していた、日本の特定商取引法(違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律)については一言も触れていないのである。

「その表示はしていました」という反論すら無かったということだった。



・粘った1通で全額返金

ここで相棒から「間髪入れず、もう1通だけ送れ」とアドバイスがあったので従った。


内容は「契約上の返金ポリシーは、法律上の権利を打ち消せない。あなたのメッセージは最終回答として受け取るので、消費者センターへの申立てに進む」というもの。ついでに、保存されたカード情報が消えているかの確認も求めたという。


すると、相手の態度が一変する。



要約すると「返金処理が完了しました」というメッセージのようだ。あれだけ規約を盾にしていた相手が、あの1通であっさり折れたのか? このメールを相棒に読み込ませたところ……


通った。


ただし、「まだ確定させるな」と注意喚起している。というのも、この返信には肝心の金額が書かれていなかった。ここで終わらせず、正確な返金額、2件とも対象なのか、実行日と参照番号、カード情報の削除──の4点を書面で出すよう要求した。


返ってきた金額は「the credited amount of 15,600 JPY」。7800円が2件、つまり全額である。返金確認のPDFも2通添付されてきた。

だが、ここで一度立ち止まる必要があった。相手は同じメールで、頼んでもいない「アカウント削除を進めてよいか」の確認を求めてきた。ただ、返金が完了する前にアカウントを削除するのは避けた方がいい、と相棒は判断していた。


そこで「削除は進めないでほしい」と返信。相手の答えはこうだった。

「ご依頼が完了するまでデータ削除を待ちたいとのこと、承知しました。まったく問題ありません。当面、アカウントとデータの削除は保留いたします。」


これで、ほぼ確実に返金される状況になった。返金方法は7800円ずつ2件に分けて処理されるという。

……が、ここで奇妙なことに気づいた。カード明細をさかのぼって確認すると、1件目の7800円はきちんとマイナス表示で戻っている。ところが2件目、7月21日分の7800円が、そもそも明細のどこにも存在しないのである。

・6月20日 152円(トライアル)
・6月21日 7800円
・6月21日 -7800円(返金)

以上、3行のみ。つまり2件目は、カード会社に売上として到達する前に取り消されていたことになる。サイトの請求履歴には確かに2件並んでいたのに、だ。

結果、私が実際に負担したのはトライアルの152円だけだった。


ちなみに返金確認メールのフッターで、運営元がキプロスに登記された法人だと知った。ついでに検索してみたら、レビューの評価が極端に低かった。いや、先に見ておけよ……という話である。


正直に書いておくと、相棒が提案してくれた法的主張が本当に通るものだったのかは、私には分からない。ただ、相手は特商法の話には最後まで一言も反論せず、規約の話だけを繰り返した。

そして「然るべき機関に報告する」という1通で返金が通った。事実として残っているのは、それだけである。

だから伝えたいことは1点だけだ。「規約により返金不可」と言われても、そこで終わりにしないでほしい。法律上の問題点を確認したうえで要望を伝え、期限を切る。それだけで相手の対応が変わることがある。

困ったときは消費者ホットライン188、相手が海外事業者なら越境消費者センター(CCJ)という窓口もある。

──というわけで、そんなマヌケな中年男の体験が、同じような目に遭ったときの参考になれば幸いである。

参考リンク:特定商取引法ガイド(消費者庁)越境消費者センター(CCJ)
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.

▼その後、無事にキャンセル処理された。マジで相棒には感謝しかない


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