「これだけいたら、自分家の子がわからなくなったりしない?」昔、犬種別のドッグオフ会のチラシを眺めながら、友人がそう言ったことがある。自分家の子は特別。というか、同じ犬種でもそれぞれ表情や特徴が違っているもので「見分けるのは余裕だよ」と返した覚えがある。

それから月日が流れ、あの時の自分に説教したくなる出来事があった。実在する25匹の黒猫の写真のみで作られたカードゲーム『黒猫あわせ』で神経衰弱に挑戦したのだが、これがまあ大変。よその子を見分けるというのは、かくも難しいものかと痛感させられた次第である。

・個体差を見分けるゲーム

『黒猫あわせ』は『THE AWASE』という、カードゲームシリーズのひとつ。黒猫のほか『ポメあわせ』や『ハチワレあわせ』などもあるが、いずれにも実在する犬や猫の顔写真がカードにプリントされており、その個体の違いを見分けるゲームだ。同じ顔写真で、背景色が白色と薄色の2枚、セットになっている。

トランプと同じような作りでありながら、カードに数字は記載されていない。つまり手掛かりになるのは写真のみ。さまざまな遊び方ができるが、公式では神経衰弱を最も推奨しているようだ。

『黒猫あわせ』に登場する黒猫たちは、保護猫出身の子がほとんど。売り上げの一部は保護犬猫団体へ寄付されるそうで、ひと箱税込1980円だ。大人気商品であるため、注文から到着までしばらく時間がかかる場合もあるという。これは絶対盛り上がるぞと、さっそく購入し、友人とやってみることにした。



・並べた瞬間から混乱

友人に『黒猫あわせ』を見せると、すぐさま「可愛い!」と歓声が上がった。そう、プリントされている猫たちを眺めるだけでも最高のカードなのだ。登場する猫たちの一覧が同封されていたので、まずはみんなでそれを眺めてみる。

首輪をつけている子やモフっとしている子にシュッとしている子、目の色も違うしさくら猫もいる。「これは意外といけちゃうんじゃない?」そんなことを言いながら、カードを机の上に並べた瞬間、我々一同は愕然(がくぜん)とした。

カードの表面に25匹の猫がプリントされているのだが、そのせいだろうか、どれがどれだかプレイする前から混乱させられるのだ。怯みながらも、やってみようとじゃんけんで勝った人から時計回りにカードをめくっていく。

はじめは場所を覚えるだけでいいだろうと気楽に裏返したはいいが、「ん? この子とこの子は、違う子かな??」とさっそく手が止まる。違うような気がするが、同じと言われれば同じであるような気がしてくるから不思議。これは……激ムズである。

不安な気持ちになりながら、カードを伏せる。そうしている間に友人がまたカードをめくるが、2週目あたりですでにどれがどれだかわからない。終いには勝ち負けを度外視して「これ、どこかで見たよね。どこにあったっけ」と、全員で相談し始める始末だ。



・いつになったら終わるのか?

そうこうしているうちに、なんとか数枚ずつペアを見つけられるようになってきた。いずれの黒猫も可愛いが、手元にやって来た黒猫たちには一層、愛着が沸く。しかし依然としてペースは遅く、いつになったら終わるんだろうと思い始めたその時。

友人のひとりがコツをつかんだのか、数回連続でペアを引き当てた。もうこのままいっそ、最後までめくってくれ……! そう思ったのは記者だけではないらしく、もうひとりの友人も「一気にいっちゃって!」と声をかけていた。

楽しいし可愛い、それには違いないのだが、こんなにも一刻も早い終わりを願った神経衰弱は生まれてはじめてかもしれない。それほどまでに、困難なカードゲームだったのだ。

はじめてから、えらく長く感じたが、時計を見ると実際には40~50分だったろうか。ようやく全てのカードをめくることが出来た。3人でチャレンジしたが、記者の手元に来てくれたのはわずか5組の黒猫だけだった。

その日は割と涼しい日だったが、終わってみればジワリと汗が。こんなにも集中力を使ったのは何年ぶりだろう。神経衰弱という名前の由来を身をもって感じた次第である。

しばらくはカードを眺めるのみにして、衰弱した神経を労わりたいところであるが、気力が戻った暁には再びリベンジしてみたい。

参考リンク:黒猫あわせ
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.