池袋西口北側のチャイナタウン化は有名だが、隣の大塚でミャンマー街化が進んでいることはご存知だろうか? 池袋とはまた違った文化の風を感じる大塚駅前。商店街を歩いていると、アジア・ミャンマー食料品店に出くわした。

その名も『MM-Mart』。コンビニみたいなコンパクトさで、どんな商品が売ってるのか気になったのでフラッと入って見てみたところ、「りょくちゃ」という商品が。え? 緑茶? と思いきや、知ってる緑茶と違いすぎた。

・緑茶の概念を覆す「りょくちゃ」

入口のところのドリンクケースにあったその商品の名前は「Nü GREENTEA(税込162円)」。他のドリンクは基本日本語の記載がないのに対し、この商品だけパッケージに日本語で「りょくちゃ」と書かれていたため目を引かれたわけだ。だがしかし……


全く緑ではない。

パッと見でも中身が紅茶みたいな色であることが分かった。日本人的な価値観で言わせてもらうと、緑茶の概念を根底から覆すドリンクと言える。「じゃあ何をもって緑茶とするのか?」と思わずにはいられない。

・綾鷹と飲み比べてみた

ひょっとして味だろうか? 飲んでみたら渋みのある緑茶の味がするのだろうか? そこで購入して中身を確認してみることに。まずは改めて色をチェックした。コップに移して綾鷹と並べてみると……

やっぱり明らかに緑茶よりも紅い。伊藤園の公式サイトによると、緑茶も紅茶も同じ茶葉から作られていて色の違いは発酵の度合いの違いであるようなので、この見た目でも味は緑茶だから「りょくちゃ」としているんだろうか? そこで「りょくちゃ」を飲んでみたところ……


甘い……!

甘すぎて思わず笑ってしまった。べっこう飴『純露』に入ってる紅茶キャンディを溶かしたみたいな味してる。飲み比べるまでもなく別物なのだが、念のため、綾鷹と飲み比べてみたところ……

甘いだけじゃなく、香りも全然違うことが判明。「りょくちゃ」は飲んでる時の香りがチャイみたいだ。これはこれでエキゾチックな美味しさがあるけど、緑茶という意味ではもはや共通点を見つける方が難しいレベルであった。

・インドネシア人に話を聞いてみた

なお、裏の原材料を見てみたところ、緑茶エキスが入っているようだ。原産国はインドネシアなので、どうやらインドネシアの商品のようである。

インドネシアで「りょくちゃ」と言えばこれが普通なのだろうか? なにせ大塚のミャンマー・アジア食料品店で入手したものゆえ、現地では飛び道具的な商品である可能性も否定できない。そこで生粋のインドネシア人である当サイトのアキル記者に本商品について聞いてみたところ……

アキル記者「『Nü green tea』はどこにでもあるくらい有名ですよ! ペットボトル茶の中で高い部類に入りますが(他の商品は4000ルピアぐらい、こちらは6000ルピア)全部すごく甘いですよ」


──日本人的には緑茶って渋みなんだけど、渋みのあるお茶ってないの?


アキル記者「あるにはありますが、全部日本から輸入した物ばかりですね。麦茶だったり、烏龍茶だったり。でも値段が高いし(日本と同じ価格、インドネシアだったらそれでご飯一食分食べれます)、インドネシアの舌には合わないのでそこまで飲まれてないです。

インドネシアのお茶で渋みのあるペットボトル茶は無いですね。砂糖無しの紅茶ならレストランとか食堂で頼めるんですけど、ペットボトルは無いと思います。インドネシアでは、ペットボトルのアイスティーといえばこういった甘ったるいモノが主流で、紅茶でも緑茶でも変わりません


──とのことだった。どうやら、インドネシアの緑茶はこの味ということで間違いないようである。

インドのカレーと日本のカレー以上に違った日本の緑茶とインドネシアの「りょくちゃ」。ガラパゴス進化めいたものを感じたけれど、農林水産省によると、日本の緑茶の発祥は平安時代に遣唐使が唐から持ち帰ったことが由来とされている。つまり、どちらがガラパゴスかは分からない。あるいはどちらもか。

「和の心」と呼ばれるほど疑いようのない存在となっている日本の緑茶だが、進む道が違えば緑じゃなかったかもしれない──そう考えると、ルートが分岐した未来みたいな面白みがある。緑茶で感じる世界線のズレ。飲めば飲むほど文化の違いを感じたのであった。

・今回紹介した店舗の情報

店名 MM-Mart 北大塚店
住所 東京都豊島区北大塚3丁目32−3
営業時間 11:00~24:00
定休日 無休

参考リンク:農林水産省伊藤園
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼インドネシアの「りょくちゃ」

▼共通点を探す方が難しいレベル