先日、アフガニスタン大使館に行ってきたことを記事にしたが、一つだけ詳しくお伝えしていなかったことがある。それは……

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> 出されたお茶がめっちゃ美味かった! <
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味わい深いとか、良い茶葉だとか、そういうツウぶった話ではない。今までに飲んだことのない味で、それが最高に美味かったのだ。大使館ではプレゼンを受けていたのだが、お茶のことが気になって集中できない! なんとかレシピを明らかにするしかねぇ! ということで、実際に明らかにしたので紹介するぞ

・見た目は普通

問題のお茶は、ホットで提供された。見た感じ普通の緑茶っぽい色なのだが、どうにも香りが爽やかなレモンを髣髴(ほうふつ)とさせるのだ。飲んでみても、これと言ってはっきりした味がするわけではない。


ジュースの類とは違い、液体そのものの味というよりは、香りを楽しむ感じだ。底に緑茶っぽい沈殿物があるが、ケミカルな何かが入っている様子はない。ナチュラルに爽やかなホットティー。やっぱりレモンかなぁ? いや、なんだかエルダーフラワーに似ていなくもないし、なんならちょっと生姜っぽい気もする。

正直さっぱりわからん。わからないのだが、とにかく美味い……あ、お兄さんおかわり下さい。


・フレーバーの秘密はカルダモン

一人でお茶について思考をめぐらせていたところ、機を見て来場者のマダムが大使館職員のイケイケな司会者、アシュラフ・バブリ氏に質問を投げかけた。

マダム「このお茶、とても美味しいのだけれど、なんのお茶かしら?」

ナイスマダム! それめっちゃ気になってたんや! 気になっていたのは筆者だけではなかったようで、他の来場者も頷(うなず)いている。好奇心全開な来場者を前に、バブリ氏は満足そうな表情を浮かべる。

ちなみに、忙しい方のためにここで先に答えを述べると、普通の緑茶にカルダモンをお好みでぶち込めばOKだ! だが、実際にこの答えを得るまでに、以下のような突然のアフガンクイズを乗り越える必要があった。


・唐突に始まるクイズ

バブリ氏「ンッンー♪ ソレデハ……クイズニシマショウ! ミナサン、ワカリマスカァ~?」

コイツめっ! 俺たちが好奇心を抑えられないのをわかっていて、お預けプレイしてやがるッ!! だがここはバブリ氏に乗せられるしかない。答えについては、来場者たちも筆者と同じような推測をしていたようだ。シトラスや、生姜など、それっぽいフレーバーの名前が次々に挙がる。果たして正解は……?

バブリ氏「ンッンー♪ チガイマスネ~」

どうやら全て間違っているようだ。バブリ氏は最高に嬉しそうである。こうなると我々にできることは限られてくる。バブリ氏の口から真相が明かされることを期待するほかない。

バブリ氏「ジツハコノオチャハ……」

バブリ氏「ニホンノオチャデース!」

は? こんなお茶知らんけど? 来場者からも「何のお茶?」と、ささやく声が聞こえる。こんな日本のお茶に心当たりはない。なんならジュースの類にもない。どういうことだろうか?

バブリ氏「カルダモンガハイッテマース」

・茶葉にカルダモンを混ぜる

カルダモン? カルダモンといわれてもどんな風味なのかピンと来ない。しかし先ほどのマダムは納得したように頷いている。他にも「なるほど」とつぶやいている方も。バブリ氏の補足によると、どうやらアフガニスタンではお茶にカルダモンを入れるのがメジャーなのだそうだ。

種子の状態のカルダモンを自分である程度砕き、それを茶葉に混ぜてお湯を注ぐ感じで作るのだとか。わざわざ砕くのがダルい場合は、最初から粉になっているのをふりかけても良いらしい。作り方や分量はぶっちゃけ適当な様子。重要なのはカルダモンの香りがお茶についていることであって、そのプロセスは何でもいいのだろう。

カルダモンのほかにも、アニスやシナモンなど、とにかく色んなスパイスを好みでお茶にぶち込んで飲むのがアフガンスタイルなようだ。


・大使館スタイルはまさかのおーいお茶

そんなこんなでプレゼンが終了。皆で屋上に行こうというところで、来場者も大使館職員も皆いなくなり筆者は一瞬フリーに。このチャンスにホール全体の写真も撮っておこう。ふと部屋の隅に目を向けると、お茶を作っていたと思われる材料と道具一式を発見

そういえば、カルダモンということはわかったものの、結局なんのお茶なのかは不明。もしかしたら他にも何か隠し味とかあるかもしれない。大使館の極秘レシピを盗み出す絶好のチャンスだ。素早く近づくと、ポットの前にはカルダモンの小瓶が!

これは……マスコットフーズのカルダモンパウダー! Amazonだと400円くらいで売られているやつだ!! ちなみに、種子がそのまま瓶詰めされているバージョンも500円くらいで売られている。最初からパウダーなのは労力と経費削減だろうか。

おや? よく見るとポットの後ろにお茶の箱がある。「ニホンノオチャ」とか言っていたが、これは……




\おーいお茶/ (^q^)


全く嘘偽りなく、日本のお茶にカルダモンのパウダーをぶち込んだだけだった様子。まじかー、それだけであんな未知の味になるのか。ということで皆さん、以下のものがガチなアフガニスタン人による、アフガンスタイルのお茶の材料です。駐日大使館で発見した情報なのでオフィシャル度は高いと思われます。

1.伊藤園 おーいお茶 プレミアムティーバッグ
2.マスコット カルダモンパウダー
3.お湯


・アイス版は微妙

ちなみに、筆者もレシピを参考に家で作ってみたら興味深いことが発覚したので、もうしばしお付き合いいただきたい。大使館ではホットだったが、なんとなくレモンっぽい風味的にアイスもいけそうな気がしたので試してみたのだ。材料は、近所のスーパー購入したペットボトルのおーいお茶と、S&Bのカルダモンパウダー。


お茶をグラスに注いで、カルダモンをどばぁー!!


……


ナンカチガウ……


完全に失敗である。大使館で飲んだあの驚きの美味さは片鱗も感じない。別にまずくはないのだが、粉っぽい微妙なお茶である。こんなのが出てきたら、あのマダムも別の意味で何のお茶か問いただしただろう

やはりホットがいいのだろうか? 仕方が無いのでお茶を沸騰させ、ホット緑茶にカルダモンをどばぁー!!


あっ、これやこれ! カルダモンは雑にぶち込んだだけで、このお茶もペットボトルの残りをフライパンで沸騰させたシロモノというアバウトさ。しかし、カルダモンと緑茶が混ざって生まれた謎の爽やかな香りは、大使館で飲んだものとそう変らない。

まあ大使館でのやり取りから、アフガニスタン人的にも分量や製法は適当でよさそうな感じだったし構わないだろう。めちゃくちゃ手軽に、普通のお茶で新鮮な体験ができる。個人的にはテイストも好みだ。

ということで、アイスだとイマイチだったが、ホットならカルダモンさえあればその辺のどんな緑茶でもいけると思われる、アフガンスタイルのスパイス緑茶。皆さんも是非家で試してみて欲しい!

参考リンク:おーいお茶カルダモンパウダーカルダモン
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

駐日アフガニスタン大使館訪問記はこちら

▼こちらが大使館内のお茶作成現場。これを明らかにしたメディアは恐らく世界初。今後はアフガン入りして前代未聞の写真を撮ったライターを自称していこう。