日暮里駅構内に、「よりみちまっぷ」と呼ばれる少し特殊なガチャが設置されている。中に入っているのはおもちゃではなく、街歩き用のマップだ。

どうやら日暮里の街歩きをテーマにした企画らしい。ほう……。なかなか面白そうな企画じゃねえか。

ということで、実際に回してみることにした。今回はその様子をレポートしていきたい。

・「よりみちまっぷ」とは

JR日暮里駅構内にある「ecute日暮里」に設置されているカプセルトイ(ガチャガチャ)で、「まちまち眼鏡店」が企画した街歩きプロジェクトだ。


ガチャの中には、日暮里駅から谷根千方面へ向かうコースが描かれた街歩きマップが入っている。地元の人しか知らなさそうな「一本道」をたどる内容が中心のようだ。

さらにゴール地点のお店で何かと交換できる「引換券」まで付いてくるという、参加型のお楽しみ企画である。

時間帯別に、お昼向けの「デイまっぷ(13:00〜18:00)」と、夜向けの「イブニングまっぷ(17:00〜21:00)」が用意され、それぞれ4種類、合計8種類もあるようだ。

どうやら人気の企画らしく、私が訪れた時にはデイまっぷはすでに入荷待ち。今回は迷う余地なく「イブニングまっぷ」を選ぶことになった。


・さっそく回してみよう


100円を投入して


ガチャを回す!


出てきたのは……


酔いの坂下り! 小さな酒処をめぐる谷中道


Barから始まり、小物屋に立ち寄り、日本酒を嗜み、最終的にまたBarで締めるという3軒のBarをハシゴする構成。文字面だけで楽しい。これは当たりではないだろうか。くぅ〜! テンション上がってきたぁ〜‼︎


・街歩きスタート!

ということで、日暮里駅西口からスタート。


まっぷに従い、まずは上り坂をえっちらおっちら登る。


静かな住宅街を抜け、石材屋さんの角を曲がった先に一軒目があるはずだ。


あった! 記念すべき第1軒目「Bar 星くず」‼︎


こちらはシティポップを中心としたレコード音楽と、お酒をカジュアルに楽しめるミュージックバーとのこと。いきなり贅沢すぎでは? まずはここで一杯ひっかけるぞ〜‼︎


ところが……。


この日は通常営業ではなかったようで、残念ながら入店することができなかった。


・なんてこったい

いきなりの企画倒れ感があるが無理もない。

訪れたのは2025年12月27日。年末ど真ん中である。営業していない理由としては満点だ。


はい、こういうこともあります。気を取り直して、先に進もう。


数メートル進んだ先に2軒目である「BOHEME PLUS BEAUDESSIN」を発見。


こちらは革製品を中心としたバッグや小物が並ぶデザインショップで、店主の生嶋さんがお一人で営まれている。


店内には丁寧につくられた上質なアイテムがずらりと並び、見ているだけで楽しい。


お話を伺うと、40年以上前からレザークラフトやアパレル制作を続けてきたそうで、60歳のタイミングで日暮里にお店を構えたとのこと。

さらに離れにはプレハブ小屋があり、そちらではアパレル商品を中心に販売しているという。

そして驚くべきことに、生嶋さんは現在68歳。忖度抜きで若々しく、普通に年齢を聞き返した。

お酒もお好きとのことで、おすすめの酒場を教えていただくなど、終始穏やかで心地よい時間だった。最後には一緒に写真も撮っていただき、すっかり癒された気持ちで店を後にする。


さて、次の目的地は日本酒Bar「酒魂(shu-kon)」。


「日本酒に料理を合わせる」という逆転の発想をコンセプトにした隠れ家的な日本酒バーで、2023年にオープンしたお店らしい。最高か! やっと酒が飲めるぞ〜‼︎


ところが……である。


こちらもまさかの貸切営業。無情にも入店できなかった。


・神は無慈悲

まさかの2店舗連続入店不可である。どういうことだってばよ。


しかしこれが年末。完全に私のタイミングが悪い。

悔しさを噛み締めつつ、ゴール地点である「清太郎」方面へ向かっていると、突如として目の前に現れた「CRAFT BEER」の看板。


私の手元のよりみちまっぷには載っていなかったが、ええい、行くっきゃねえ。これぞ本当の「よりみち」じゃ〜!


入店したのは「BUZZED LAMB BREWING」。築100年超の古民家(元酒屋)を改装したマイクロブルワリーで、併設の醸造所で造られたクラフトビールを最大6タップ楽しめる。


今回は「Ariesの秘薬(Regular 900円)」と「麦とライス(Regular 800円)」を注文。

おつまみには「3点盛り(1600円)」で「4種のキノコのハーブマリネ」「砂ぎものコンフィ」「枝豆とヤングコーンの香ばし醤油」を選択した。

Ariesの秘薬」は柑橘系のトロピカルさがあり飲みやすい。


麦とライス」は苦味控えめで、米の旨みがふんわり感じられる。


3点盛り」はどれも丁寧に仕込まれていて、クラフトビールのつまみとして申し分ない完成度だった。


そしてここでなんと偶然にも、「よりみちまっぷ」の生みの親である「まちまち眼鏡店」の担当者:藤原さんに遭遇。笑顔が印象的で、こちらの話にも気さくに耳を傾けてくれる物腰の柔らかい方だった。記念撮影をしていただき、お店を後にする。


ほんのりいい気分でゴール地点「清太郎」に向かう。

こちらは豊富な日本酒と料理が楽しめる日本酒バーで、まっぷの説明文によると、サービス精神旺盛な店主「やまちゃん」が切り盛りしているらしい。

さらに裏名物は出汁ラーメンなんだとか。そんなの食べたいに決まってる! 引換券もあるし、楽しみだな〜‼︎


ところが………である……‼︎


こちらも満席で入店できなかった。ここまで来たら清々しいまである。


・まさかの全滅である。

結果として、マップ記載の3店舗すべてに入れないという事態に陥った。藤原さん、あなたは悪くない。この時期に取材しようとした私が悪い。

しかし、まだ終われない。最後にもう1軒どこかいいところはないのか……! と、探索していると、昭和レトロな雰囲気が漂う古民家バルを発見。


このお店は「散ポタカフェ のんびりや」。築100年の古民家をリノベーションしたカフェ&バルだ。

昼間は居心地の良いカフェとして、夜は小粋なバルとして営業している。冬の時期にはこたつも用意されており、その名の通り、肩の力を抜いてのんびり過ごせる空間だった。


まずは「イチローさんのハイボール(880円)」、「あん肝ポン酢(780円)」、「さばりがっこ(780円)」、そしておすすめされた「オムライス【黒】(1400円)」を注文。


「あん肝ポン酢」は驚くほど柔らかく、「さばりがっこ」は酒のつまみとして申し分ない。どれもとにかく美味しかったのだが、中でもこの「オムライス【黒】」は衝撃的だった。

卵をめくると現れる真っ黒なお米の正体は、イカスミのシーフードリゾット。


見た目のインパクトからは想像できないほどまろやかで、しっかりとイカスミの旨みも感じられる。これがとにかく絶品で、家が近ければ確実に通ってしまう味だ。


さらに「剣菱樽酒(880円)」がお勧めとのことなので追加する。


室町時代から「変わらない味」を守り続けてきた辛口で旨味の強い日本酒で、琥珀色を帯びた見た目も印象的。サービスでいただいたイカのおつまみとの相性も抜群で、最後まで満足度の高い一杯だった。

ちなみにこの時期に剣菱を飲むことは、店主いわく「ちょっとした季節の楽しみ」なのだそう。

歌舞伎の銘台詞「剣菱を持てー!」でも知られる赤穂義士が、江戸時代の討ち入りの前に皆で剣菱を飲んだという逸話があり、12月から1月にかけて語られることの多い酒なのだという。そんな背景を知ると、時代を越えた粋な風情が重なったように感じられた。


・大満足な街歩きだった

そんなこんなで今回の街歩きは終了。

結果的にまっぷ通りには巡れなかったものの、この「よりみちまっぷ」があったからこそ、普段なら立ち寄らない店や、思いがけない人との出会いがあったのは間違いない。引換券は使えなかったので、近々リベンジしたいところだ。

なお、「よりみちまっぷ」は2026年3月31日までの期間限定企画。

日暮里を訪れた際は、ぜひガチャを回して、いつもとは少し違う街歩きを楽しんでみてほしい。


・今回ご紹介したお店の詳細データ

店名 BOHEME PLUS BEAUDESSIN
住所 東京都台東区谷中7-17-9 轟天#01
時間 11:00〜18:00
休日 月曜日、火曜日(祝日は営業)



店名 BUZZED LAMB BREWING
住所 東京都台東区谷中4-2-39
時間 12:00〜15:00 / 16:00〜20:00 (金土は22:00まで営業)
休日 月曜日、火曜日



店名 散ポタカフェ のんびりや
住所 東京都台東区谷中5-2-29
時間 12:00〜15:00 / 18:00〜23:00(土日祝は11:00~23:00の通し営業)
休日 水曜日、木曜日

土日祝 11:00~23:00
平日 11:30~15:00 / 18:00~23:00


参考リンク:まちまち眼鏡店BOHEME PLUS BEAUDESSINBUZZED LAMB BREWING散ポタカフェ のんびりや
執筆:大島あさ未
Photo:RocketNews24.

▼まっぷの裏面は英語で書かれていたので、外国籍の方も楽しめる仕様になっている

▼「BUZZED LAMB BREWING」は店内から醸造所が見れるぞ

▼「のんびりや」はなんだか小旅行をした気分になれる、不思議な空間だった。

▼道中には素敵なお店がいっぱいあった

▼実は生嶋さんお勧めのお店にも突撃してみたが、こちらも無事入れなかった

▼マイケルジャクソンを彷彿とさせるマネキン