中国のバーモントカレーは日本版と全然味が違う、という件について先日の記事で詳しくお伝えした。中国のハウス(好侍)食品は日本とは別の進化を遂げているようで、バーモント以外にも様々な展開をみせている様子である。
中でも気になるのが『咖王咖喱(ガオウカレー)』という、日本にはないカレールウ。これ、何がスゴイって辛さレベルが “7辛” なのだ。なお『バーモントカレー中辛』が “2辛” 、日本のハウスのカレーで最も辛い『ジャワカレー辛口』が “5辛” 。
果たしてあの中国が「激辣」と銘打つカレーはどのくらい辛いのか? 日本へ持ち込んでみた!
・材料への圧がすごい
バーモントカレー中国版の “作り方” には「鶏肉または他の肉」と、鶏肉の使用が強く推奨されていた。いっぽうガオウカレーの場合は……
「牛肉または他の肉」と、牛肉の使用が強く推奨されているようだった。あいかわらず中国のハウスは圧がすごいなぁ。
また、なんとガオウカレーの材料は肉とタマネギだけ。ほとんどハヤシライスである。もちろんアレンジしちゃダメってワケではないだろうが、初回なのでレシピを忠実に守っていこう。
今回は日本のハウスカレーシリーズで最強の辛さを誇る『ジャワカレー辛口』と『ガオウカレー』を同時進行で調理してゆくぞ。
・牛肉ってムズイよね
ちなみに私はジャワカレー辛口を常食しているクチ。ジャワカレー辛口にシイタケとエノキを入れるとすごくおいしい……という件については以前の記事でご確認いただけると幸いである。
普通にジャガイモとニンジンを入れるジャワカレーに対して、牛肉とタマネギだけのガオウカレーってメッチャ楽だ。ところで私は普段、カレーに牛肉を使わない。なぜなら牛肉を柔らかく煮込むのは難しいから。
……そして “牛肉カレーはアクがヤバい” ことを、私は今回痛感した。若干食欲なくすレベル。
2つのルーにビジュアル的な差はあまり無い感じ。
コトコト煮込んで完成! 具が少ないぶん、量の差が歴然である。
・リズム隊が抜けたロックバンド
ガオウカレーの匂いを嗅いでみると、中国版バーモントの時のような “圧倒的異国感” は無く、シンプルに「カレーだなぁ」という印象だった。ただ「辛そう」って雰囲気はヒシヒシ伝わってくる。
それはともかく、この分量間違えたみたいなシャバシャバ感はどうしたものか。 “ジャガイモとニンジン” ってバンドに例えると “ベースとドラム” みたいな存在だと思う。ボーカル(肉)とギター(タマネギ)がいるからカレーとして最低限成立しているが、リズム隊が脱退したカレーって、こんな寂しい感じになっちゃうのね……。
皿に盛ると、その質感の差はますます歴然としていた。まぁシャバシャバカレーが好きという人も多いから、ここは好みが分かれるところだろう。
まずジャワカレー辛口。私はいつも食べている味だけど、冷静に考えればこの辛さ、子供は絶対にムリだよね。ただ「これが日本の家カレーMAXの辛さです」と言われると「日本、もっと頑張れ」って気もしなくない。
で問題のガオウカレー。これは……確かに辛い。口に入れた瞬間も辛いし、あと引く辛さもある。「ジャワカレー辛口じゃ物足りない」という人には、ちょうどええ塩梅の辛さなのではないだろうか。7辛を名乗るだけの実力は秘めている。
ただ「辛くておいしい」かというと……デスソース系の辛さであるため “ジャワカレーにタバスコ入れればコレになる説” もあながち否定できないかもしれない。わざわざコレを買いに中国へ渡航する必要はないが、中国へ行く用事があれば買ってみたら? って感じ。
・みんなの意見も聞いてみた
それでは最後に恒例の「正体を隠したうえで編集部のみんなに食べさせてみるシリーズ」で締めたい。
サンジュン「これ(ガオウカレー)……一瞬カレーなんだけど、次の瞬間『このニセモノめ!!』って感情が湧き上がってくる。例えるなら “カレーの皮をかぶったマーラータン” って感じ。もし付き合いたての彼女がこのカレーを作ってきたら、若干の不信感というか、育ってきた環境の違いを痛感するだろうな」
中澤「なるほどね……なるほど(自分に言い聞かせるように)。A(ジャワ)は日本のカレーだよね。B(ガオウ)は辛みだけで押してくる強引さがあって、『日本のカレーってウマイんだなぁ』ってつくづく思う」
……私は「Bが外国のカレーだ」とは一言も言っていなかったが、中澤記者の中で「日本のカレーではない」という絶対的確信があったらしい。うん、正解!
中澤「カレーの辛さって、コク深さと表裏一体みたいなとこあるじゃん? これ(ガオウ)はカレーを若干勘違いしてる気がするよ。昔イギリスで食べた味噌ラーメンを思い出したわ。ダシの味がなくて、湯にミソ入れただけだったなぁ」
……といった具合に、当編集部内での評価はあまり高いといえなかったガオウカレー。しかし中国の人はこういうカレーが好みなのかもしれないし、そもそもカレーは自由な料理だ。もし出会う機会があれば、先入観とか抜きでガオウカレーと対峙してみてほしい。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.