
都会で暮らしていると忘れがちな夜の闇。ましてや「夜の森を歩く」という経験をしたことがある人は少ないだろう。
子ども時代はフジと日テレしか民放がなかったくらい田舎育ちの筆者も、家の周りは住宅街だったので例外ではない。さらに山奥にあった祖母宅に行くと、裏山は恐怖の対象だった。
そんなエセ田舎育ちの筆者が自然体験型アクティビティ「阿寒湖の森ナイトウォーク KAMUY LUMINA(カムイルミナ)」に参加! 漆黒の森で見たものとは……
・夜の森を歩く「カムイルミナ」
会場は阿寒摩周国立公園内の阿寒湖。特別天然記念物「マリモ」のほか、高級リゾートホテルの並ぶ温泉地としても知られる。
会場には駐車場がないため、観光駐車場などに駐めて商店街を抜けていく。レジャーの多様化で全国的に “温泉街” は苦戦しているというが、暮れゆく街並は風情がある。
昼間は遊覧船などが発着する桟橋が受付場所。一度集合してから、スタッフの先導で順番に森に入っていく。受付周辺のライトアップがすでに美しい。
広大な北海道、人の気配のあるところまで森閑(しんかん)とした山道だったり、観光地の夜は早かったりするので、「こんな時間から本当にやってる?」と半信半疑だったが一気に不安が払拭された。
開催は日没後で、おとな当日券3500円。「○時○分に出発のグループ」のように振り分けられる。1周1.2kmの道のりとなり、途中にトイレはないので受付場所で済ませておこう。
時間がきたらアクティビティスタート! 入口でひとり1本ずつ「リズムスティック」を受け取る。ずっしりと重いので、最後まで持ち歩くが少し大変だったが、その価値あり!
この大きな杖、LEDライトやGPSやスピーカーが内蔵されており、足元を照らす照明の代わりにもなっている。すぐ耳元で響くナレーションや音楽にびっくり。
流れるのは阿寒湖在住のアイヌのみなさんの協力でレコーディングしたという伝統音楽。不思議と他メンバーのスティックの音は聞こえない。
周囲は街灯などもない森の遊歩道。リズムスティックがなければ、足元に障害物があっても気づかない。自分専用の音響&照明が気分を盛り上げる。
プロジェクションマッピングは、アイヌの伝承をもとにした物語仕立て。飢餓に襲われた人間界を救うため、フクロウのカムイがカケスをお使いに出す。
モニターもスクリーンもない森の中に、くっきりとアニメーションが表示されることに驚き。背後の本物の森と違和感なく融合し、現実との境界線がぼんやりと溶ける。
カケスを追いかけて、私たちも進む。ひとグループずつにスタッフがついて先導してくれるのだが、歩くペースはかなり速い。1周する頃にはそれなりの運動量になるだろう。
リズムスティックは、その名のとおりリズムを刻むのにも使う。ナレーションに合わせて、参加者全員で地面をノック! 物語に参加しているような一体感が生まれる。
「呪文を唱えましょう!」とか「○○の名前を呼びましょう!」といったハイテンションな演出ではないので、大人も参加しやすい。スティックは色を変えたり、リズムに合わせて光ったりと、めまぐるしく変化する。
遊歩道に沿って決まったルートをたどるほか、立ち止まって観賞する見どころが会場内に点在している。音、光、そしてスモークの幻想的な演出。暗い森と、鮮やかなプロジェクションマッピングが交互に訪れる。
すごかったのが、沸き立つ溶岩のような演出とともに本物の硫黄臭が漂っていたこと! そもそもここは「ボッケ遊歩道」と呼ばれる場所で、アイヌ語で「煮え立つ場所」「泥火山」を表す。昼間にはボコボコと泥が噴き出すボッケを観察できる。
見えているのは本物の水なのか、映像なのか。「どこまでが演出でどこからが実物!?」と脳が混乱するような感覚を味わえる。
このほかマリモからのメッセージや、妖精コロポックルの登場など、8か所のビューポイントを経て物語はエンディングへ。
所要約50分。結末を見届けてからリズムスティックを返却する。アイヌのユーカラ(叙事詩)「大飢饉から人々を救ったカケスの神の物語」を追体験できる趣向となっている。
・デジタル技術による新時代アトラクション
ビル1棟を丸ごと使ったり、城をライトアップしたりと、従来では考えられないような大規模投影を可能にしたプロジェクションマッピング。おまけに水でも炎でもリアルに表現できるので、舞台美術の世界を根本から変えたのではないかと思う。
カムイルミナでは、自然公園内に大がかりな機器を設置するのではなく、観客が手に持ったデバイスでさまざまな演出を実現。観光資源としては考えにくかっただろう夜の自然公園を、デジタル技術で見事にアトラクション化していた。
企画したのは世界中でルミナ・ナイトウォーク・シリーズを手がけるカナダのMOMENT FACTORY社。2022年にはクマゲラの繁殖行動が終わるまで開催が延期されたほど、周囲の環境に配慮した繊細なイベントになっている。
今シーズンの営業は11月9日(土)までなので、残りの期間に北海道を訪れたならぜひ!
参考リンク:カムイルミナ公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.
©MOMENT FACTORY
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
冨樫さや














【金脈か】日本で “ゴミになるアレ” が中国では高級グルメ! 捨てると知った中国人から羨望の声「売ってくれ!」「それなら、俺が狩りにいくわ!」
思わずゲームセンターで二度見した「真珠の取り出しキット」… 本物の二枚貝に詰められた海と生命のロマン
大自然のナイトパークで神秘を体験してきた / カッパ大王との出会い、そして…
北海道釧路市のPR動画が美しすぎると話題に / 再生回数700万回オーバーの大ヒット!
本物のヒグマに会える! 十勝の森でキムンカムイが遊ぶ唯一無二のサファリ「ベア・マウンテン」
【天国】錦糸町の名銭湯「黄金湯」に泊まってみた / 昭和と令和が融合した銭湯天国を満喫!
鳥貴族の食べ飲み放題「トリキ晩餐会(税込3900円)」が思ってたより最高だった / 忘年会に最適だと思った2つの理由
高級レザーパンツ(革パン)を買ったんで、お店で丈詰めしようとしたら「えーっ?」となったんで自分でやった
やばい倉庫じゃないよね…と思いきや「駄菓子屋あひるショップ」はお得と自由があふれるシュールなお祭り空間だった
いつも混んでる「焼肉きんぐ」、中国の渡航自粛要請で今なら空いているかも!? 確かめに行ったら…席に着くと同時にピンチが始まった
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
中国の「渡航自粛勧告」から2週間、現在の「奈良公園」で目の当たりにした意外な光景
【中国渡航自粛】ガチ中華だらけの上野・アメ横に行ってみたら → 取材拒否の連続に…
【極論】焼肉って結局ウインナーが一番うまくないか? 「ウインナーだけ焼肉」やってみた結果 …
中国「渡航自粛勧告」から1週間経った、東京・浅草を見に行ってみた
【納得】ガストの「ジョブチューンで唯一不合格だった」メニューを食べてみた → 不合格にする気持ちがわかった
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
決意とやる気を与えてくれるパワースポット「千歳神社」の秘密を探る / 北海道千歳市
【絶景】福岡県篠栗町「篠栗九大の森」の幻想的な光景があまりにも美しい
【感動必至】真のエンターテイメント「ダイハツ トーテム」を観ないと人生損する! 4.5トンの可動式ステージにマジで驚愕!!
【ブチギレ】天照大御神が引きこもった洞窟「天岩戸」に行ってみた結果 → ここに引きこもるのはキレすぎ
【悲報】「地獄に通ずる穴」を覗いてみた結果
【ガチ】ディズニーオタクが選ぶ東京ディズニーランド “35周年フィナーレ” で絶対に見逃してはいけない2つのもの
※追記あり【6月30日まで受付】「どうぶつの森 amiiboカード」再販決定! 受注生産なら確実に購入できるが注意点も
【スタバ】ぜひ全国でも! 原宿スタバのXmasツリーがプロジェクションマッピング仕様に / オンラインギフトカードと連動してツリーが彩られるよ!!
『ゴールデンカムイ』杉元たちの足跡をたどる道央&道東の旅! 最後に起こった奇跡とは…
これが読めたらなまらスゲェぞ! 北海道の “超” 難読地名25選