人生の中で必ず決断しなければならない時はやってくる。いくつかの選択があり、どれを選んでいいのか迷うこともあるはずだ。今回、訪れたのは北海道のパワースポット「千歳神社」。やる気を与えてくれて、決意の後押しをしてくれるという。

なぜパワースポットと呼ばれているのか? 土地にあるエネルギーと歴史を通して見ていきたいと思う。深い森に囲まれた小高い丘の上にあって、表参道から境内へと続く長い道の先に神社は見えてくる。本殿はやや急な石段の先にあるのだが……

・手水舎で清める

本殿に行く前に私のことを話しておきたい。私は占い師をしていて、日本や海外のパワースポットを巡りながら鍛錬したことがある。それ故に、エネルギーのある場所を訪れると土地に宿る力がわかる。千歳神社に宿る記憶と意識を見ながら、参拝に向かいたいと思う。

本殿に続く石段の途中に手水舎(ちょうずや)がある。こちらで身を清め汚れを落とし、神様の前に出る準備をする。水はとても柔らかく、とげのない包み込むような優しさを感じた。

自然なエネルギーが感じられるのは、地下水を使用しているためだろうか。千歳市内の水道は、ナイベツ川の湧き水を使用し浄水した水を各家庭へと運ばれていると聞く。こちらの水も自然な湧き水なのかもしれない。


石段の先にある鳥居をくぐると空気感が変わった。普通の森の中から、ざわざわとしたたくさんの人の気配が感じられるが、もちろん周りには私以外に誰もいない。多くの人たちが行き来しているような太い通りに見られる空気感で、時間の流れも急かされているように感じる。足元には玉砂利が敷かれていて、歩く度に音がなる。


・入り口に狛犬ではなく……

こちらの神社は狛犬ではなく狛狐(こまきつね)だ。千歳神社の前身は京都にある伏見稲荷大社から分霊(ぶんれい)された起源があるからだろう。左の狛狐は稲穂を口にくわえて、右の方は子狐たちが幸せそうに寄り添っている。豊かさと子宝の象徴なのかもしれない。


それにしても……何かに見られているような気がする。品定めか、警戒されているような気がして居心地が悪い。短い参道を進むと目の前に本殿が現れる。しかし、私が気になったのはそれとは別に、本殿の入り口から右側にあるひらけた場所……


石の祠(ほこら)が2つ。その間を異なった石の彫像が2体あった。それぞれが別々の家で、違うもの同士が結び合うものを象徴しているようだ。つまり、結婚や結びつき、子宝などの2つの異なったものを混ぜ合わせて新しいものを作る過程を、こちらの祠が象徴しているのではないだろうか。

祠のある場所に入ったとき、妙な気配を感じた。目の前に大きな何かがいて、押し戻されるような縛られるような2つの感覚が私を襲った。この場所には「何かが?」あるのだろう。祠の後ろの方に石碑が1つ。どうやら、この場所が千歳神社のパワースポットに由来しているように思える。


・フレトヒのチャシ

石碑には「フレトヒのチャシ跡」と文字が彫られている。作られた年代はそう古くない。フレトヒとは丘や赤い土などを意味しているアイヌ語である。

チャシの意味合いは複数あって、見張り台、砦、儀式の場所など、アイヌ文化において重要な役割を象徴している。つまり、千歳神社の建造された場所は、かつてアイヌの人たちにとっても神聖な場所だったことが伺える。ここで、少し整理してみたい。


・地下水から組み上げられた手水舎
・玉砂利の敷かれた参道にあった何者かの気配
・2つの異なった祠
・アイヌ文化の重要な場所


千歳神社のパワースポットの謎が見えてきた気がする。答えを解き明かすヒントは、2つの祠にあった。異なったものを混ぜ合わせて、新しい答えを導く意味を持っているので、かつてのアイヌ文化からあげられるフレトヒのチャシは、アイヌ文化においての砦であり、話し合いの場になっていたのではないだろうか。


推測されることは、千歳には昔から清らかな水の流れる川があり、千歳川には多くの鮭が遡上(そじょう)している。鮭はアイヌの人たちの生活の糧であり、和人たちとの交渉に使われていた。

千歳神社のある場所は、かつての和人とアイヌの人たちが取引をしていたのだろう。もちろん、鮭だけではなく、カムイ(アイヌの神様)からもたらされた多くのものを和人との取引の場として、フレトヒのチャシが担っていたのだと思う。


「取引」「交渉」がパワースポットにむすびついている気がする。私の直感は本殿に答えがあると言っている。誘われるまま、千歳神社の参拝に向かった。門の前で一礼してから、一歩足を踏み入れる……と、これまでとは違う空気の感覚。玉砂利の参道にあったざわざわとした喧騒はなく、ただ静かで、時間の流れがゆっくりに感じられた。

境内はとても穏やかで心地が良い。心に静けさを取り戻すことができそうな場所である。私の推測が正しければ、和人とアイヌの人たちが共存するための重要な場所だったのではないだろうか。お互いにとって、意志のぶつかり合いが、それぞれの目的を達成させる……交渉と取引の場所……


千歳神社のパワースポットはやる気を与えてくれて、決意を後押ししてくれるパワーがあると言われる所以は、かつてアイヌの人と和人が互いの目的を達成させる神聖な場所であったからではないだろうか。そのため、玉砂利の参道では決意が本気であるのかを試すように、今も監視されているのかもしれない。


本心から決意をしたとき、千歳神社はパワーを与えてくれるのだろう。境内の様々な場所で、2人の道祖神(どうそしん)が祀られているのも、異なった意見を結び合わせて、1つにまとめる力を示している。そういった意味では、縁結び、子宝、仕事運、出会いなどのめぐり合わせが期待できるパワースポットになる。

私の見解でしかないが、交渉事や駆け引きなど、意見を優位に示したいときにパワーを与えてくれるので、自分を強く持ちたいときにもおすすめだろう。

・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称 千歳神社
住所 北海道千歳市本町3丁目13番地(千歳神社社務所)
時間 9:00~17:00
休日 無休

参考リンク:千歳神社
執筆:あとり
Photo:RocketNews24.