その森は、まるで童話の世界の入り口である。場所は大自然に抱かれた名湯、定山渓温泉。温泉街から続く散策路の中に、クリエイティブ集団NAKED(ネイキッド)による森と川と木々が織(お)りなすライティングパフォーマンスのイベントが開催されている。

光の演出? 温泉街の真ん中で? いろんな疑問が残る中、夜の森にやってきた。札幌の中心部から少しだけ奥へ……定山渓温泉は全体が山々に囲まれた国立公園になっている。見渡す限り森! 木と木の間に温泉街があって、その奥に目的の散策路が……。

・二見公園から

開催地は「二見公園〜二見吊橋」までのそれほど長くはない散策路コース。のんびりと周ると片道20分くらいかかるのではないだろうか。入り口となる森のアートナイトウォークからスタートして、1番の見どころは二見吊橋だ。


ここで改めて紹介したい。2022年定山渓温泉ネイチャールミナリエは6月1日から10月23日まで開催されているイベントで、時間は19時〜21時までの2時間(9〜10月は18時から21時)。

私のおすすめは20時以降から! 6月~8月の期間は日が長くなっているので、暗くなるのを待つと20時以降がベストだろう。自然のイルミネーションを満喫するには、20時~21時が最高の一時になること間違なしだ。


・自然と光が一体化!?

森と光がベストマッチされた世界は、不思議の世界に迷い込んだ気持ちにさせる。アートナイトウォークを先に進むと……


カッパ大王!? 出現


定山渓温泉にはかっぱの伝説がある。川に流された若者がかっぱと出会い、そのまま恋に落ちて末永く幸せに暮らしたとされる。いろいろ考えさせられる内容だ。アクシデントは必ずしもネガティブなものではなく、幸せを運んでくるものなのかもしれない。良い出会いを引き寄せてくれるかもしれないかっぱ大王を後にして、


誘われるままに進むと、幻想的な川が待っていた。通路一面に続く花の小道を通り抜けてから、少し行くと……


おもしろい!


地面に広がる波紋を踏むと、かっぱの足跡が追いかけてくる仕掛けになっているようだ。「見る」だけではなく、自然の中で「体験」できるのも良い。気が付くと、かっぱと一緒に過ごすこと15分ほど……。


・森の中に作られた理由

橋全体と森と川が光の演出で幻想的でもあり、一体化していたアート空間になっていた。彩られた光は呼吸するように瞬き、本当に存在している世界に思える。では、なぜ森の中になぜこういう世界が作られたのか?

定山渓観光協会の橘さんによれば、「自然散策路の神秘的なエンターテイメント」を通して、豊かな自然の大切さを気付いてほしいという願いが込められているそうだ。なるほど。そう聞けば、森の中に作られたのも納得である。


・宿泊者限定のイベント

なお、今回のライティングパフォーマンスは定山渓の「宿泊者」限定になる。一般の方の入場はできないが、近くにあるキャンプ場で宿泊した場合にも定山渓ネイチャールミナリエの入場券がもらえるとのことだ。

キャンプの時期になったらまた来ようと思う。季節が移(うつ)ろえば、自然散策路の景色も変わり、そこに映し出される光のエンターテイメントは新しい物語を映し出すに違いない。

・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称 定山渓ネイチャールミナリエ(6月1日~10月23日まで)
住所 北海道札幌市南区 定山渓温泉
時間 6月~8月19:00~21:00 / 9月・10月18:00~21:00 
休日 無休

参考リンク:定山渓ネイチャールミナリエ
執筆:あとり
Photo:RocketNews24.