子供の頃から和風アニメが大好きな私(中澤)。思い返すと、小学校低学年の頃夕方に放送してた『THE八犬伝』の4話「芳琉閣」を見たのがハマるキッカケだったように思う。
時代劇なだけじゃなく、白昼夢のような妖しく幻惑的な世界観は当時衝撃だった。こういったトんでる世界観の和風アニメのジャンル名がよく分からないので勝手に「和風サイケ」と呼んでいるのだが……
そんな和風サイケの最高傑作である「モノノ怪」の劇場版アニメ『劇場版モノノ怪 唐傘』が2024年7月26日から公開されている。モノノ怪な時点で最高であることは間違いないので、自信満々に友達を誘って行ってみた。
・色彩と音の洪水
フジテレビの深夜アニメ枠ノイタミナで2007年に1stシーズンが放送された「モノノ怪」。実は、その1年前にオムニバス形式の怪談アニメ「怪 ~ayakashi~」のエピソードの1つ「化猫」として放送されているのでかなりノイタミナ黎明期の作品と言える。
私はこの「怪 ~ayakashi~」をリアルタイムで見ていて、眩暈がするような色彩で描かれる和の世界観や音楽、ぶっちぎるように切り替わるシーンやセリフの流れに一発でノックアウトされた。
その上で、登場人物全員に業があるオチは「なんか凄いもん見た」と思わされたことを覚えている。これまで見た中でも最高のアニメの1つだ。
・アニメに興味がある友達
今回の劇場版も観に行こうと決めていたのだが、せっかくだから友達を連れて行くことにした。直近では『ルックバック』を劇場に観に行ってたし、アニメにも興味がある奴である。モノノ怪という作品を少しでも多くのアニメ好きに知ってもらいたい!
お互いの仕事の都合で行ったのは7月30日の新宿バルト9の19時50分からの回。席に座ると客は20人くらいだった。『ルックバック』とえらい違いだが、座っている人々の面構えが違う。非常に見やすい環境だ。
・最高
今回の舞台は大奥。男子禁制・女の園は、何かを背負った人が多そうで、モノノ怪の舞台的にもピッタリと言えるだろう。独特の色彩感覚で描かれる和の世界は健在で、色と音と業が混然一体となるめくるめく世界観はシアターで見るとより凄い。
最高だ! 映画が日和ってないTHEモノノ怪な出来で本当に嬉しい。これぞアニメーション。友達も圧倒されているに違いない。一緒に見れて本当に良かったよ!! そう思って、隣の様子をチラッと伺ったところ……え!?
_人人人人人_
> 寝てる <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
・スヤア
嘘だろ……この激しい音響の中スヤスヤと眠っているではないか。寝心地悪いだろ! 叫び声がQUEENみたいになってるんやぞ!!
映画が終わった後、「ところどころ寝ちゃった」と友。うん、知ってる。そこでどういう部分が眠くなったか聞いてみたところ……
友「言葉が難しくて、絵が綺麗やなあと思ってたら意識飛んでた。でも、絵は凄い綺麗やったし、寝たのもちょっとやから大筋は分かるよ。ちょっと細かいところ教えてもらってもいい?」
──とのことであった。基本的にはモノノ怪は主人公だけ毎回登場するオムニバスで、例えるなら『笑ゥせぇるすまん』みたいなものなので、今回の劇場版も初見から入れる内容ではある。まあ、人を選ぶ作品ということだろうな。
・同士
ちなみに、私は隣の人が寝てると「面白くないのかな?」と影響されてしまうことが多いのだが、今回は全くその種の興をそがれる感覚はなかった。むしろ、この良さを感じられる自分がちょっと誇らしい。モノノ怪とはそういった類の作品なのである。
クラウドファンディングを経て、テレビシリーズから17年空けての劇場版となった本作。エンドロールで流れるクラファン協力者の名前に同じ想いを感じた。満員御礼でなくても良い。劇場公開のこの場にいられることがすでに特別なのだから。
なお、モノノ怪劇場版は3部作で、次作の「第二章 火鼠」は2025年3月14日に公開決定したことがすでに発表されている。これを見終わるまでは死ねないな。
参考リンク:モノノ怪劇場版 唐傘
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
場面カット:©ツインエンジン
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