ひと足こげば頬をなでる風。同時に後ろへと流れていくさっきまでいた場所。自転車に初めて乗れた時、風を切る感覚にどこまでも走っていけそうな気がした。そのスカッとした感じが好きで日が暮れるまで何度も乗り続けたものである

ドイツの自転車ブランドのCMを見た時、久しぶりにそんな感覚を思い出した。アニメCMなのだが、躍動するアニメーションがまるで風を切るようである。SUGEEEEEEEE!

・エキゾチックなジパングオーラ

その動画はドイツのハウゼンにある自転車ブランド『YT Industries』が公開したものだ。再生ボタンを押すと、浅草の雷門っぽい場所が映し出される。しかし、仲見世の奥には浅草寺はなく、代わりに天まで届きそうな階段とビルがそびえ立っていた。

日本の怪しさにサイバーパンクが融合したような背景がとてもクール。まるで『モノノ怪』とか『天外魔境』のようなエキゾチックなジパングオーラがあふれ出している。その中を所せましと疾走するキャラクターが風を切るようだ。

・海外の反応

見ているだけで吸い込まれそうなほどの躍動感と世界観。海外のネットユーザーからも、英語で以下のようなコメントが多くついている。

「素晴らしい」
「これでアニメシリーズ作って欲しい」
「いつアニメ始まるの?」
「今年最も派手でドープなアニメーション」
「今まで見た中で最もかっこいいアニメ」
「7つの大罪の第3シーズン全部よりもアニメーションが優れている」

──コメント欄は称賛の嵐で、2020年5月8日現在、動画は「9600like」を突破している。事実、私も見終わった後、この世界観でアニメシリーズを作って欲しいと思った。アニメーションは最高である。ただ……


自転車出てこねェェェエエエ


凄すぎてもはやただのアニメとして見てしまい何のCMか分からない。最後に脈絡なくアニメではないガチ自転車が登場したところで「あっ! 自転車だった」と思い出すくらいだ。そのため「自転車のCMって知らんかった」的なコメントもポツポツ見受けられる。

・日本刀からインスピレーションを受けて

ちなみに、これは『YT Industries』の自転車・IZZOのCM。どうやら IZZO は、侍の刀からインスピレーションを受け作られたマシンのようである。名前の由来はひょっとして幕末の4大人斬りの1人・岡田以蔵からだろうか? だとしたらマニアックすぎるだろ

自転車はほとんど出てこないけれども、自転車の心地よさを味わえるこの動画。その切れ味は抜群で、何度も何度も見てしまう。そして、たった1分なのに気づけばワクワクしている自分がいる。そう、夢中で自転車を漕いだあの夕暮れ時のように。

参照元:YouTube
執筆:中澤星児

▼『キルラキル』っぽくもある