最近、YouTubeやSNSで見かけて気になっている施設があった。
それが「薫習館(くんじゅうかん)」。なんでも京都の老舗お香メーカー「松栄堂」が運営している、様々な体験を通してお香のことを学べる場所らしい。
楽しみながらお香の知識を深められるなんて最高じゃないか!? ということで、実際に行ってみたところ……衝撃の入館料に恐れおののいた。
・濃厚すぎる体験
ここが薫習館……!
スタイリッシュな建物に大きく「香」と書いてあったため、遠目からでも見つけやすかった。さっそく入館しようと建物に近づいた瞬間……
既にいい香りがする……だと!?
なんと自動ドアが開く前から、雅ないい香りがしっかり漂ってきた。さすがお香の施設……! ワクワクしながらいざ入館!
入り口左手にあるのは、様々な展示が楽しめる『Koh-labo「香りのさんぽ」』コーナー。
このコーナーに入ってまず目に入るのは、巨大な「かおりBOX」。
このボックスの中にはお香や香木の香りが充満していて、それぞれの香りを文字通り浴びるように堪能することができる。
この日はスティックタイプのお香、平安時代の王朝文学にも「薫物」として登場する練香、香木の1つである「沈香(ぢんこう)」の香りをそれぞれ比べることができるようになっていた。
練香や沈香の香りをこんなにじっくり嗅ぐことができたのは初めてだ。せっかくの機会を逃すまいとたっぷり深呼吸させてもらった。
その奥にあるのは「香りの柱」。透明な部分の中に入っているのはお香の原材料だ。
こちらの柱、なんと柱についているポンプを押すとお香の原材料の香りが白いラッパから直接吹き出してくるのだという。
どの原材料もかなり独特な香りだったけど、群を抜いていたのがこちらの「麝香(じゃこう)」!
語彙力が足りずにうまくお伝えできないのが本当にもどかしいのだが、とにかくクセが強い香りだった。ここまでくると、もはや刺激臭と言ってもいいかも……
この展示内では唯一の動物性のもので、ジャコウジカという鹿の雄の腹部にある「香嚢(こうのう)」と呼ばれる部分から採取されるそう。
だけど、現在はワシントン条約でジャコウジカが守られているためこの材料を手に入れることはできないんだって!
なので、松栄堂ではもうこの材料を使ったお香は作っていないらしい。めちゃくちゃ貴重な体験じゃないか……!
これらの原材料を調合することで、心地よく感じられる香りが生まれるんだそうだ。たくさんの材料を組み合わせて深みのある香りを作るのが松栄堂の特徴だそう。
施設の方によると、かおりBOXや香りの柱の中身は展示替えを行う場合もあるとのこと。
そのため今回ご紹介した香りを必ず体験できるわけではないようなので、その点にだけ注意してほしい。
奥にある壁にデザインされているのは、お香の原材料の1つ「沈香」が育つ熱帯の森だ。
透明なケースの中では、沈香の原木や採取地での加工の様子などが展示されていた。
沈香の場合、原木そのものが香るわけではなくこんなふうに樹脂が沈着した部分が熟成されることでいい香りがするようになるらしい。
沈香って、てっきり木全体からいい香りがするんだと思ってた……お香はこれまでたくさん使ってきたけれど、知らないことがいっぱいだ。
こちらはお線香の製造工程のミニチュア。
隣接している松栄堂京都本店の2階にはお香を作る香房があって、今でも昔ながらの手技を活かしてお香を作っているらしい。
松栄堂の創業は約300年も前なのだが、今でも当時の技術が受け継がれているのは凄すぎる……!!
他にも様々な種類の香りが入ったボトルや……
お香の歴史や種類などを学べるタブレット、
巨大な「白檀」の香木などが展示されている。どれもお香メーカーだからこそできる貴重な展示ばかりだった。
・ガチャに挑戦
『Koh-labo「香りのさんぽ」』コーナーを出てさらに建物の奥へ進むと、珍しいガチャが置かれていた。その名も「薫(くん)ガチャ」。
「匂い袋ガチャ」と「お香ガチャ」の2種類があり、匂い袋ガチャには4種類の匂い袋、お香ガチャには6種類のスティックタイプのお香が入っているようだ。
せっかくなので匂い袋ガチャに挑戦してみることにした。価格は1回500円。
ワクワクしながらハンドルを回してみると……
出た!!
匂い袋ガチャの場合、紐の色で香りを判断するようだ。これは赤だから……「丹生の花」の香りか!
自宅に帰ってから部屋に吊るしてみたところ、本当に花畑の中にいるような甘く華やかな香りが広がった。今もいい香りを吸い込みながら原稿を執筆している。
自分ではなかなか選ばない系統の香りだったので新鮮だった。自分の好みの香りが分からない人はもちろん、新しい香りに出会いたい人にもおススメのガチャだ。
なお、商品の内容は変更になる場合があるそうだ。最新情報は薫習館のインスタグラムをチェックしてほしい。
・衝撃の入館料
は~、濃厚な時間だった……これほどまでの展示が見られるとなると、入館料が気になる方もいるのではないだろうか。
筆者も最初は「絶対それなりのお値段するでしょこれ」と思っていたのだが……驚くなかれ、なんと入館料は無料!!
こ、コスパ良すぎないか……!? これなら観光に来ている方はもちろん、地元の方も気軽に立ち寄れるんじゃないかな。
ということで薫習館は、お香の老舗ならではのボリュームたっぷりの展示が楽しめる大満足間違いなしの施設だった。
皆さんも今度京都旅行をする際、是非スケジュールに組み込んでみてはいかがだろうか。
・今回紹介した施設の情報
名称 香老舗 松栄堂 薫習館
住所 京都市中京区烏丸通二条上ル東側
営業時間 10:00~17:00
定休日 不定休
参考リンク:薫習館
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.
▼館内の奥にある展示スペースでは、様々な企画展が行われているそう。この日は香りをテーマにしたエッセイの入賞作品が展示されていた
▼見学が終わったら隣接する松栄堂の京都本店でお買い物をするのもおススメ
▼こちらは購入させてもらった「京日和」というスティックタイプのお香。落ち着くいい香りだった