厳しいことを言うようだけど、ChatGPTにはガッカリした。人間の仕事を奪いかねないほど高度なAIと聞いていたが、所詮その程度か? はっきり言おう。全然ダメだ! 人間ナメんな!!
……という気持ちになったのは、私が妻へのプレゼント選びをChatGPTに相談したときのこと。ホワイトデーが近いから何か良いアイディアはないかと思って聞いてみたのだが、表示された回答を見て思わずため息が出た。
この時点で、当サイトをよくご覧になっている方はお気づきかもしれない。
本記事は、1ヶ月ほど前に公開した「妻 VS ChatGPT 好みに合うチョコレートを買ってくれるのはどっちだ選手権」の後半戦……いや、ChatGPTが惨敗したことを考えれば敗者復活戦と言ったほうがいいかもしれない。
早い話が、ChatGPTに妻の好みを伝えてホワイトデーのプレゼントを選んでもらい、私も同じ条件で購入してどっちが妻を満足させられるかの勝負である。
夫の尊厳をかけた戦いでもあり、夫婦間の相互理解をAIが超えられるかどうかが決まる戦いでもある。
手始めに、ChatGPTにやってくれるか確認したところ……
快諾してくれた。続けて妻の好みや予算等を伝えたのだが、箇条書きにするとこんな感じだ。
【妻の好みなど】
・妻は甘いものを普段あまり食べないが決して嫌いではない。
・ホワイトデーだからといって甘いものが特に欲しいわけではない。
・なんなら食品じゃなくてもOK
・なお、ホワイトデーの定番スイーツであるマシュマロ自体は好き。特に妻が好きなのは、フランスのギヌーブというものらしい。
・予算は3000円以内で、購入場所は新宿
──ここでポイントは、妻が普段あまり甘いものを食べないということ。それでいて、マシュマロ自体は好きだから難しい。果たして、ChatGPTはこの条件で何をオススメしてくるのか? 確かめてみたところ……
「デリカテッセンセット」は面白い!
「ギフトカード」も悪くないな〜!
だけど……
色々あって……
最終的にChatGPTが推したのは……
ジャン=ポール・エヴァン
これを見たときの私の感想をありのままに書くと「つまんねぇな〜」という感じ。そりゃあジャン=ポール・エヴァンだったら、間違いなく美味い。もう、目をつぶって商品を選んだって美味いに違いない。
だけど、あまりにも置きにいきすぎている。Googleに「ホワイトデー プレゼント 失敗しない」で検索してTOPに出てきた記事を読んで買いましたという感じがして、相手のことを想像しながら選んだという感じがしないのだ。
誤解なきように言っておくと、ジャン=ポール・エヴァン自体が悪いという話ではない。むしろ間違いないメーカーで、もらった人はほぼ嬉しいだろう。確実性は相当に高い。
しかし、私が渡す相手は妻。互いをよく知る関係だからこそ、もっと他にあるだろうと思ってしまう。なんなら、ジャン=ポール・エヴァンのような手堅い選択肢に頼らなくとも相手を満足させるのが夫婦というものではないか?
そもそも、「妻は甘いものを普段あまり食べない」「特に甘いものが欲しいわけではない」と事前に伝えている。にもかかわらず、結局は甘い系の超王道に落ち着くところが、ChatGPTの弱点であるような気がした。攻めていいところで守りに入るというか。
──と思ったものの、ChatGPTが「ジャン=ポール・エヴァン」を挙げたのだから仕方がない。とりあえず、お店へ向かった。
なお、ジャン=ポール・エヴァンとはいっても色々な商品があるが、3000円以内となると選択肢はかなり限られる。さらに今回、ChatGPTはチョコレートがどうこう言っていたので、「オランジェット 70g(2840円)」をチョイス。
その足で、私は別の店へと向かう。今度はChatGPTではなく、私の選ぶ商品を購入するために。何を買ったのかというと……。引っ張るほどのことではないので、もう発表してしまおう。こんな感じです〜。
【夫(私)のチョイス】
・The Body Shop ハンドクリーム SBシア (30ミリリットル / 1550円 ※コットンギフト巾着付き)
・スープストックトーキョー オマール海老のビスク(180g / 550円)
・スープストックトーキョー 11種の根菜と豆乳のポタージュ(180g / 650円)
説明させて欲しい。まず私が考えたのは、ChatGPTが甘いものをチョイスしたので、私はスイーツ系を避けようってこと。甘いものが好きな人ならいいが、先にも述べたように妻は甘いものを普段あまり食べない。
いくらホワイトデーの企画だからってスイーツを重ねたら、妻的には困るだろう。企画より妻ファースト。あまりにもプライベートなので当然ながら自腹であるが、それだけにプレゼント選びはガチである。
もちろん、ネタに走る気は毛頭ない。真剣に、真剣に、真剣に考えた結果……私が狙ったのは、ちょっと特別感がある消耗品。
具体的には、ハンドクリームとかハンドソープとかそういう系のヤツ。特に、今の季節はハンドクリームなんていいのではないか?
──と考えて、職場近くの「The Body Shop」へ。店に入ると品揃えが多すぎて困惑したが、店員さんに相談しまくればなんとかなるに違いない。
ところが……。実際に商品を選んでみると、“匂いが妻の好みに合うかどうか” がメチャクチャ難しい。いくら店員さんのアドバイスがあっても、そこばかりはどうしようもない。
かなり不安はあったが、妻が普段つけているハンドクリームの香りから推測。選んだのが、シアの香りである。
そして、余ったお金で買ったのがスープストックトーキョー。これもまた実用的でありながら同時にちょっとした特別感もあり、加えて今の季節だと特に嬉しいもの……ではないだろうか?
まぁ、私が選んだのは結局のところハンドクリームとスープだから、全体的にカジュアルすぎると思う人だっているかもしれない。
しかしこれは、定番に逃げることなく勝負したからこそたどり着いたラインナップ。相手が真に喜びそうなものを考えて選ぶと、王道から少しはみ出してしまうのは必然かと思う。
もちろん、ChatGPTが選んだジャン=ポール・エヴァンだって決して悪くない。むしろ、付き合ったばかりのカップルだったり、あるいは絶対に失敗したくない相手に送る場合はこっちの方がいいだろう。
ただ、妻に渡すとなるとまた話は別。適度なズラし方こそ大事だと思うのだが……どうだろう?
・妻ジャッジ
2種類のホワイトデープレゼントが揃ったところで、妻のジャッジをあおぐとしよう。どっちが好みか聞いてみた結果は……以下の通りだ!
妻「結論を先に言うと……」
……
……
……
妻「モノとして嬉しいのはこっち(ChatGPTチョイス)かな」
──え? マジで!?
妻「だけど……」
──だけど?
妻「選んでいるときの状況とか、色々調べたんだろうな〜ってことを想像した上での全体的な満足感でいうと断然こっち(夫チョイス)」
・喜んでいいのか?
うーん、なんだろうこの釈然としない感じは。てっきり私のチョイスが絶賛されるものとばかり思っていたが、いまいち歯切れが悪い。
理由を聞いてみると、ハンドクリームの香りが妻の好みにジャストミートという感じではなかったらしい。さらに、ジャン=ポール・エヴァンのチョコレートがマジで美味しそうだったために、「モノとしてはChatGPTチョイスの方がいい」というジャッジになったとのこと。
いや、ハンドクリームを選ぶのムズ! 好みの香りをバッチリ当てるの、マジでムズ!!
普段使っているものを買えば間違いないけど、それだとプレゼントって感じがしないからな〜。難しいな〜。
でも、こういうアクシデントがあるからこそ思い出に残るプレゼントになる……ということでよろしいでしょうか?
まぁ、今回はそういうことで! では!!
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼基本的に丁寧なChatGPTが、何度も「妻が〜」と私にアドバイスしてくれるところも個人的にツボ