突然だが、もし目の前に「健康でいたいのでカラムーチョを食べる」と言う人がいたら、皆さんはどうするだろうか。中には「目を覚ませ」とばかりに張り手を繰り出してしまう方もいるかもしれないが、その対応はいささか前時代的であると言わざるを得ない。

何故ならこの世にはすでに、「健康的なカラムーチョ」が存在しているからである。「完全メシ カラムーチョ」と名付けられたその商品は、2023年11月に全国のコンビニ限定で先行発売され、そしてこのたび2024年2月12日よりスーパーやドラッグストアでも販売が開始された。

日清食品との共同開発で本商品を生み出した湖池屋は「超進化系カラムーチョ」と謳っているが、一体どんな仕上がりなのか。以降よりレビューしていきたい。

湖池屋の公式サイトによれば、この「完全メシ カラムーチョ」は「ビタミン・ミネラルなど33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求」した商品であり、「スナック菓子でありながら、たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素のバランスが整っている」とのこと。

また、通常の「カラムーチョ」とは異なり、持ち運びやすいカップ型の容器に入っているのも特徴的である。ちなみに筆者が購入した時の価格は192円だった。

社会通念上、「カラムーチョ」と「栄養」のあいだには底知れぬ深い溝が横たわっているとされていたが、こうしてそれを埋める存在が現れたというのは驚きである。



何ならパッケージには依然として「ヒー」と叫びを上げる老婆がプリントされており、そんな商品から豊富な栄養を摂取できるものかと思わなくもないが、あえてそこを疑うのは賢明ではなかろう。それより何より気になる点は別にあって、すなわち味である。

果たして本当に、健康食でありながら「カラムーチョ」のテイストが維持されているのか。答えを得るべく、太めのスティック状にデザインされた「新たなカラムーチョ」を口に含むと、まず心に留まったのは食感であった。

パッケージには「カリカリ」と書いてあったが、体感では「ザクザク」に近い。ほど良い荒さがある。「カラムーチョ」らしからぬ歯応えに新鮮さを覚えたのも束の間、次いで馴染み深いスパイシーさが押し寄せてきた。

「カラムーチョ」そのものを期待していると上記の食感に面食らうかもしれないが、しかしこの刺激的な辛味は紛れもなく「カラムーチョ」だ。オイル掛け・シーズニング掛けの2段階で施されたという味付けが、やみつきになる濃厚さをしっかりと演出している。

健康志向だからといって変なクセがあるわけでもない。というより、もはや感覚的には立派なジャンクフードである。強いて例えるなら、「マクドナルドのシャカシャカポテトの粉をかけたカルビーのじゃがりこの味わい」と表せなくもない。



「強いて」と前置きすれば何を書いてもいいわけではないが、イメージは伝わったかと思う。つまり要するに、知らずに食べれば健康食とは気付きようもないクオリティだということだ。一つの菓子として十二分に愛好できる。

「栄養とおいしさの完全なバランス」とは聞いていたが、改めて、「栄養豊富なのだから多少の手落ちは許してほしい」というような甘えが欠片もないのは素晴らしい限りである。

色々な意味で「ピリリと引き締まった仕事ぶり」を、皆さんもぜひ体感してほしい。

参考リンク:湖池屋 プレスリリース
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.