なんともやり場がない話が飛び込んできた。2023年12月13日、あるアニソンフェスの中止が発表されたのだが、その理由は脅迫。公式サイトでの中止発表によると、「会場内にガソリンを撒いて放火する」「特定のキャストを射殺する」などのような内容のメールが関係機関に届いたそうだ。

テロ脅迫の時点でセンセーショナルなのだが、特別重いように感じられるのは私(中澤)だけではあるまい。開催2週間前の中止発表にはどんな内情があったのか? 代表に話を聞いてみた。

・代表者

今月22日に滋賀で開催される予定だった『アニ×ロカ フェス イン 滋賀』。アニソンで地域活性することも視野に入れたプロジェクトで代表は音楽プロデューサーの山田高弘さんだ。

アニソン、VTuberを中心に多数の曲を提供しており、アニメ『ラブライブ』のグループμ’s(ミューズ)の「Snow halation」の作曲者としても知られている山田さん。公式サイトの中止発表も山田さんが声明を出している形である。


・脅迫の内容

そんな山田高弘さんに中止に至るまでの顛末を聞いてみた。脅迫のメールはどんな感じだったんですか

山田高弘さん「警察も捜査中なので明かせない部分もありますが、長文で具体的なことが書かれていました。要約すると、『近隣の駅で学生を刺殺する』『会場内にガソリンを撒いて放火する』『周辺の来場者を皆殺しにする』『特定のキャストを射殺する』といった内容です。また、犯人はブログを開設して共犯者を募っていました」


──脅迫の熱度がかなり高いことが伺えますが、『アニロカ』に恨みがある感じだったんですか?


山田高弘さん「アニロカに恨みがあるかは分かりませんが、絶対に潰してやろうという強い意志を感じました」


・フェスの今後

──フェスの開催は今回のことで止まってしまうんでしょうか?


山田高弘さん「まさか! 対策を強化し、次に向けて進めていきたいとチーム一丸となっています。こんなこと許したらあかんと思います」


──事件直後で考えるのは難しいとは思うんですが、フェス開催はこの騒動の決着がついてからという感じを想定されてるんでしょうか?


山田高弘さん「なかなか難しい質問ですね……事件の解決を待っていればいつ開催できるか分かりませんし……とは言え、現段階での僕は抜け殻になっているので……。でも、諦めるつもりはありません」



・アニロカの裏側

──今回はこけら落としイベントと書かれているんですが、この後、何かが続いていく予定だったんですか?


山田高弘さん「はい、その通りです。『地方からアニソンで日本を元気に』というテーマを持ち、ゆくゆくは各地方をまわっていけたら良いなあと考えていました」


──準備はどれくらい前から始めたんですか?


山田高弘さん「思い立ったが吉日と7月頃から始めました。スケジュール面では各事務所様にはかなりのご無理をおかけしました。全てのキャスティングを僕が担当しておりましたので。それも含めて、こうなってしまったのが、マネージャーの方々に申し訳なくて……」


──なぜ、このイベントをやろうと思ったんですか?


山田高弘さん「自分ごとですが、一区切りをつけ田舎に戻り必要な時に都内に行くという2拠点生活を始めたんですね。そんな中、地元の良さも感じ、地元への恩返しができたら良いなと思うようになりました。地元活性化というほど大げさなものではありませんが、そんな気持ちがありましたね。

それまでにイベントを企画・運営したことはなかったんですが、やってみよう……と。委員会として名前を出して表に立つのも初めてです」

──ありがとうございました! どうやら本イベントは、山田高弘さんにとって、仕事以上に人生の道筋の一貫として位置づけられたものだったようだ。



出演者はもちろん、主催、会場、お客さんが1つとなってこそ作ることができるフェス。第三者の横ヤリでだいなしにされてしまったことにはやるせなさすら感じた。警察も捜査に動いているとのことなので、こういった犯行が無くなることを願わずにはいられない。

参考リンク:アニロカProject
執筆:中澤星児