11月19日に誕生日を迎えて、私(佐藤)はついに50歳を迎えた。誰もが歳の節目節目に感じるのと同じように、私自身もまた自分で「信じられない」という気持ちである。

成長を喜ぶほど若くはなく、また衰えを感じるほど老いてもいない。これまで迎えたどの誕生日とも違って、心持ちはかなり穏やかだ。「そうか、50か」って感じ。50になって振り返ると、私にとって40代は人生最高だったということだろう。その理由についてお伝えしたいと思う。

私は今までどこの環境でもだいたい年嵩(としかさ:最年長者)であった。年齢的に誰よりも早く数字を重ね、当編集部でも最初に40・50を迎えている。それゆえに、40歳はもう人生後半戦。何かと下り坂になると考えていた節があった。


実際、老眼が進んで細かい文字は読みづらくなり、頭髪は気が付けば白くなっている。寝覚めが異様に良くなって、何かの拍子に眠りから覚めると、もう寝つくことができない。以前はあれだけ挑戦していた大食いなど、もってのほかだ。挑戦前から、耐えがたい腹痛に見舞われることが目に見えている。

多少の体調不良は寝てれば治ったけど、そうはならない。若さゆえに身体を顧みなかったツケを払い始めている。そう実感しだしたのが40歳以降だった。


「ワシももう歳じゃ~」くらいの感覚で、四十路に入った。もうどうせ、こんなジジイに誰も見向きもすることはないだろうし、せめて自分のしたいと思うことを、少しずつやっていければいいな。服装にしても、見向きもされないだろうから、好きにやろう。


43歳から始めたポールダンスにしてもそうだ。「おっさんができるようになったら、ちょっと面白い」くらいの気持ちで始めたものだ。健康づくりみたいな気持ちもあった。ぼちぼちやって行ければいい。どうせ誰も見てないんだし……


ところがである! ポールダンスを始めてすぐに気づいた!!

40代、意外と若い。いや、若い! かなり若い!



運動オンチゆえに運動嫌いだった自分は、まともにスポーツに打ち込んできたことが成人以降ほとんどなかった。なのに、どんどんポールダンスが上達することに気づいた。

まるで、眠っていた何かが目覚めたみたいに……。押し入れの奥をあさっていたら、秘伝のお宝を発掘したごとく……。廃墟と化した遺跡が巨大空母だったかのように……。


脳内でけたたましくサイレンが鳴って、「MODE:ACTIVE」とか言って、全細胞が総動員で活性化したみたいになったんですよ! かなり誇張してますけど!!


冗談はさておき、本当に40代は全然若い。そりゃ老眼や白髪はあっても、身体を動かすのに遅い歳ではないと実感した。同じように趣味や勉強に励むのにも、全然遅くないはず。

そういう発見に導かれたのが私の40代だった。その10年が終わってしまって、ちょっと寂しい気もするけど、50代になったからといって、何かが終わったわけではない。



20~30代って、自分の中で培ったものを信じたくて意固地になることが多かったけど、40になったらいい意味で「大した人間じゃない」って自分のことを正統に評価できるようになって、とても気が楽だ。

50代は、その抜け具合にさらに磨きがかかることに期待している。「自分はこう」と決めつけた呪縛から、解き放たれる感触はとても心地いいから

これから40代を迎える皆さんに言いたい。40代、何を始めるにしても遅い歳ではないので、好きなことにチャレンジしてください。楽しいよ!


執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24