やっちまった──。いま私の心境を一言で表現するならば「やっちまった」以上に適切な言葉は無い。キャリアおよそ10年以上にして、私は初めて “偽物” を掴まされてしまったようだ。

その偽物とはシューズブランド「KEEN(キーン)」のスニーカー。もしかしたら私のように知らずのうちに偽物に手を出してしまう人がいないとも限らないため、この記事で注意喚起を促したい。

・ジャスパーしか履いてない

ここ10年以上、私はKEENの「ジャスパー」というスニーカーを愛用している。KEENは2003年に設立されたオレゴン州ポートランドに本社を置くアウトドア・フットウェアブランド。現在では日本国内に6店舗の直営店を展開している。

ジャスパーはKEENの中でもエース級のブランドで、ちょっとした山登りくらいなら物ともしない機能性の高さが魅力。さらに言えば「日本では滅多に無いド派手なカラーリング」に私は魅せられてしまった。

最初の1足を購入して以来、サンダルを除くと私はジャスパーしか履いておらず、これまで同じカラーも含めて20足以上を購入している。もはや「足がジャスパーの形になっている」と申し上げても過言ではないだろう。だがしかし……。

・新しいジャスパーが買えない

ここ2~3年、私は「カッコいい新作が全く出ない問題」に悩まされている。“カッコいい” はあくまで主観でしかないが、私に刺さる新作は皆無。いつぞやかド派手はカラーリングは消え、無難な色合いばかりが発売されるようになっていた。

私は人より相当歩く方なので、3足を使いまわしてもジャスパーの寿命は約1年。元々ジャスパーはかかとに難があるため、これまではカッコいい新作が出ればそれと入れ替えていた。そのローテーションが滞り「現役の3体が限界寸前」というのが私の悩みだ。

今さら他のスニーカーを選ぶつもりもないし “一生ジャスパー” もむしろ望むところ。なにせ足の形がジャスパーになってしまっているのである。それでもこの秋の新作で、私がカッコいいと思えるカラーは1つも無かった。



・ネット通販で

そんな時であった。ネットでジャスパーを探していると、以前私が購入したことがあるジャスパーが売っているではないか。しかも価格が安い! ジャスパーの定価は1万5000円ほどなのに、7000円ちょいで販売されていたのだ。

これはジャスパーの神が与えし出会い──。ここ2~3年、定期的にカッコいいジャスパーを探し続けた私へのご褒美としか思えない。私は迷わずポチった。



そしてこれが偽物であった──。


箱から出した瞬間、ややくすんだカラーリングに「ん?」と感じたうえ、履いた瞬間に「違う」と確信した。なにせ足がジャスパーの形になっているのである。KEENの人をダマせても、俺のことは絶対にダマせない。なにせ足が……(以下省略)。

よく見るとラベル・各パーツの継ぎ目などが雑……というか、メッチャ雑。偽物にもピンキリがあるとすれば、私の目の前にある偽ジャスパーはかなりキリ。店頭であれば、見た瞬間に偽物と判断できる程度のクオリティである。



・心構えの問題

結果的に私が偽物を掴まされた理由は「公式サイトに欲しいものがなかった(何年も)」「安かった」などに加えて「まさかジャスパーに偽物があるとは思いもしなかったこと」がかなり大きい。正直、偽ジャスパーが存在するとは夢にも思っていなかった。

これがナイキやアディダスならば私も警戒したことだろう。最近は街中で見かけることも比較的多くなってはいるものの「偽物が出るほどKEENが人気だとは全く思っていなかった」というのが率直な感想である。

つまり「どんなブランドでも偽物があるかも」と思うべきだし、妙に安い商品はやはり裏がある可能性が高い。私の経験だと、本物のジャスパーはかなり安くなっていても1万円くらいはする。あたり前だがその店の評価のチェックも怠らないようにしよう。

色々な要因が重なり今回私は偽物を掴まされてしまったが、くれぐれも読者のみなさんは同じ目に遭わぬようご注意いただきたい。そしてKEEN様、そろそろカッコいい新作をお願いします。もう足の形がジャスパーになっちゃってるんです。

参考リンク:KEEN
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.