禁煙補助薬の「ニコチネルパッチ」で禁煙を始めてから、もうすぐ60日が経とうとしている。吸っていない本数は1700本に迫り、節約できた金額は4万円を超えた。ニコチン依存度「高」の中毒者にまさかこんな日が来るとは……。やった! よくやった!!

そう自分で自分を褒めつつも「喫煙を誘惑してくる悪魔」との戦いは続いていくから気を引き締め直しているのだが、せっかく辛さを乗り越えて成功したのだ。精神的にも落ち着いたので、今回はこの2ヶ月でとにかく辛かったことを振り返りたい。

・習慣的依存

禁煙するにあたり、切っても切れないのが当然ながらニコチン中毒。そしてそれにまつわる習慣的依存が第一の壁となる。もちろん私もマッハで依存が襲ってきて、日常的に気が狂いそうになったものだ。

しかも、序盤はニコチネルパッチを貼っているにもかかわらず、タバコを吸いたい欲はとどまることを知らない。コーヒーを飲んでも食事をしても、トイレに行くにしても何をするにしても……これまで生活の中で喫煙していたシーンで「タバコ吸うか」という波が何度も襲ってきた。

もう朝から晩までずっと。脳がタバコの快感を覚えてしまっているというか、習慣になっているものを振り解くのがこんなにもキツいとは思っていなかった。特に最初の1週間……もっといえば最初の1〜2日くらいは「これが病気ってやつか」と実感するくらいにヤバかったのを思い出す。


・食後&飲酒

そしてこれも習慣的依存に当てはまるが、食事と飲酒におけるタバコの存在はデカかった。今でこそタバコの悪魔が顔を出さなくなったが、こればかりは1ヶ月くらい必ずと言っていいほど誘惑され続けた。もう吸っちゃえよと。楽になれるぞと。

思い返せば、これまで20年くらい続けた喫煙という行為をいきなりやめるのはそれ相応の強い気持ちが必要になる。意識してお酒の場から遠ざかっていたのは正解だった。もっとも心がブレたときは飲食、そして飲酒のときと言っても過言じゃない。今は大丈夫だけど最初は辛かった……。


・肌荒れ

続いては肌荒れ。女子かよと言われそうな悩みだが、これには参った。というのも、もう痒くてたまらないのだ。夏という季節的なものもあるだろうが、体のどこにニコチネルパッチを貼っても汗をかいて肌荒れを起こしてしまった。

薬剤師さんに相談したら貼る場所を調整してとのことだったが、私の体はもう貼る場所がないくらい荒れに荒れた。その分、ニコチネルパッチを貼るのを前倒しでやめられたのはよかったけど……。

ちなみに肌荒れはした一方で、禁煙したことで顔の肌(顔色)がよくなったと言われるようになった。スゴく嬉しい。


・ストレス

それからストレスを抱えたときのタバコ欲ほど辛いものはなかった。正直マジで吸おうかなと思ったこともあったが、今は一瞬の感情に流されなくて本当によかったと思っている。ストレスがあった場合どうしたか? とにかく寝た。

なお、仕事の合間の休憩は思っていたよりもキツくなく、何ならちょっと効率的に作業ができるようになった気さえする。タバコを吸いたいという気持ちで集中力が途切れないし、喫煙所に行く時間も省けているから当然っちゃ当然か。


・もっともキツかったのは意外なことに……

んでもって、私にとってもっともキツかったのが眠気である。禁煙した影響で夢に見るとか、イライラが抑えられないとかよく聞く話だが、私の場合そのあたりはほとんどなし。その代わり、眠気が特大だった。

これも離脱症状の1つではあるものの、序盤からずっと悩まされ続けて何なら今も喫煙時に比べて眠いと感じる瞬間が多いような気がする。おそらくタバコを吸うことで覚醒していたのだろう。今はただ、どこかで改善してくれるのを期待するしかない。


……以上が禁煙して辛かったこと5つである。結果的に私は40日(ニコチネルパッチ14枚×3の2枚残し)を過ぎたところでパッチを貼るのをやめ、禁断症状など何もなく生活ができるようになった。もう大丈夫。もう絶対に戻らない。

なお、2023年8月現在、広く知られている飲み薬のチャンピックスは出荷停止で使用できないため、現実的に禁煙するならニコチネルパッチなどの貼る系の薬となる。あくまで私のケースではあるものの、こういった弊害が存在すると分かっていたら気持ちも違うのではないだろうか。

個人的には最初の離脱症状さえ耐え凌げば成功はもうすぐそこ。もし禁煙を考えているのならば覚悟を決めてまずは1週間。そこからは周囲に支えてもらったり、あの手この手でタバコから離れるように頑張ってみてほしい。やればできる!

参考リンク:ニコチネル南日本新聞
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.