北海道産利尻昆布、神石高原の椎茸、枕崎の鰹節をバランスよく配合。旨味成分の相乗効果でコク、深みを加えられるよう製造しています」

この商品説明を聞いて、皆さんは何を想像するだろうか? 出汁(だし)のもと、味噌汁、鍋、麺つゆ……。きっと多くの方が料理の味付けや調味料を思い浮かべることだろう。

ところがどっこい。実際には上記はリキュール、つまりお酒の味に関する説明書きなのである。詳細は以下にてご紹介しよう。

・出汁味のお酒

こちらが出汁味のリキュール『旨味ビターズ』。100ml入りで、筆者が購入した店では税込2307円で販売されていた。

ビターズとは薬草やスパイス、柑橘などの材料を蒸留酒に漬け込んで味や香りをうつしたアルコール飲料のこと。一般的には苦みが強いものが多いらしい。


苦いお酒と聞くとあまり気が進まないのだが、旨味ビターズに関しては一切苦くないことが事前にわかっている。

なんといったって原材料を見ると「アルコール、水、昆布、椎茸、鰹節、柚子」

アルコールと水を除いてはとてもお酒とは思えないメンツである。


旨味ビターズの特徴は原材料だけではない。フタを開けると、理科の実験道具のようなスポイトが現れるのだ!

スポイトで他の飲み物に数滴混ぜて飲むための仕様で、ビターズでは珍しくないスタイルなんですって。


お皿にちょっと出してみると、完全に出汁醤油や麺つゆのような香りと色。

ぺロッと舐めると、塩味はないけど見た目通りに出汁の味。……って、このリキュール旨ッ! 自分で「旨味」って名乗るだけあってマジで旨みの玉手箱やないか~いっ!!


口に入れた瞬間から、普段使っている顆粒出汁とは比べ物にならない上質な味と香りがブワワ~ッと広がる。特に椎茸がいい味を出している感じがして、まるで料亭のお吸い物のような美味しさだ。

何より33%という強めの度数にもかかわらず アルコールの嫌な臭いがまったくなく、透明感すら感じるような味わいがあるのだ。



・カクテルを作ってみた

旨味ビターズを使ったカクテルの作り方が公式サイトに載っていたので、自宅で2点を作ってみた。

まずは『旨味ブラッディマリー』

材料は旨味ビターズを8滴、ウォッカを30ml、トマトジュースを適量。


まずはウォッカにトマトジュースを注ぎ、普通のブラッディマリーを作る。


そこに旨味ビターズを垂らして混ぜれば……


あっという間に出来上がり。カクテル素人でも簡単に作ることができました!

旨味ビターズをそのまま舐めた時とは違い、カクテルにすることでほんのりと旨味を感じるようになった。

ブラッディマリーに塩やウスターソースを混ぜることがあるように、出汁の味がトマトのフレッシュさを際立たせて美味しい。もしかすると冷製スープを飲んでいる感覚に近いかもしれない。

ただし、飲みやすいからと言ってグビグビ飲むとしっかりと酔っ払う。現にこの記事を書いている今、筆者はかなり上機嫌である。



続いて作るのは『旨味スタウト』

材料は旨味ビターズを8滴、スタウトビールを適量(スタウトビールが手に入らなかったため、ドラフトギネスで代用しています)。


旨味ブラッディマリーも簡単だったが、旨味スタウトはさらに上を行く。なんていったって、旨味ビターズを入れたグラスにビールを注ぐだけで完成するのだから!


ひと口飲むと、ビールの苦味をふわっと受け止めるように旨味が広がった。

なによりも香りが良い。鼻にスーッと抜けるように鰹の香りがあるのだ。ビールと鰹節って、案外相性がいいものなんだな。

飲みやすさで言うとブラッディマリーの方が好きだが、これは個人的な好みの問題だろう。

どちらも元々のお酒やカクテルに対して旨みが追加されることで味の奥行きが感じられるようになり、ワンランク上の楽しみ方ができるように感じた。



これまでになかった「旨味」を足すリキュール。筆者のようなカクテル素人でも十分楽しむことができたが、きっとベテランの方であればもっとたくさん活躍の場を見つけられるはず。

また、飲むだけでなく食材として料理に使っても美味しいだろう。大人の楽しみとして一度試してみるのはいかがだろうか。

参考リンク:ザ・ジャパニーズビターズ『旨味ビターズ』
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼出汁割りみたいになって美味しい予感がしたので、熱燗にも垂らしてみたのだが……

▼美味しいは美味しいけど、熱と共にあがってくるアルコール感で旨味がかき消され気味かも。

▼ついでに、シンプルにお湯でも割ってみた。

▼お酒感はなくなったけどお吸い物っぽくて美味しい!