「もっと早く出会えていれば」、誰にでもそんな出会いがあるだろう。私(佐藤)はまさに今日、そんな出会いをしてしまった。東京・吉祥寺の「ADA(アダ)」には美味すぎる「イズミルサンド」がある。こんなに美味いものがあるなんて、もっと早く知りたかった! 食べた瞬間にそう思ったのだが……。

時すでに遅しだったかもしれない。なぜなら、このお店は日曜日(2023年8月20日)に閉店してしまうからだ……。

・紹介してもいいけど……

お店で食事をして、「イズミルサンド」(税込850円)の美味さに感動した私は、名刺を出して店主に「こちらのお店を紹介させてください」とお願いした。すると店主は「紹介してもいいですよ。いいけど、日曜日に閉まるんですよ」というのだ。

調べたところ、お店のオープンは2021年11月。この2年の間に何度も吉祥寺に来ている。店の前を素通りしている可能性さえある。なのになぜ、このお店に気づかなかったんだろうか……。せめてサンドイッチの美味しさだけでも伝えたいと、記事執筆の許可を頂いた。


イズミルサンドとは、セサミバゲットにチーズとサラミを挟んだトルコ西部の都市「イズミル」のホットサンドイッチである。現地では「クムル」という名前で屋台で売られている軽食だ。お店ではオリジナルのセサミバゲットに細切りソーセージとサラミ、モッツァレラチーズをサンドして焼き立てを提供している。


私は10年前にトルコを訪ねたことがある。その時、もっとも印象的だったのはパンの美味しさだ。現地で食べたパンは小麦の風味が豊かで、どこのお店でどのパンを食べても全部美味しかった記憶がある。日本で食べるパンとは味も食感も全然違った。お店でオリジナルバゲットを使用しているのは、現地の味を再現したかったからかも。



・シンプルなストリートフード

こちらがそのサンドイッチである。焼き立てアツアツで、パンの芳ばしい香りが食欲をそそる。


レタス・レッドオニオン・ピクルス、その上にスライスしたソーセージとサラミ。さらにカリッと焼き上げたモッツァレラチーズがサンドしてある。


サンドイッチの構成は至ってシンプルだ。どこででも手に入る食材で、誰にでも作ることができそうなほど単純だ。だが、そのシンプルさがイイ。カリッと焼き上げたソーセージとサラミにとろけるチーズ、酸味のきいたピクルスが良いアクセントになっている。

それらを包み込むアツアツのバゲット。ひと口ごとに幸せを噛みしめている気分だ。室内ではなく、外で食べたいストリートフードである。食べれば屋台で販売されているのにも納得できる。外で食うべき味だな。


10年前にアンタルヤ(トルコ南部)を訪ねた日々がよみがえる。いつかもう1度訪ねて、現地のパンを食べたいなあ。そういえば、宿の隣がパン屋だったのを思い出した。デカい釜のある立派なパン屋さんで、そこら中に美味しい匂いを巻き散らしていたんだっけなあ。



食後のデザートにバクラヴァ(税込600円)も頼んでおいた。


何層にも織り込まれたパイ生地には刻んだピスタチオがふりかけられている。シロップをたっぷりと含んでいて唸るほど甘い! バクラヴァは「デザートの王様」とも呼ばれている。その甘さから魅惑的なものを感じると共に、背徳感を覚えずにはいられない。耽美(たんび)な甘さだ……。


とにかく、残念ながらお店はまもなく閉店してしまう。材料の都合で日曜よりも前に閉店する可能性もあるとのことなので、お近くの方はお早めに。イズミルサンドを食べられる店が増えてくれることを願っている。できれば再出店して頂けると良いのだが……


・今回訪問した店舗の情報

店名 ADA(アダ)Sand & Kebab 吉祥寺店
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-1
時間 11:00~23:00
※ 2023年8月20日閉店予定

参考リンク:ADA Sand & Kebab
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼ちなみに荻窪にもADAの店舗はあるのだが……


▼在庫限りで串揚げ屋になるそうだ。イズミルサンドはもう食べられないのか……