毎日どこかしらで花火大会が開かれている今日この頃。私は去年、初めて「みなとみらいスマートフェスティバル2023」で花火大会に参戦し、命の危機すら感じる過酷さを知って今年はちょっといいかなとなっている。

そういえばあの記事、ネットで写真が綺麗すぎて本当に初めてか疑わしいみたいなことを書かれていたが、マジで初めてなんだよなぁ。

実は花火単体の撮影は誰でも……たとえ今日初めてカメラを買ったような人がぶっつけ本番でも、トップ写真と同等のものなら脳死で100枚くらい量産できる。カメラの設定と必要な道具を解説と共にシェアするぞ! 参考にしてくれ。

・イージー

写真にも色々な種類があるが、私が人生初の花火大会にてぶっつけ本番で撮ってきたようなモノは、主張や工夫が介在せず、何の制約もない自由な記録写真。一切の技術やらセンスは不要。死ぬほど簡単だ。

必要なのは、いくつかの安い道具と、カメラを決まった設定にすることだけ。こんくらいに撮れりゃ十分なんだよなぁって方は完コピしてみてくれ。

記事の構成としては、必須な買いそろえるべきアイテムのリストの紹介。次にカメラの基本設定だ。基礎知識がある人はここまででいいと思う。

続いて、マジに今日初めてカメラを持ったような層向けに、超イージーなそれらの道具についての簡単な説明。最後に実際のセットアップと、個人的にカメラ側でやっておくと良いと思う設定を解説していく感じだ。

・お買い物リスト

揃えるべき道具はこちら。

・マニュアル撮影が可能なデジタルカメラ(大手のものならだいたいなんでもOK)
・レンズ(安いようわからんレンズでOK)
・三脚(Amazonとかで2000円前後で売ってるのでOK)
・リモコンでシャッターを切れるヤツ(後で解説する。クソ安い。2000円くらい)
・養生テープとかガムテ


あったらいいな
・可変NDフィルター(後で解説する。3000円~5000円くらいでいい)
・スマホのLightroomってアプリ(無料。RAWで撮ってクオリティを詐欺れる神アプリ)


・基本設定

基本的な設定はこうだ。


・ISO感度:50とか100とか。そのカメラでできる一番低い値
・f値(レンズの絞り):NDフィルター無しならf10とかf11とか
・フォーカス:マニュアル。花火は手動しかない。
・シャッタースピード「バルブ撮影」に設定し、リモコンを使って、花火に合わせ手動で5~10秒くらい。カメラ側で自動で連続撮影する設定にしてもいいけど微妙。
・ホワイトバランス:なんか花火が映えそうな気がする好みの値。直感を信じろ。
・手ブレ補正をOFF


以上。普通にある程度撮れるけど、花火は自信がない……みたいな人は、これらの情報だけでイケるだろう。あとは当日晴れて、ある程度風がある(無風だと煙が邪魔になる)ことを祈るのみ。



・解説 カメラ本体編

では初心者向けの道具の解説に入ろう。まずはカメラ本体だ。被写体が花火であることに限っては、ここ10年で出たカメラなら何を使っても一緒だと思う。

なんかスゴいAF性能とか、AIのなんちゃら機能とかは不要。全部手動でやるので。

リコー GRⅢのような神コンデジでもいける。安いコンデジだとマニュアル操作が不可能だったり、リモコンで操作できない等があるので何とも言えない。


・解説 レンズ編

最初に買った ようわからんレンズでOKだ。ただし、10㎞くらい先で行われている豆粒程度のサイズにしか見えない花火を広角レンズで撮るとかは厳しいので、その辺は常識的に考えてくれ

かくいう私も型落ちして久しく、中古で6万程度しかしない激安糞ザコレンズを使用しているが、撮った写真はネットで綺麗すぎると言われるほど美しい。

路上の野グソを被写体にして美しい写真を撮るには金も手間もかかりそうだが、花火のように元から綺麗なものは誰が何で撮っても綺麗に写る


・解説 三脚編

花火を撮る際には、シャッタースピードを超遅くする。10秒近く開きっぱなしとかにする。どんな手ブレ補正機能があっても手持ちでは無理なので、三脚が必須となる

別に何十万もする高価なものは不要。Amazonで今日ポチったら明日届く安いヤツでOKだ。高さが低すぎたら不便なので、せめて身長と同じくらいまでいける奴にした方が良い。耐荷重にだけは気をつけること



・解説 リモコンでシャッターを切れるヤツ編

そしてリモコンでシャッターを切れるヤツこと、ケーブルレリーズとか、シャッターリモコンとかいうアイテム。

この謎の道具の登場でしんどさが爆上げした初心者もいるかもしれない。ここは少し耐えて頑張ってほしい。

花火大会では、何枚も連続で撮影する。それも花火大会のプログラムや、打ち上げのタイミングに合わせて。三脚に乗せていても、シャッターボタンを押すためにカメラに触れると揺れてブレてしまう

それを避けるために、カメラを揺らすことなく遠隔操作でシャッターを切るための道具が必要となる。そのためのアイテムだ。

昔のカメラだとネジ穴があいていて、そこにマジなケーブルをねじ込んでいた。


最近のカメラは横にマルチ端子がついており、そこにリモコンのUSBケーブルをブッ刺して遠隔操作する。どこのメーカーも純正品を出していて、だいたい1万円以上する。


しかし純正品は不要。Amazonで売られている2千円くらいで買える互換品で十分だ。私もロワジャパン製の2千円くらいのヤツを使い続けてかれこれ3代目。故障の原因はケーブルを車のドアに挟んで断線したり、海に水没させたことによるもののみ。


電池不要(電池を入れると色んな機能が解放されるが、シャッターを切るだけなら電池不要)で、私は流星群の記事とかで掲載しているような、夜空の写真を撮る時などに使っている。

「スマホから遠隔操作できるから不要」論は罠だ! スマホのバッテリーとか熱とか操作性とかレスポンス等、いろんな理由でスマホからの遠隔操作はマジで糞。2千円出して安いリモコンを買った方が良い。

なお、コンデジだと純正のお高いワイヤレスリモコンしかない可能性もあるので、そこは一眼カメラの方が有利かもしれない(上で例に挙げたGRシリーズは、安い有線の互換品がある)。



・実践編

では実際にやってみよう。まずは、カメラを三脚に固定する。方法はカメラと三脚の取説を読んでくれ。いろんなタイプがあるので。


次に、リモコンを接続する。これもカメラの取説を読んでくれ。たぶん横のどこかにポートがあるはずだ。繋いだら、試しに1枚撮影して動作チェック&使い方を把握しよう


そしてフォーカスモードをマニュアルに変更。ピントは、私が撮ってきたスマートフェスみたいな大きな花火大会を遠くから撮る場合は、無限遠(一番遠く)に設定しよう。目に見える範囲で一番遠くの何かしらにピントを合わせたらOKだ。

逆に、近くでやる「ナイアガラの滝」のようなものは、そこに見えているであろうナイアガラマシーンにピントを合わせよう。何にしろ重要なのは、花火が始まる前にピントを合わせておくことだ。

ピントが合ったら、ピントリングを養生テープなりガムテで固定しよう。これで、花火が終了するまで一切ピントがズレる心配をしなくてよくなる。この作業をナメると後で後悔する

次に、シャッタースピードを “バルブ(BULB)” にする。方法はカメラの取説を読んでくれ。コンデジだとできない場合がある。


“タイム(Time)撮影” なるものでもOKだ。違いは、バルブ撮影がシャッターボタンを押しっぱなしにしている間ずっと撮影し続ける機能。対してタイム撮影は、1度押してから2度目に押すまでの間、ずっと撮影し続ける機能。

花火ではリモコンを使うし、長くても10秒程度なので、どっちでも好みで良い。この記事ではバルブでやっていく。

あとは冒頭で書いた通り、f値を10くらいにして、ホワイトバランスも手動でいい感じの色にする。理由は、ホワイトバランスをオートにしていると、撮影中に勝手に設定が大きく変わることがあるからだ。


例えばiPhoneなどのスマホで動画を撮影中に、急に動画の色が変わって違和感マシマシになった経験がある人も少なくないと思う。あれこそがオートホワイトバランスの罠。

環境次第だし、ぶっちゃけ好きな色味にしたらいいと思う。「自然な色合いがぁ~」みたいな意見もあると思うが、プライベートに光とカメラでやるお絵描きにルールも糞もない

これは、あなたが自分のセンスで撮る、あなただけの自由な写真。テンションが上がる一番好きな色合いが一番正しい色だ。仕事で標本写真撮ってんじゃないんだから。

あとは、1つの花火が打ちあがってから爆発して消えるまでの間、リモコンのボタンを押しっぱなしにするのだ。小さい花火は短く、デカい花火は長くなる。

そこからはもう、打ちあがる花火に合わせて、自分で何秒か数えながらボタンを押したり離したりを繰り返すのみ。

花火大会によっては「ナイアガラの滝が始まります!」とか、「3尺玉が上がります!」といったアナウンスが入るものもあると思うので、プログラムに合わせて上手いことやってくれ

めちゃくちゃ連続で打ちあがった時は、シャッターの秒数を短くして白飛びしないようにしよう。記事の最後に私の失敗例を載せておく。

その手の、バチクソに明るくなりすぎるような打ち上げプログラムの場合、上で「あったらいいな」枠で紹介したNDフィルターがあると重宝する



・さらなる高み

最後は、そこからさらにクオリティを自分の好みの方向に追及するための方法。まずはjpegで撮影した場合の方法だ。カメラのメーカーとモデル次第だが、最近の機種なら事前に仕上がりを弄る機能が搭載されている。

最新のSONYだと「クリエイティブルック」で、これはハイライトやシャドー、明瞭度など、様々な項目を自由にエディット済みの状態で撮影できるのだ。ほぼRAW現像で凄い。私はこれを使い始めてからRAW現像しなくなった。


他社はSONYほど細かく設定できないかもしれないが、それでもイイ感じにやれる。富士フィルムの「フィルムシミュレーション」や、Nikonの「(クリエイティブ)ピクチャーコントロール」、Canonの「ピクチャースタイル」はどれも優秀だ。

あとはそこからInstagramなどに標準で搭載されているフィルターでゴリゴリやれば、さらに好みの感じに追い込めるだろう。

もっとやれるのが、RAWで撮影してLightroomで現像しPhotoshopで整えたり比較明合成などすること。この場合、ホワイトバランスの設定は不要。ISO感度も適当でいい。なぜならRAWデータだから。

詳しいやり方は……カメラを今日初めて買った人がそこまでやるかというと、やらない気がするので、今回は割愛する。要望があれば私なりのやり方を全部公開するが、クッソ長い記事になるだろう。

以上が、私が実際に行った花火撮影の方法だ。おまえ、初めてで1回しか撮ったことねぇわりに、随分と道具が揃ってて手際もいいじゃねぇかって? 実はこれ、星空を撮る時の方法と8割くらい一緒なのだ。


違うのは、星はISO感度を上げ、明るいレンズを使って絞りを解放で撮るということと、追加の道具でソフトフィルターや赤道儀、レンズヒーターという道具を使うことがあるという点くらい。

夏は花火だけでなく、星も良い。紹介した道具や方法を把握しておけば、来年以降も夏の撮影力が爆上げされること間違いなし! 

カメラに搭載されたエディット機能によって全く同じ結果にはならないだろうが、クオリティは同等のモノになるはずだ。ぜひ参考にしてみてくれ。ちなみにスマホでも花火は撮れるが、静止画より動画が良いと思う。


執筆・撮影・写真:江川資具

▼ちなみに私は初めての花火撮影だったので、NDフィルターを持っていかなかった。あればこういう失敗を防げただろう。


▼でも慣れると花火の量に対して何秒くらいがいいのか掴めてくるので、NDフィルター無しでも大体はいい感じに撮れていた。あった方が融通がきく(シャッタースピードが足りないと花火によっては途切れる)が、なくてもまあやれる。