11月30日はオートフォーカスカメラの日。由来は、世界で初めてオートフォーカス機能(AF)を搭載したカメラが販売開始された日だから。ちなみに今から40年以上も前の、1977年……和暦なら昭和52年のことである。

そのカメラとは、『コニカ C35 AF』。ジャスピンコニカの愛称でよく知られるカメラだ。きっと50歳前後の方であればテレビCMを見た覚えがある……というか、実際に家にあったという方も多いのでは? 今回はそんな世界初のAF搭載カメラを実際にゲット。簡単に修理して起動したところ、この世に昭和が再来したもよう。

・コニカ

世界初のAF搭載カメラということで、もちろんそれ以前の市販のカメラは全てマニュアル。ファインダーの性能なども今ほど良くは無かったため、撮影は今よりもハードルが高かった。とはいえ、カメラというのはそれなりに需要があるものだ。

ほとんどのご家庭で、昔のご先祖の写真の1枚や2枚は残っているものだろう。つまりカメラの普及自体はそれなりだったわけで、マニュアルしかなかった中で誰もがそれなりに頑張って写真を撮っていたのである。

そこに颯爽と登場した『コニカ C35 AF』。自動でピントを合わせてくれて、明るさも自動。というか、このカメラはシャッターのチャージ(昔のカメラはレバーでシャッターをチャージしないといけなかった)とフィルムの巻き取り(昔のカメラは、自動巻き取りが出るまでフィルムの巻取りも手動だった)を除けば全て自動でやってくれる

つまり、それなりに技術を要する部分は何もかもカメラが自動でやってくれるという、革新的なものだったのだ。売れないわけが無く、CMのキャッチコピーは流行語にまでなったらしい。ちなみに、このカメラを生み出したコニカはすでに無く、コニカミノルタになっている。しかも、コニカミノルタはカメラ関連事業をソニーに譲渡して撤退済み。

そのソニーも、コニカ製カメラのアフターサービスはケンコー・トキナに委託。結果としてコニカのカメラに関する公式HP的なものはケンコー・トキナのHPになるのだが、『コニカ C35 AF』について書かれているページでも「大ヒットした」とされている。自分で言うほどなのだから、それはもう売れまくったのだろう。


・4万4800円

ちなみにお値段は4万4800円だったそう。とはいえ40年も前なので今とは物価が違う。ためしに現在のいくら位に該当するのか計算してみようではないか。こんな時に役立つのが、日本銀行のHP。丁寧に1947年から2018年までの消費者物価指数がまとめられている。

それによると、1977年の消費者物価指数は65.0。それに対して2018年は101.7。計算の方法は、101.7を65.0で割ったものに、4万4800をかければいい。出てくる答えは約7万円。あくまで参考程度ではあるが、そこそこ安いのではないだろうか?


・ヤフオクで落とした

そんな『コニカ C35 AF』だが、今でも普通に各種オークションサイトなどで出回っている。もちろんジャンク品が多いが、動くものもそこそこあるようだ。今回はヤフオクにて適当な1台を落札してみたぞ。

届いた段階では撮影に支障がある状態だったので、適当に修理した。昔のカメラは仕組みもシンプル。ちょっとした故障なら自分で直せるのが有り難い。詳細は省くが、今回など必要な材料は100均で買えてしまった。そんなこんなで復活した世界初のAF搭載カメラ。それではさっそく撮影に出てみよう。


・フィルム

ちなみにフィルムカメラというのは、セットするフィルムによって出来上がる写真の色味などが変わる。ややマニアックな情報になってしまって申し訳ないが、今回使用したのは「Kodak Ultramax 400」。チョイスの理由は筆者の趣味である。

撮影に出たのは2019年11月29日。天気予報で晴れとなっていたので、空の青を写すためにこの日を待っていたのだ。目的地は江ノ島だが、池袋駅にてフィルムを入れて動作確認していなかったことを思い出し、適当にホームに停まっていた電車を撮ってみた。


フィルムなので、デジカメやスマホと違い撮ったその場でちゃんと撮れているのか、そもそも写っているのかまでも一切不明。まあ不便といえば不便だし、不安になる人もいるかもしれない。

実際筆者も、とりあえずシャッターなどがちゃんと動いたっぽいことしかわからずやや不安になった。オートフォーカスができているのかわからないし、露出計(明るさを判断するヤツ)がまともなのかも不明。もしそのあたりが壊れていたら、ぶっちゃけこの企画は終わりである。

しかしどうだ。今こうして出来上がった写真を見ながら記事を書いているわけだが……たかが停まっている電車をスマホで撮っても絶対にこうはならないだろうという写真が出来上がっている。

マジで何の工夫も主張も込められておらず、また劇的なシーンでもない。ガチにただ駅のホームで停まっていた電車である。それがまるで、何か理由があってはるか昔に撮られた、歴史的に意味のある瞬間のようではないか。

電車に詳しい方相手では難しそうだが、その辺の一般人程度なら「この写真、実は池袋駅に初めて水洗トイレが導入された時のものなんですよ……」などと、適当なことを言って騙せそうである。

やはり性能が今ほど良くないレンズと、このフィルム独特の質感による写りの粗さゆえだろう。つい昨日今日撮ったものでも、何十年も前に撮られた写真であるかのように見える。まあ使っているカメラはガチに古いし、フィルムもいつ出たものかは知らないが、昔からのものとそう変わっていないだろうし、当然といえば当然なのだが。


画質という点で言えば全く良くは無い。どう見ても粗い。しかし味があっていい。フィルム世代からすれば、「めっちゃ昔に見た写真そのもの」なのだ。これだけで自動的に懐かしさを感じてしまう。写すだけで世界が昭和になるレベル。たとえスマホが写っていても昭和である。


・性能は

最後に撮ってみて気づいたことを書いておこう。『コニカ C35 AF』のレンズは F2.8 。公式HPにはシャッター速度が「1/60,1/125,1/250秒」と書かれている。ちなみにレンズシャッターだ。そして使用したものはISO400のフィルム。レンズに手動の絞りは無く、絞りっぽく見える羽は外側からだと2枚のみ。

海辺で戯れる人々をなんとなく撮ってみたのだが……F2.8のレンズを使ってISO400の感度で撮影するなら、シャッタースピードは6400くらいまで上げないと白飛びしてしまうような環境だった。それがまともに写っているので、このレンズ内部のよくわからない構造はけっこう優秀な気がする。40年以上も前なのにスゴいなぁ。


ピントも割とあっていたし、ジャスピンコニカの愛称は伊達ではない。個人的にはマニュアルでピントとシャッタースピードをあわせられる方が心穏やかなのだが、デジタルよりも扱いが難しいフィルムにデビューするには今でもおススメなカメラかもしれない


なにせ自分ではほとんど何もせず、全ての判断をカメラ任せにして、撮りたいものにカメラを向けるだけでいいのだから。あ、ちなみにテーブルフォト(飯とかスイーツの写真みたいなヤツ)には向かないと思います。最短撮影距離が1.1メートルなので。

参照元:ケンコー・トキナ日本銀行
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼本文中に入れる場所が無かったのでもう一枚


▼修理については、ちょっと長いので本文では割愛。インスタにてその過程を公開しているので、興味があるという物好きな方はどうぞ。

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何箇所か修理したほうがよさそう

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▼最初はファインダーを覗いても霞んで黄ばみまくりで、ろくに何も見えなかった。こいつのせい。

▼ハイターは無かったのでカビキラーで解決。コーティングされてたりすると痛む可能性もあるけど、何もなさそうだったのでいいかなって。

▼ASAダイヤルっていう、入れたフィルムのISO感度に合わせてセットするヤツがどうやっても回らないという症状。

▼回るようになりました。

▼フィルム室の遮光材、通称「モルト」が劣化しまくりなので、これも貼りなおし。

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中これ、いっぱい埃みたいなのついていて汚らしいじゃん もともと貼られていたと思われる「モルト」っていう、光が入ってこないようにするスポンジみたいなものがあるんだけど それの劣化したやつ 本当はもっといっぱい貼り付けられているものなんだけど、前の持ち主がある程度取り除いてたもよう 今もう微妙なカスがついてるだけで、ほとんど何もない状態 このままじゃフィルム入れた瞬間に、漏れて入ってくる光で感光されてうんこになるので、明日100均の布を買ってきて、モルトの代わりにして貼り直す 光が入らなきゃ何でもいいので

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▼こそぎ落として100均で買った布と両面テープで直す。

▼こんな感じで地道に貼って終わり。