車用の芳香剤は「香り」はもちろん「見た目」も超重要。どんなに忙しくても移動時間くらいは心地の良い香りで満たされたオシャレな車内でリラックスしたい。ってことで、Amazonであまり見かけないタイプの芳香剤を購入した。どんなデザインかと言うと……

惑星が浮かんでいる不思議な芳香剤である。んで、この浮いている惑星とやらが回転しながら爽やかな香りを放つという。価格は899円で評価は1……ちょうど車内をミステリアスな空間にしたいと思っていたところだったので “最低評価の惑星ディフューザー” を選んでみた。

・ボコボコの箱

商品名は「車の芳香剤、ソーラー回転車のアロマセラピー、車の香水太陽エネルギーのアロマセラピー オーナメント 車のダッシュボードのインテリアのための車のディフューザー」。何のキャンペーンかは不明だが、10パーセント引きの899円で購入できてラッキーだった。

商品が届いたのは注文の約2週間後。ボコボコ & 半開き状態で中国からやってきた。セロテープの黄ばみ具合から察するに、店頭のディスプレイに2〜3年放置されていたのだろう。急に注文が入り、現地スタッフが慌てて梱包したせいでボコボコ & 半開き状態なのかもしれない。

パッケージによると「星 star 球」という名前らしい。やはり台座の上に地球が浮かんでいる。さっそく箱から中身を取り出してみると……

オレンジ色の惑星……ということは火星だろうか。赤っぽい土や岩で覆われている火星の芳香剤が出てきた。間違っていたらすみません。サイズはチュッパチャップスと同じくらい。

ちなみに軽く調べたところ、火星は古代占星術の世界で「小さな禍い(わざわい)」と呼ばれているそうだ……調べるんじゃなかった。そんなもの車に置きたくない。いや、だから10パーセント引きだったのかもしれない。


・香水

それでは実際に使ってみる。準備は簡単で、台座を外して「木のリング」に香りのオイルを垂らすと……うお、キツい

そういえばレビューのコメントにも「芳香剤は匂いを嗅いだ時点で廃棄確定」「日本人には無理なニオイ」と書いてあった。たしかにこれは強烈である。そして微かに懐かしい香り……そうだ!

……こ、これは20代の頃に先輩に連れて行かれたフィリピンパブの匂いに違いない。当時の記憶が鮮明によみがえる。

ってか、記憶の中に元恋人ではなくフィリピンパブと結び付く香りがあったとは……思わず「君のドルチェ & ガッバーナのその香水のせいだよ」と口ずさんでしまうレベル。



・車内に設置してみた

そんなフィリピンパブの香りを火星にセットして、さっそくダッシュボードに固定してみた。すると……


太陽光を浴びた火星が高速で回り始めた!


速い速い速い速い速い……!


そして車内が一気にフィリピンパブの香りに満たされる。真夏の車内にフィリピンパブの香りが充満していく。ついでにフィリピンの国民的ヒット曲『今夜はオチョオチョ』をかけたら車内が完全にフィリピンと化すだろう。

なるほど回転しながら香りを撒き散らしているのか……この香りは間違いなく約20年前に高松(香川県)のフィリピンパブで嗅いだ香り。どんどん記憶がよみがえってくる。 


オニイサン、ゲンキ? ワタシ、ジャスミン(仮名)デス。オサケ、ナニノム? カコイイネ、オニイサン、ナンサイ?


火星が高速で回転しながら記憶が逆戻りしていく。フィリピンパブは「男の生き方」を教わる場所だった。長話を終えた先輩が「そろそろ歌うか」と言ったら……「帰ります!」ではなく「小林旭、お願いします!」と先輩の十八番をリクエストするのが後輩の役目だった。

できる後輩ほど先輩をうまく乗せたものだ。先輩、元気にしていますか?



よし、ひさしぶりにフィリピンパブにでも行くか……昔の職場の後輩でも誘って。回り続ける火星を眺めながら、強烈な香りを嗅ぎ続けながら、フィリピンパブのことばかり考えていた。これが小さな禍いにならぬよう気をつけます。


参考リンク:Amazon「車の芳香剤、ソーラー回転車のアロマセラピー、車の香水太陽エネルギーのアロマセラピー オーナメント 車のダッシュボードのインテリアのための車のディフューザー」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.