空港で妙にそばが食べたくなるのは私(中澤)だけではないはず。多分、空港にいる時は大体疲れているからだと思う。パッと出てきて体が喜ぶものを摂取したくなるのだ。去年の夏、屋久島に行った時も、冬に北海道に行った時も、気づけばそばを食べていた。

そんな感じで、特別ウマイわけでもないんだけど環境的に食べたくなるのが空港そば。と思っていたのだが、旭川空港のそば屋がガチでウマかった。これ空港そば最強クラスでは……?

・フードコートに見る地域力

そのそば屋があるのは旭川空港のフードコート・そらいち だ。国内線出発ロビー側の2階にあるこのフードコートは、なかなかそそられる店が揃った場所。旭川に本店がある『らーめん山頭火』や旭川ラーメンの『梅光軒』も入っているなど、地域力みたいなものが感じられた。店舗は8店舗だが少数精鋭感がある。

そんなメンツの中にあって人気を博していたのが『蕎麦かぶら木』。フードコートに入ると、結構な割合の人がそばを食べていた。

そう言えば、旭川のすぐ近くには、そばの名産地・幌加内がある。ゆえに、店ののぼりにも「幌加内産蕎麦使用」の文字。そばはそばで本場というわけか。

・空港価格だが

価格帯はかけそばが850円、最も高い大海老天そばで1850円と空港価格。大海老の天ぷらや肉をガッツリ食べたい気分でもなかったので、「道産きのこ天そば(1200円)」を注文してみたところ……

きのこもガッツリしていた。入っていたのはエリンギ、しいたけ、しめじ、舞茸。種類だけでもガッツリだが、サイズもデカイ。特にエリンギなんてイカ天みたいである。

・雄大

食べてみると、肉厚な食べごたえの後、目の覚めるようなきのこの風味。バターみたいなコク深い味である。また、つゆもコク深い。旭川空港のサイトによると「つけ汁は鹿児島県日置郡の鰹節と高知県産土佐清水市の鯖節で純国産の出汁をとり伝統のかえしを併せた自家製」とのことだが、鰹と鯖の出汁のわりに口当たりが柔らかいのだ

クセのないそばが、そんなつゆをさらに引き立てている。ふと窓の外を見ると、雪を冠した山々が遠く輝いていた。そう、まるでこの景色のように、全てを受け入れる雄大な味がした。北海道を感じるぜ。

・別れのひとときに

基本的に価格が高めの空港。したがって、そばにおいてもコスパという概念とは無縁の世界だと思っていたのだが、旭川空港の『蕎麦かぶら木』は空港価格にちゃんと釣り合っていた。その味は、別れを告げる最後のひとときにちょうど良い。食べて良かった。


参考リンク:旭川空港
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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