TOKYO! 狂った街! と清春が歌っていたが、何が狂っているのかは分からなかった。そこそこ大都市である大阪出身の私(中澤)からしたら、むしろ「緑がちゃんと配置されていて街が綺麗だなー」くらいの感想だったのである。池袋に住むまでは

駅でホームレスが死んでいたり、銃声みたいな音が聞こえたり、目が据わった人に喫煙所で勧誘されたり、池袋では色んな衝撃的な思い出があることは以前も記事にした通り。だが、実は私が「狂い」を印象づけられたのはもっと日常的なワンシーンであった

・体に走る衝撃

ある日、終電間際の山の手線で池袋に帰ってきた私。息をするのさえ気を使うほど激混みの満員電車から、ところてんのようにぐにゃりと出て階段に向かって歩く。と、その時、突然体に走る衝撃

視界の外から来た衝撃に混乱しつつ、軽く吹っ飛ばされた後に振り返ると、そこには男が立っていた。いわゆる「ぶつかり男」というヤツだが、SNSでその呼び名を見かけるのはもっと後になってから。この時はまだそんな名前もなかったと思う。

・一般的なぶつかり男よりヤバイ

ただ、そのぶつかり男が少し違ったのは、振り返った時に相手もこちらを見ていたこと。立ち去るのではなくとどまっていた。しかも、私に向けて腕を上げて何やらアピールしている。拳……と思いきや、その中心、中指が天に向かっておっ立っていた。ファッキューである。

本当にファッキューって意味でやってるの? 見知らぬ人に中指立てられるとか人生においてそう頻発することじゃないため呆然としていると、男は電車に乗り込んでいってしまった。だからVELVETの空の下ー

・大阪と違う点

呆然としすぎて頭の中でSADSの『忘却の空』が流れた。池袋だけに。と、IWGPジョークはさて置き、その行動以上に衝撃を受けたのは、男が背広を着た全く普通のサラリーマン的外見だったこと

確かに、大阪に住んでいた時も路上でのトラブルはあった。見知らぬ人に中指を立てられたこともあるし、シバかれたこともあるし、引きずり回されたこともある。しかし、思い返せば、大阪で絡んでくる人って外見からすでに住んでる世界が違うオーラが出ていた。

例えば、心斎橋だったらこってこてのヤクザだし、アメ村だったらド金髪だし、岸和田だったらヤンキーだし、布施や十三だったら半端じゃなく汚いオッサンだったりするし。堅気が関わっちゃいけない人は外見で分かったように思う。要するに、ヤバイ人はヤバイ見た目をしているのだ。


一方で、東京はヤバイ人も普通の見た目だったりする。サラリーマンがよく就職できたなというくらい電車で傍若無人だったりする。

・病み

住んで感じたこの違い。冒頭で触れたものほどセンセーショナルな体験ではないものの、地味に大阪の友達とかには毎回話してしまう。日常的なことだからこそ、より根深い「病み」を感じるのかもしれない。

とは言え、別に大阪の方が良いとも思わないので、これは単に質の違いの話。上京して18年くらい経った今はもはや慣れた。

この春上京する人も多いだろう。最初はビックリするような違いを見つけて「合わない」と思うかもしれないけど、住めば都。慣れたら特に狂った街でもなかったので東京ライフを楽しめることを祈っている。いーつからだろう失ーくしたPASSION!

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.