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東京は田舎者の集まり」とはよく聞く言葉だ。その割には……いや、そのせいなのか、東京の空気感は他府県とは明らかに違うように感じる。

大阪から上京して10年が経った私(中澤)。今ではすっかり慣れてしまったが、来たばっかりの右も左もわからない頃は、ことあるごとに「冷たい」と感じていた。そこで今回は、そんな経験を元に上京したての地方出身者が東京を「冷たい」と思う瞬間5選をお届けしたい。

・その1「駅員さん」

上京して私が最初に感じた「冷たさ」が駅員さんだ。初めての新宿駅で迷った私。改札で「東口はどちらですか?」と聞いた時、「あっち」と指さした駅員さんの仏頂面は今でも忘れない。本当にこんな場所で暮らしていけるのか……。そんな不安が頭をもたげ、泣きそうになった

・その2「電車」

電車の混雑にも度肝を抜かれた。あまりのぎゅうぎゅう詰め具合に「バッテラにでもなったのか」と思ったくらいである。さらに、荷物が多いと気遣ってくれるどころかウザがられることの方が多い

特にバンドマンの私は、ギターやエフェクターを持って電車に乗る機会が多いのだが、車内の「うわ……入ってきた……」という冷たい空気が痛い。大事なギターを声もかけられずに押しのけられるのなんて日常茶飯事。わざとエフェクトボードを蹴っていく人もいる。

仕事で疲れているのはわかる。だが、公共の場でそのはけ口にならなければいけないほど、夢を追っているのは悪いことなのか? 電車に乗るだけで何もしてないのに邪魔者扱いなら何に乗ったらいいのか。 

・その3「渋谷スクランブル交差点」

縦横無尽に横断歩道を渡る風景が世界的名所の一つとなっている渋谷のスクランブル交差点。あまりの人ゴミで行きたい方向に進めないこともしばしば。初めて渡った時、スクランブル交差点を行き交う人たちの「道の譲らなさ」が衝撃的で、関わりが希薄な東京人を象徴するような場所だと思った。

・その4「舌打ち」

混雑している場所でもなぜか、やたらと耳につく舌打ち。大阪では、文句があったら思いっきり「お前やー!」と相手めがけていく人が多いので、すれ違い様に舌打ちされたことなんてほとんどなかった。

だが、東京では駅のホームなどの混雑する場所で、ちょっとお見合いになったくらいで舌打ちする人が結構いる。なんだここは……道をふさがれたのは私も一緒じゃないのか? その悪意は氷のようで、初めて大の大人に舌打ちされた時は衝撃だった。

・その5「サラリーマン」

東京のサラリーマンは周りをかえりみない人が多いと思うのは私だけだろうか。電車内で足を放り出してる人や、2席独占するくらいの勢いで足を開いている人なんて1日1回は見かける。蟹ですか? 蟹なら仕方がないが、スーツを着て電車に乗ってるので人間のはず。だが、こんなのは序の口である。

駅などがちょっと混んでるだけで肩をぶつけてくる人や、3倍速で前を歩いてた人をふっ飛ばしていくシャアザクのような人まで、「狂ってる」と思うような人も多い。そんな人たちが、外見は全くごく普通のサラリーマンなのだからビックリする。

初めてそんな東京のサラリーマンを見た時は、衝撃を受けた私だが、最近は心配になってしまう。これだけ狂ってる人が多くて、日本は大丈夫なのか……。

──以上である。今でも納得できないこともあるが、上京の際の心細さが生んだ勘違いや被害妄想だったこともある。そして10年経った今、総合して考えると私は東京が好きであり、特別「東京が冷たい」とは思わない。これからの10年が楽しみだ。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.