大手コンビニチェーンの「ローソン」は、2022年11月に豊島区北大塚に未来型の実験店舗「グリーンローソン」をオープンした。ここにはアバター店員がいて、オペレーターとして利用客の買い物をサポートしてくれる。
実際に利用してみたところ……、なかなか難しいと感じてしまった。普及にはまだまだ課題があるかも……。
・環境負荷軽減と省人化
このお店は「環境負荷の軽減」と「省人化」を目的として、11月28日にオープンした。
ローソンに限らず、コンビニチェーンはチルド弁当・常温弁当の在庫を大量に抱えていることから、フードロスは避けられない。そこでここではチルド・常温を扱わずに冷凍弁当のラインナップを充実させ、店内厨房で作る弁当のみの販売を行っている。店内厨房では、できたてを提供するためにモバイルオーダーで都度注文を受ける方式を採用している。
レジ袋・カトラリーを廃止し、看板・買い物かごは再生プラスチックを利用している。また家庭であまった食品を寄付できる「フードドライブ」、あまった紙袋を回収できる「リユース回収ボックス」も設置し、店舗だけでなく利用客にも環境負荷軽減の取り組みを促している。
・アバター店員
省人化についてはセルフレジを設置すると共に、リモートでも対応できる「アバター接客」を導入している。これはディスプレイとカメラ・マイクを設置して、遠隔でも接客をできる仕組みだ。
これにより年齢・性別を問わず、またさまざまな制約によって店頭に立つことが困難な人でも接客業を行うことができる。
店舗で実際に勤務するスタッフのほかに、このような形でアバターオペレーターがセルフレジの脇についている。
・認識のズレ
この日、私(佐藤)は図らずもアバターとやり取りすることになった。というのは、ここでは酒やたばこもセルフレジで購入することができる。たばこをセルフで買えるのはとても助かる!
毎回コンビニでたばこを買う時に、「○番のたばこ2つください」と言わないといけなのが、すげえ面倒なんすよ。「え? 何番ですか? 1つですか?」「○番を2つです」とか、そういうやり取りが面倒でね。いっそ自販機を店内において欲しいと思ってるくらいで……。
さて、購入してみよう。レジ下から自分の銘柄をとって、レジでスキャン。運転免許証を読み取り機に入れると……。
レジ「カードを入れ直してください」
もう一度入れ直すと……。
レジ「カードを入れ直してください」
もう一度……。
レジ「カードを拭いて入れ直してください」
買えん……、買えんじゃないか。
と、その時!
アバター「運転免許証をもう一度入れてみてください」
来た! アバター!!
向こうから私の姿だけでなく、セルフレジの様子も確認できているらしいので助かる!
……だが、このあとコミュニケーションの難しさを感じてしまった。というのも。
アバター「オレンジのボタンを押して頂けますか?」
佐藤「え? オレンジ? どこ?」
アバター「右下のオレンジのボタンです」
佐藤「どこにあるの? オレンジ?」
私はレジの周囲を見回したが、そんなものどこにも見当たらない。ぶっちゃけ、この時はかなりテンパっていた。というのは、どこを見て話をしていいのかわからずに混乱してしまったのだ。カメラを見るのか? アバターを見るのか? なんか独り言をいってるみたいな自分が怖いし……。
結局、店舗内のスタッフを呼び出すことになってしまった。あとから気づいたが、オレンジのボタンとはレジの画面上のボタンのことだった。「画面上の購入ボタン」のことだったとは。私はレジ上にオレンジ色の物理ボタンがあると思っていたのだが……。
難しい……。お互い、画面越しのやり取りなので、認識のズレを生じやすい気がする。改良の余地はまだまだありそうだ。
とはいえ、これから役立つ可能性は十分にある。あらゆる業界で人手不足が叫ばれるなか、コンビニも省人化は喫緊の課題のはず。さらに仕組みが改善されれば、ローソンだけでなくあらゆる業界に貢献するはずだ。アバターオペレーターの仕組みがさらに進化してくれることを願っている。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ローソン北大塚一丁目店(グリーンローソン)
住所 東京都豊島区北大塚1-13-4
時間 24時間
参考リンク:ローソン
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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