気づけば4月。温かい日も多くなり春の足音が聞こえる。出会いと別れの時期だ。それはアニメにおいても同じで、冬アニメが次々と最終回を迎えている。振り返ると、今期、新作では『転生王女と天才令嬢の魔法革命』や『お兄ちゃんはおしまい!』などが話題だった。

確かに、それも良かったんだ・け・ど! 個人的にズバ抜けて名作だったのは『もういっぽん!』である。2023年冬アニメで唯一泣いたレベル。もっとトレンドを無双しててもおかしくないくらいの良作だと思うんだけど、みんな見てた? 見てない人いたらマジで今からでも見て欲しい。

・配信を心待ちにしてた

クールが始まる時に全アニメをチェックするのが日課の私(中澤)。そこからピンと来ないものを削っていくのだが、今期の新作で最後まで残った作品は10作品だった。これは普段よりもかなり多い方だが、反面、心が揺さぶられる作品というのは少なかったように思う。

そんな中、ズバ抜けて突き刺さったのが『もういっぽん!』であった。暇つぶしに見るのではなく、配信される日を心待ちにしていたのは本作だけかもしれない。クライマックスでは涙すらこぼれた。姫野先輩ー

・負けが刺さる

高校の弱小女子柔道部を描いた本作は、最近の流行りのアニメのように超絶クオリティーの作画で美少女がぬるぬる動くものではない。では、何がそこまで響いたのかと言うと、負ける時ほど強い意志を感じるところ。スポーツものってやっぱりクライマックスで勝つものが多い。しかし、この作品は負けの瞬間が本当に刺さるのである



・号泣ポイント

例えば、10話。主人公の未知が負けた錦山高校のポイントゲッターに、力の差が明らかな滝川早苗が泥臭い寝技を挑んでいくシーンとか最高だ。未知は主人公だけにオーラがあるのだが、その友達の滝川早苗はずっと引き立て役っぽい役回りのキャラ。

そんな早苗が、時間稼ぎしかできないような状況で勝ちにいくのがこのシーン。そして、勝負したからこそ、負けてしまうのだが、この負けには人生が乗っている

それだけ負けが重いために勝利の価値もまた重い。したがって、勝ったら勝ったで泣いてしまう。クライマックスの数話なんて画面の前から動けなかったもん。

・アニメの良さ

思えば、私がアニメを好きになったのは、経験してこなかった人生をほんのり追体験できるからである。2023年冬アニメでそういった良さを感じたのは『もういっぽん!』だけだった。

なお、そんな本作は4月2日に最終回を迎える。3月29日現在、2期の発表はされていないが、最終回で発表されるだろうか? 個人的には2023年冬アニメで最も2期製作を望む作品なんですが。

執筆・イラスト:中澤星児

▼TVアニメ「もういっぽん!」第2弾PV

▼ちなみに、トップ画像は私(中澤)が描いたファンアートです。普段よりウマく書けた気がします。