暦はすでに9月。1年のうちの3分の2が終わってしまった。この夏、私(中澤)の心を熱くした2015夏アニメもすでに9話くらいが過ぎてしまったことになる。「今から見てももう遅い」そう思っているそこのあなた! まだ間に合う、というか、リアルタイムで見れるうちに一話でも見ておけ!
そう思わせてくれるアニメ作品……それが『Charlotte(シャーロット)』だ!
すでに10話まで放送され、あと3話を残すばかりとなった本作。話の内容は、今まさに最高の盛り上がりに向かって加速しているところだ。しかし、私は話が盛り上がっていれば盛り上がっているほど、逆にブルーな気持ちになってしまう。
なぜならば、毎週楽しみにしていた作品が、この盛り上がりの後に終わってしまうからだ。そんな ”やるせなさ” と ”アニメの面白さ” に踊る心で板挟みになりながら、時計の針だけが進んでいく。分裂症になりそうだ。
・あらすじ
主人公の乙坂有(おとさか ゆう)は、”任意の対象の体を5秒間のみ乗っ取る” という特殊能力を持つ高校生。人知れず能力を悪用して、順風満帆な生活を送る。しかし、そんな彼の悪事を、同じく特殊能力を持つ美少女・友利奈緒(ともり なお)が阻止したことにより、思春期の少年少女のごく一部に発症している病のようなものであることを知る。
・”萌えアニメ” ではなく ”人間ドラマ”
自分だけが使える特殊能力・世界の秘密・美少女とくれば、アニメに免疫のない方は、「うっ……」と思ってしまうことだろう。実際、こういった中二病設定の入った学園モノは、単なる萌えアニメになりがちである。が、私個人の感想を言わせてもらうと、『Charlotte』は萌えアニメではない。
もちろん、友利奈緒はかわいい。普段の冷ややかな態度にも、たまに照れながらちょっとだけ見せる誠意にも萌え萌えだ。しかし、それは言わば、取っ付きやすさを出すための香辛料、馬の鼻先に釣りさげられた人参でしかない。私にとってこの作品は、あくまで人間ドラマなのだ。
・疲れた大人達にこそ響くアニメ
話が進むに連れて明かされる特殊能力を持つがゆえの主人公達のトラウマ。そして、特殊能力が問題で発生する様々な一般社会との軋轢(あつれき)。回を追うごとに、葛藤し、思考し、関係性が変化し、生き生きとした表情を見せるようになる主人公達。このアニメで描かれているのは、まぎれもなく成長である。気付けば、社会に馴染めず苦しみもがいて道を探す自分を重ねている。
これは、社会のスピードについていけないと感じている、全ての疲れた大人達にこそ響くアニメじゃないかと思う。
・麻枝准(まえだ じゅん)節炸裂
『Charlotte』の原作・脚本を手掛ける麻枝准は、『CLANNAD(クラナド)』、『AIR(エアー)』等、パソコンの伝説的美少女ゲームの脚本を手掛けたことで知られている。ちなみに、『CLANNAD』は私が人生で出会ったシナリオの中で、三本の指に入る傑作である。
話がそれてしまったが、今作でも、バックグラウンドにそこはかとなく漂う独特の死の匂いや、シリアスなシナリオの合間合間に挟まれるギャグでの緩和は、 麻枝准節が炸裂していると言える。
なお、ギャグが寒いとの意見もあるが、私個人の見解を言わせてもらえば、箸休めの部分なので問題にするほどではないと思っている。
・制作は次世代のスタジオジブリとの評価も高いP.A.WORKS
アニメーション制作は、安定したハイクオリティな作画で他の追随を許さないP.A.WORKS。ちなみに私は、P.A.WORKSのアニメ制作の裏側を描いたコメディ作品『SHIROBAKO(シロバコ)』が大好きすぎて、社長にファンレターを送り付けたことがあるぞ!
・泣きたい人にオススメ!
また、話がそれてしまったので、話を『Charlotte』に戻すと、前述の脚本と制作会社は、現在のアニメ界で泣きのアニメを作るのにベストな組み合わせのひとつに入る。ちなみに私は以前、同様のタッグで制作されたオリジナルアニメ『エンジェルビーツ』の最終回だけを見て、泣いたことがある。
泣きたいけど、アニメはちょっと……というあなたも、きっとクライマックスでは涙で前が見えなくなるはずだ!
参照元:Charlotte 公式HP
Report:中澤星児
Photo:RocketNews24.
▼「Charlotte」PV第一弾
▼「Charlotte」PV第二弾
▼「Charlotte」PV第三弾
▼泣きたい人にオススメだ