ちょっとここ数年の丸亀製麺はドSにも程がある。何の話かというと、春の期間限定メニュー「あさりうどん」を都心ではサッパリ販売しなくなってしまったのである。2023年はどうなるかわからないが、ハッキリ言って雲行きは怪しいと言わざるを得ない。

これが通常のメニューならば別に構わないが、丸亀最強の激ウマ「あさりうどん」を私(サンジュン)から取り上げるとはどういうつもりなのか? 傷ついた私はなか卯の『あさりバターうどん』と関係を持つことに相成った次第である。

・彼が売れない頃から

丸亀製麵の「あさりうどん」のウマさについて、改めて申し上げることはなかろう。超簡単に説明すると「あさりの出汁が出まくった丸亀製麺No.1の最強うどん」と思ってくれればOK。音楽の世界で例えるならば “マイケル・ジャクソン”“バッハ” に匹敵する圧倒的キングである。

自分で言うのはイヤらしいが、あさりうどんがそこまで有名ではない頃から、私は記事で「あさりうどん」をプッシュしまくっていた。まるで売れないバンドマンの彼氏を支える献身的な女性のように、身も心もあさりうどんの捧げていたのだ。

数年後、彼(あさりうどん)がメジャーデビューを果たしたときの喜びは今でも忘れない。今でこそ “あさりうどん担当” みたいな顔をしている あひるねこも、当初は「またあさりうどんすか(笑)」と私を小バカにしていた。だがしかし、私の目は狂っていなかったんだ──。


・避けられてる?

……が、いつからか彼は地方ツアーに夢中になり、全く地元(都心)に帰ってこようとしない。私が定期的に愛のメッセージを発しているにもかかわらず、だ。もしかして避けられているのかしら? いずれにせよ、丸亀とあさりうどんがドSであることは間違いない。

そんな中、私好みの人からアプローチされたら、気になってしまうのは当然のこと。彼の名は『あさりバターうどん』──。2020年から発売されている なか卯の期間限定メニューで、今年も2月9日から発売されている。

彼(丸亀)のことは好きだけど、いつも近くまで来てくれる彼(なか卯)の優しさにはクラッと来てしまう。ごめんなさい……私は一晩限りのつもりで なか卯へ飛び込み、そしてそっと電気を消した。

……と気持ちの悪い描写はここまでにして、なか卯の『あさりバターうどん』について。価格は並盛が590円で、サイズは小・並・大の3種類。いずれもテイクアウトの対象商品となっている。

・かなりウマい……が

で、結論から申し上げると、なか卯の『あさりバターうどん』は総合力では丸亀製麺の「あさりうどん」には敵わないというのが率直なところだ。この際、うどんそのもののクオリティについては触れないが、何より出汁の奥深さが大きく違う。

確かに なか卯の『あさりバターうどん』もしっかり出汁が出ているし、バターの風味でコクも十分。丸亀製麺の「あさりうどん」と比較しなければ、かなり美味しい一杯と申し上げていいだろう。ワンナイトなら余裕でありだ。

ただし、いかんせん相手が悪い。出汁の奥深さが海と湖くらいの違いはあり、最後までそれは覆せなかった。実はあさりもかなり入っているなど良心的なメニューではあるが、こればかりは「生まれる時代が悪かった」と言うしかないだろう。

とはいえ、一瞬の渇きを満たすには十分ウマいうどんなので、ここ数年「あさりうどん」のおあずけを喰らっている人たちは、1度召し上がってみてもいいハズだ。比べなければ彼も魅力的な人。でもそう上手く割り切れないのが人情である。丸亀よ……今年こそ大丈夫だろうな?

参考リンク:なか卯公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.