えっ、貸し切りにして車内で酒飲んだり飯食ったりできる路面電車があるってマジですか? しかも乗せてもらえる……? じゃあ行くしかねぇ!!
ということでやってきたのは夕暮れ時の広島県 広島市 宇品(うじな)にある、広島港停留場だ。ここは広島電鉄が運行する路面電車の停留場で、終点でもある。さて、目当ての電車は……あっ、アレか!? かっけぇぇぇええええええ!!
・赤い
周囲の一般の利用客たちからの注目を集めまくりながらホームに入ってくる赤い電車。広島電鉄の「TRAIN ROUGE(以下トランルージュ)」だ。これこそが今から乗る、車内で本気度高めな飲食が可能な路面電車である。
なお、コロナ禍に入ってからは一般運行を停止しており、貸し切り利用しか受け付けていないもよう。今回は広島県が直々に主催するプレスツアーで、中で晩飯を食いながら、広島港から西広島までのルートを1往復させてもらえることに。
真っ赤なボディに白で書かれた”TRAIN ROUGE”の文字。いかにも特別な車両っぽさのあるデザインがクール!
ヘッドマークにはKIRINの文字が。提供だか協賛だかしているのだろうか。
車内はこんな感じ。シートやテーブルからして、普通の車両とは完全に別物だ。飲食することに特化されている。
これから普通に運行中の一般車両に紛れて街中を走るという。普段もっとも利用する電車がJR山手線である私としては、新幹線や特急でもない電車で飲食という経験自体が皆無!
しかも今は、それなりに帰宅ラッシュの時間帯! オラ、なんだかワクワクしてきたぞ!!
・貸し切り
貸し切りなので、普通の電車に乗ったときよりも運転席をじっくり見られる。
運転するのは、もちろん広島電鉄の運転手だ。それでは出発していただきましょう。
さて、トランルージュを自分で貸し切って車内で飲み食いする場合、飲食物は自分で用意するか、他社のサービスを併用する必要がある。
いちおう広島電鉄側でも食事やMC付きのプランを提案する用意もあるとか。なんでも、問い合わせの際に予算や要望に合わせてコーディネートしてくれるらしい。詳しくは広電に聞いてみてくれ!
ちなみに今回は広島県が用意してくれたケータリングのコース料理だった。今までの人生で、国内の乗り物で移動中に食べた料理の中で一番豪華だったのは、縁あって乗った飛行機のファーストクラスで出てきた食事だったが、ここでまさかの路面電車に更新されてしまった。
このケータリングの料理もイイものだが……真に価値を感じたのはこの体験そのものよ。こうして料理の向こうに見える、逆方向に向かう電車。写真だと速度があるように見えるが、これは車内も外も暗くシャッタースピードが遅かったからだ。
あくまで路面電車 & 普通に信号などで停まるので、実はこちらも向こうもわりとゆっくり走っている。そしてときおり向こうの乗客と目が合う。いやぁ、皆さんお疲れでしょうに、なんか飯とか食っていてすみませんね。フフッ。
車両自体がバチバチに目立っているので、横断歩道を通過するときなどは通行人たちの注目の的に。めっちゃ指さされてるし、何度かスマホで撮られた。笑顔で手を振ったので、もしかしたらどこかのSNSにアップされているかもしれない。
・愉悦
これは広島観光するならマジで体験して損はない。周囲の状況(他の車両と、そこに乗る疲れた様子で帰宅する様子の多くの人々)に対し、こちらは貸し切りにした目立つ電車に乗り、飯を食ってる姿を見せつけながら市内中心部を征くという貴族ムーヴ。
上位存在になったような気がする。圧倒的、愉悦……! 記憶への残り方が半端ない!! ニヤニヤが止まらないし、マジで一生忘れないと思う。
しかし、この素晴らしきトランルージュを読者の皆におススメしてしまうことについて、私は少し申し訳なく感じている。なぜなら先述の通り、コロナ禍以降は一般運行が停止されているからだ。
本来は個人で貸し切らずとも、何らかの企画などが催され、もっと乗りやすいものだった。だが今は機会が限られすぎている……!
とはいえ広島電鉄の方も、機を見てまた運行していきたいというようなことは仰っていた。今は伏して様子を見ている状態なのだろう。
・意外と安い
ということで現状だと、トランルージュに乗って飲食を楽しむことそのものを安易に勧めても、微妙な感じが否めない。しかし、ここで広島電鉄の方から、実に興味深い情報がもたらされた。
実は広島電鉄では、かなり気軽に個人での一般車両の貸し切りが可能だというのだ……!! は? 個人で電車の貸し切りとか、そんなの石油王じゃないと無理やろ?
私もそう思っていたのだが、広島電鉄では単車なら市内線を1行程 2万1120円(2022年12月 記事執筆時点)で貸し切りが可能!! 安すぎィィイイイイイイイ!!!
公式HPに詳しく価格や条件等が載っている。こんなリーズナブルなお値段だったとは。
きっと鉄道マニアなどには周知だったろうが、一般人の私にとっては未知だった。これ、鉄っちゃんのグループとか、わりと貸し切りにしてエンジョイしてんじゃないですか? そう聞くと、やっぱりそうらしい。
例えば小さい子供などは、本能的に無条件で電車が好きだったりする時期があると思う。そこで誕生日などに家族で単車を貸し切って乗るなどすれば、これ以上ないほど想い出に残るだろ。
「電車を貸し切ってもらった」というワードの持つパワーだけでも、子供にとっては相当なものがあると思う。大人の私でもスゴみを感じる。
ちなみに車両の指定は通常はできないが、例えば学校が平和学習の目的で被爆電車の651号か652号を借りたいなどと言う場合は、相談に応じる用意があるもよう。教育関係者の方は頭の片隅に入れておいても良いのではなかろうか。
さて、広島電鉄の誇る、飲食可能な路面電車「TRAIN ROUGE(トランルージュ)」での圧倒的な愉悦体験と、発覚した意外に安い一般車両の貸し切り価格。いかがだっただろう。
前者については直近だと2022年10月末に運行たようで、突発的にそういうイベントが組まれることもあるもよう。
限られた機会をモノにしたい方は、公式Twitterをフォローするなどして将来的な運行予定にアンテナを張っておくと良いのではなかろうか。
参考リンク:トランルージュ、広島電鉄、ひろしま公式観光サイト
執筆&Photo:江川資具
写真提供:広島県
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▼トランルージュの公式Twitter
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