ジャンボ。時刻は夕方。今日もタクシー稼業はイマイチだった。でもオレは早々に仕事を切り上げ、ビディー(bidii)と呼ばれる地帯にやってきた。
ここビディーエリアは、お世辞にも清潔とは言い難い。だけど、ここにあるフレッシュフルーツジュース屋さんはオレのお気に入りなんだ。
店主の女性は人柄も良く、気さくに声をかけてきてくれる。「暑いね〜」とか「寒いねえ」とか。天気の話から入ることが多い。
オレが注文したのはミックスジュース。マンゴーとパイナップルとスイカをあわせたミックスジュースで、価格は50kes(約53円)だ。
それを店先で飲みながら、オレは近くをボ〜っと眺めていた。すると女将が、こう言った。「くさいのよね」と。
いったい何がくさいのかと尋ねると、すぐそばで営業している「靴磨き屋さんのタバコ」がくさいのだという。
聞けばヘビースモーカーで、四六時中、それこそ煙突のようにタバコをスパスパしているらしい。
たまにタバコを吸うオレは気にならないニオイだったが、一日中近くにいる彼女にとっては我慢ならない存在らしい。
すると、タバコ男に、1人の男が近づいてきた。ジェスチャー的に「タバコを一口くれ」と言っているもよう。
タバコ男は、その男に、今まで吸っていたタバコを渡した。こんなご時世なのに大丈夫かなと思ったが、意外と優しい男である。
タバコをもらった男は「ケフンケフン」と咳をしていた。コロナではなく、タバコに慣れていない風の咳だった。
そうこうしているうちにミックスジュースを飲み終えた。「また来るね」と店主に挨拶をし、オレは愛車で帰路についた。明日はもっとお客がつかまるといいなと思いながら。クワヘリ。
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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