中古タイヤ市場 相模原店は、名前の通り中古のタイヤを販売する会社。ところがタイヤとはまったく異なる、とあるモノが有名で全国的に名を馳(は)せている。

それは……自販機コーナー。なんと100台ちかくのレトロ自販機が現役で稼働する、おそらく日本一の『レトロ自販機の聖地』なのである。

訪れたらきっと昔にタイムスリップできるはず! 本記事では現地レポートと、スムーズに楽しむためのポイントをご紹介しよう。

・100台ちかくの自動販売機が稼働中

筆者が訪れたのは土曜日のお昼どき。週末ということもあり、かなりの人が訪れ駐車場は満車だった。


横に長~い自販機コーナーへ足を踏み入れると、そこにはレトロな自販機が……ズラーッ!


ズラララーッ!!


ズラズラズラーッ!!!!


トタンの壁を挟んで屋内側にも、まだまだズラーッ!

どんだけあるんじゃい! と言いたくなるほど。レトロじゃなくても、ここまでたくさんの自販機が並んでいるところなんて見たことがないぞ!?

この自販機コーナー、もともとはタイヤ交換中の待ち時間を過ごしてもらうために置き始めたのだそう。すでに部品の供給が終了しているものがほとんどのため、独自に修理・メンテナンス・商品の調達を行っているというのだから驚くしかない。


・人気の商品を買ってみた

まずは長い列ができていたうどん・そばの自販機から購入してみることにした。価格は400円。ゆっくりと硬貨を投入してボタンを押す。


「ブゥゥゥン」という音とともに自販機が動く。ニキシー管のカウントダウンは、今が令和だって信じられないようなほんのりとした光。趣があって最高だな。


時間が来たら、勢いよくうどんが排出される。容器は柔らかな樹脂製。なみなみと入っていて熱いので、特に小さなお子さんが購入する場合は気を付けてね!


ジャジャン! こちらが完成したうどんです!!

筆者自身はこの自販機が現役だった頃はまだ物心がついていないのだが、素朴でシンプルな味に思わず懐かしさを感じた。絶品とは言い難いけどなんとも言えない味があるのだ。

なにより数十年前に誰かが食べていた味にそっくりなものを、現代人の自分がたったの400円で食べさせてもらえるという体験はプライスレス。一種のタイムマシンと表現しても過言じゃない。


続いては、同じく人気を集めていたハンバーガーの自販機。価格は280円。安い!


フィッシュバーガー、エビカツバーガー、チキンカツバーガーの3種類があったので、チキンを選んだ。


しばらく待つと、手のひらサイズの小箱が落ちてきた。オリジナルの外箱はすでに製造終了しているはずだが、当時っぽい雰囲気が醸(かも)し出されて素晴らしい。


開けてビックリしたのが、猫舌の筆者ではかじることすらできないほどアッツアツに加熱されていること!

思い返してみると、昔の自販機の加熱ってオーバーパワーだったような気がする。「あったか~い」の表示のコーンスープを買ったはずが熱すぎて、ヒィヒィ言いながら爪だけで缶を持とうとしていた幼少期の記憶が掘り起こされてしまった。


パンとチキンのモソっと感が良い意味でチープ。すごくテンションが上がるぜ! レトロ自販機で買うからにはこういうのを求めていたんだよ。ドンピシャで希望通りの味が出てきて嬉しくなった。


最後はボンカレーの自販機に挑戦してみよう。価格は400円。

ちなみに写真の男性、野球選手なのだと思っていたら落語家の三代目 笑福亭仁鶴(しょうふくていにかく)さんなのだそうだ。


温まって出てきたのは、ボンカレーのパッケージが印刷された包み。


中身はルーとご飯とスプーン。そっけなく見えるほどシンプルだが、それが良い。


もちろん味は普通のレトルトカレー。チキンカツバーガーと同様にアッツアツで、フゥフゥと息を吹きかけながら食べた。

外の風に吹かれながら食べる、昭和の自販機から出てきたボンカレー。特別じゃないけど、特別。プライスレスな美味しさであった。


・中古タイヤ市場相模原店を楽しむポイント

それでは記事の締めとして、筆者が実際に訪れて感じた中古タイヤ市場 相模原店をスムーズに楽しむための4つのポイントをご紹介しよう。

①硬貨をたくさん用意しておこう

店内に並ぶ自販機の多くは10・50・100円玉しか受け付けてくれない。お札はもちろん500円玉すらも使用不可だ。


一応両替機が1台あるのだが、1000円札 → 100円玉のみ。硬貨切れになる可能性もあるし10円単位での商品も多いので、スムーズに買い物をするためにはあらかじめ用意して来る方が良いだろう。


②お手拭きがあると便利

うどん・そばの自販機をはじめ、レトロ自販機たちは繊細な作業が苦手。容器からあふれたり、垂れていたりということも珍しくない。

店内には手洗い場もあるが、特に週末は人が多くて混雑しがち。ササっと手を拭けるお手拭きやウエットティッシュを用意しておくとスマートだ。


③気になる商品は早めに買おう

定期的に商品補充があるようだが、人気の商品は売り切れの可能性もある。人が多い日はタッチの差で買えないことだってあるだろう。実際に筆者は天ぷらうどんを買い損ねた。

気になる商品やお目当ての品がある場合は早めに購入しておくのが吉だ。


④ゆっくり丁寧に扱おう

現代の自販機とは違い、古い自販機は素早い処理ができないタイプが多い。硬貨を入れたりボタンを押したりするときはゆっくり丁寧にしてあげることで、コイン詰まりなどの故障を防ぐことができる。

なお不具合が起きた場合は、中古タイヤ市場が営業している時間であれば対応してもらうことが可能。慌てず店内に掲示された電話番号へ連絡しよう。筆者もボタン不調の際に対応をしてもらったぞ。


──以上がスムーズに楽しむためのポイントだ。基本的には観光客ウェルカムな雰囲気&自販機の台数が多いため、人が多くても快適に過ごしやすい環境が整っていると言えよう。レトロな雰囲気に心も身体もどっぷりつかって楽しんじゃおう!

参考リンク:中古タイヤ市場
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼表の看板には本業である『中古タイヤ市場』の文字。

▼タイヤ交換の作業場の傍(かたわ)らにも……レトロ自販機!

▼うどん・そばの容器は持って帰らず必ず返却すること!

▼回転式の自販機。

▼8秒経ったら扉が閉まって商品が取り出せなくなるため、購入するにも緊張感がある。

▼たばこの自販機の中にはココアシガレットなどのラムネ菓子。

▼カップヌードルの自販機だけでもこんなに種類がある。

▼ダイナミックな配置のアイスの自販機。

▼おみくじの自販機。神社で見たことがあるような。

▼インスタントカメラの自販機。スマホやデジタルカメラが一般的になる前は、どこに行くにも『写ルンです』を持って行ってたなぁ。

▼今はなき1Lペットボトル(瓶?)の自販機。

▼コイル式の自販機は現在もよく見かけるが、ここに置かれているのはどれも結構古いタイプだ。

▼ダイドーの自販機は昔から当たり付きなんだな。

▼なんてこと。ジュークボックスまであるぞ!