脱ハンコが盛んに叫ばれるが、筆者がピカピカの社会人一年生だった時代の “できる” 総務担当者は、魔法の箱をもっていた。中身は各種の名字を取りそろえた印鑑。急ぎの書類があるのに担当者が不在のときもあら不思議、その人に頼むと処理が終わるのだ。コンプライアンス滅茶苦茶だったな。
いまもそんな習慣があるか知らないが、「ハンコ置いていって」と頼んでも忘れて出かけてしまう営業職などに苦労している総務担当者もいるかもしれない。
でももう大丈夫だ。汎用性バツグン、最強のハンコがカプセルトイで出たからな!
・「ハンコの反抗期2」(全5種/300円)
カプセルは最近よく見る「外装そのものが商品の一部」となっているタイプ。従来よりも封入アイテムを大型化できるのが特徴だ。
手のひらサイズの半球体で、キャップを外すと赤いインクの染みたスタンプになっている。
さっそく押してみると……
なんと! これひとつで10人もの社員をカバー!
佐藤、鈴木、高橋とメジャーな名字は網羅しているから、誰か一人くらいは目的の人物が入っているだろう。本人が出張中でも病欠でも退職済みでも安心だ。もうバラバラにシャチハタを買い集める必要はないぞ。あ~~~よかった!
ところで、人の名前を表記するときには気をつけなければならない漢字がある。たとえば「高」と混同しやすい「髙(通称:はしごだか)」。
本人は慣れきっているので「いちいち訂正するのも面倒だから」と黙認するパターンも多いと思うが、本来、書き間違いは大変失礼なことである。
もっとも不遇なのは「ワタナベ」だろう。ちょっと考えるだけでも「渡辺」「渡部」「渡邊」と、ものすごい種類の漢字がある。文房具屋で汎用のシャチハタを買おうとしても、正しいものがなかったりするんじゃないだろうか。
でも、もう大丈夫。
これだけあれば、どれかは当たるだろ!
続いてはこちら。企業や組織の公的な印章である角印。まあ、だいたい「篆書体(てんしょたい)」とか「吉相体(きっそうたい)」とかで、なにが書いてあるか読めない。違う社名が押されていても気づかないだろうし、上下逆に押されているミスも “あるある” だ。
………………迷路だった。
……そろそろ各方面から怒られそうな気がしてきた。しかし、ようやくマトモっぽいのが出たぞ。ちゃんと一人分の印鑑で、「山本」だそう。
が「左右対称ではありません、よく見てね」と注文がある。
なるほど、山本、田中、山口、一関など一見すると左右対称の模様のようにも見える名字たち。しかし漢字には正しい書き順と「とめ・はね・はらい」で表現される美しい字形がある。
印影には漢字の美が詰まっている。決して右から書いても左から書いても同じ機械的な記号ではないというアンチテーゼ…………なのか?
最後に出たのは印鑑というよりもスタンプかな。
なんとこちら、ひとつのハンコで「安藤」にも「森井」にも「田村」にも「本木」にも「安斉」にも「藤田」にもなる! 付属のリーフレットには「意外に便利だ!」の文字。
なんという効率化! なんという汎用性!! みんなでハンコを共有できるぞ。へえぇぇぇぇぇぇぇ……。
以上全5種! 手に入ったら事務処理がはかどること請け合いだ(嘘)。2022年9月の第4週から店頭に並び始めたので探してみてくれ。ちなみにバンダイの公式サイトには「企画担当もびっくり!」とある。ええ、うん、きっとそうでしょうね。
参考リンク:ガシャポンオフィシャルサイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.