皆さんは「ドラゴンポテト」をご存知だろうか。ジャパンフリトレー株式会社から販売されているポテトチップスである。
かつて筆者は「美味しいポテトチップスがある」という評判とともにその不可思議な商品名を耳にし、つい伝説上のポテトチップスだと思い込んでしまったのだが、最近になって実在すると知ってからは様々な店舗を探して回るようになった。しかし全く見つけられずにいた。
「やはりこの地上には存在しないのでは」と思いかけたその時、通販サイトで箱売りされているのを目にし、伝説は完膚なきまでに筆者の脳内で終幕した。と同時に、それは初実食レビューへの道が開けた瞬間でもあった。
実在するとはいえ、実店舗ではかなりレアめの商品であり、「知る人ぞ知る」感漂うこのポテト。Amazonにて12袋入り1589円で購入することができた。ちなみに味はコクしお、オニオンコンソメ、うまチリなどがあったが、今回は定番とおぼしきコクしお味を選んだ。
ずらりと並ぶ「ドラゴンポテト」のうち1袋を手に取ってみれば、渦を巻いたようなポテトの画がパッケージに載っている。このエッジの利いたデザインこそ、竜の名を冠する所以である。
実際、袋を開けると独特の渦巻き状のポテトが大量にひしめき合っていた。見慣れない光景ゆえに「わぁ、美味しそう」となるには至らなかったが、しかしワクワクはしていた。
いわゆる「出オチ」的な商品だったらどうしようという不安もありつつ、それを上回る期待があった。この形状でいて評判通りの美味しさであったなら、確実に自分にとって記憶に残る商品になるだろうという、まさしく目の前のポテトのようにねじくれた期待が。
そして、その期待は現実のものとなった。いや、期待以上だった。「ドラゴンポテト」は今までに見たことのないポテトでありながら、今までに食べたことのないポテトであった。
口に入れた瞬間は、舌をツンと刺すような塩味がした。が、塩味は早々に引き際を見極めて退いていき、後には何とも形容しがたいコクが残った。加えてその変化と呼応するように、最初は適度にサクサクとしていたポテトが、次第にジュワリと溶けていったのだ。
味と食感。この2つの要素が、「ドラゴンポテト」を期待以上の遥か高みへと押し上げていた。味に関してはパッケージ裏に「チキンと昆布の旨味」との記載があったので、そうした味わい深いエッセンスの調和が、高みへの一翼を担っているのであろうことは想像しやすい。
では食感に関してはどうかと言えば、さんざん言及してきた渦巻き状の形状が寄与しているのかもしれないし、していないかもしれない。正直わからない。ともかく事実としてこのポテトはまろやかな口溶けを備えており、それが旨味と組み合わさった時の相乗効果は果てしない。
「何だこの味は」「何だこの食感は」と繰り返し口に放り込むうちに、すっかり1人の中毒者が出来上がっていた。時おり「もはや何だこの形は」というポテトが紛れ込んでいるのもご愛敬である。目と舌で楽しみ、堪能しながら、袋の中身を空にしていく。
よくよく振り返れば、初実食の菓子を箱買いするというのは相当に勇み足だったが、一寸たりとも後悔はしていない。今や渦巻いていないポテトを見ると違和感を覚える程度には「ドラゴンポテト」の虜である。
もし皆さんの中に「ドラゴンポテト」を食べたことのない方がいたら、ぜひ入手してみてもらいたい。奇抜なだけではない、高水準のクオリティがあなたを待っているはずだ。
筆者は残りの11袋を、じっくりと味わっていきたいと思う。伝説とは言わないまでも、現実離れした味と食感が織りなす、めくるめく美味の螺旋に呑まれて。
参考リンク:ジャパンフリトレー株式会社「ドラゴンポテト コクしお味」、Amazon
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.