皆さんはキャラクターや動物を模した食べ物をためらいなく食べられるだろうか。筆者はうさぎさん型のリンゴやタコさんウインナーの形を崩して食べていくことに抵抗感がある。まして人や動物の「顔」が描かれたものならば なおさらだ。顔の部分は切ったり崩すことすら出来ない。

にもかかわらず、推しキャラクターがプリントされたホールケーキが発売され、つい勢いで買ってしまった。しかしキャラクターの顔、ましてや推しの顔を切ったり崩したりなんて絶対に出来ない……! ということで、プリントされた顔を死守するケーキの食べ方を模索してみたよ。

・そのままでは避けられない悲劇

数多くのキャラクタープリントケーキを通販している『プリロール』より、人気ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』のプリントケーキが販売されている(税込定価4320円・フォーク付きは4914円)。そして2021年7月21日、筆者の推しキャラ「水心子正秀」をはじめ新たに9振りがラインナップに追加された。

推しが描かれたケーキを見たい一心でつい購入してしまったが、冷静に考えると推しを食べなければならない。サイズは5号で直径15cm、高さは7cmもあるため、普通に切り分けて食べようとすると確実に推しの顔をフォークで崩すはめになってしまう。

ケーキと一緒に送られてきた食べ方の紙には、カット方法として「包丁をお湯で温め、刃の水気を拭いてカットする」ことしか書かれていなかった。普通のケーキと同様にカットするしかないのだろうか。

冷凍されている状態でケーキが届いたため、そのままケーキの上部だけを薄くスライスしてみようかとも思った。しかし、持ち上げた時にふわふわのスポンジが耐えられる保証はない。スポンジが崩れ落ちてしまった場合、プリント部分もともに崩壊してしまうだろう。

イラストの周りに細かくナイフを刺していき、イラスト部分をくり抜くことは出来ないか──とも考えたが、プリント部分は何だかプニプニと波打っている。もしかしたら柔らかく、ナイフを刺すとスポンジと共にぐにゃんとめり込んでしまうかも。崩壊が怖くて刺せない……!

昨今こうした「イラストや写真が大きくプリントされたケーキ」はよく見かけるが、やはり諦めて涙を飲みながら顔を崩して食べるしかないのだろうか。我々は、キャラクターの顔を崩すという悲劇に打ち勝つことは出来ないのだろうか……。


・お客様の知恵

諦めて普通にカットしてしまう前に、ケーキの販売元である『プリロール』へキャラクターの顔を崩さず食べる方法がないか聞いてみることにした。数多のキャラクタープリントケーキを販売しているプリロールさんならば、何か秘策を知っているに違いない!


プリロール「いや、オススメの切り方や食べ方は特にないです。普通に切って食べていただくしかないですね……」


何という無慈悲な世界……! やはりもう、推しの顔を崩して食べるという悲劇を受け入れるしかないのだろうか。諦めかけたその時。


プリロール「ただ、これは弊社のオススメではなくお客様から聞いた食べ方なのですが……。イラストがプリントされたシートのみを剥がして下のケーキを切り、剥がしたシートをお好みで切って食べると顔を崩さずに済むそうですよ


えっ、そうツルンと剥がせるものなのか、イラスト部分。

実はプリロールのイラスト部分、よくケーキの上に乗っている食べられるお人形などと同じ「マジパン」という素材で出来たシートで、そんなにヤワではないらしい。上手くシートを外せば、あとは顔周りを損なわず一口で食べられるサイズにカットすることも自由自在というわけだ。

ということで早速イラスト部分を剥がしにかかる。

イラスト部分の下にナイフをそっと差し込み、ゆっくりとケーキからシートを剥がしていく。手応え的には簡単に破れなさそうだが、ふにゃんと湾曲するほどの柔らかさではある。破ってしまわないよう、慎重にナイフを動かす。

シートをケーキから剥がすことが出来たら慎重に持ち上げて、別のお皿へ。

こうして、完全にイラストとケーキを分離させることに成功。ケーキ部分は、これでもう何も気にすることなく普通にカットすれば良い状態となった。

イラストがプリントされた部分も、分離してしまえば厚さ数ミリほどの柔らかいシートだ。キャラクターの顔部分を崩さず、シートを一口で食べられる大きさに切り分けていけばいいだろう。

とはいえ推しが描かれたシートをナイフで切っていくことに若干の罪悪感と抵抗感は覚えつつ……

なんとか推しの美しいお顔を損なわず、顔部分を一口で食べられる大きさへ切り分けることに成功した。

あまり推しを見つめていると食べられなくなってしまいそうなので、ひと思いにいただきます!

……推しは甘く、ほんのり爽やかな酸味も効いていて美味しかった。噛んでいる時は罪悪感を抱いてしまいそうだったが、崩れていくところを見なくて済んだためか、思いのほかスッキリといただけた。ありがとう、お客様の知恵!


・中には黄桃が

イラスト部分にばかり言及してしまったが、もちろんケーキも美味しくいただいた。生クリームの甘さが程よく、スポンジは軽めで甘酸っぱい黄桃が挟まっていたため、しつこさは感じず軽やかな食べ心地だったよ。黄桃が半解凍ぐらいで食べるのが、暑い時期にちょうど良かった。

実は筆者、推しの親友「源清麿」というキャラクターも推しと同じぐらい好きなので、推しのケーキとともに同時注文していたのだ。そのため、5号サイズのケーキを2ホール食べなければならない筆者にとって、しつこさを感じず食べやすい軽やかさはとてもありがたかった。

2ホール目も今回と同様の方法で、キャラクターの美しいお顔を崩さずに美味しくいただきたいと思う。

参考リンク:『プリロール』公式HP
執筆:伊達彩香
Photo:RocketNews24.

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