新宿駅南口改札内の「駅弁屋 頂(いただき)」では、全国あちこちの駅弁を販売している。けっこうボリューミーなものから、おかずのみの “おつまみ駅弁” まで種類は豊富。今回購入したのはズバリ後者で……有名駅弁のおかずだけが入っているコンパクト弁当だ。 

創業100年越えの老舗駅弁メーカー「丸政」から1970年に発売された『高原野菜とカツの弁当』……のチキンカツとナポリタンのみが入っている『丸政のチキンカツ』。ファミコンのカセットみたいなレトロなパッケージだが、こいつがマジで最高にうまかったぞ!

ローマ字で書かれた “YATSUGATAKEMEIBUTSU” がゲームタイトルに見える『丸政のチキンカツ(600円)』。冒険の舞台はもちろん八ヶ岳だ。太古の火山活動によって誕生した八ヶ岳は、荒々しい岩稜帯や原生林など、さまざまな表情を持つ山塊(さんかい)である。

ちなみにパッケージの側面もゲームタイトルのような雰囲気。もちろん弁当なのだが、1度「ファミカセみたいだな」と思ってしまうと、すべてファミカセみたいに見えてしまう。優勝はやはり正面のローマ字……見れば見るほどじわじわくる。

さて、箱の中身はカセットではなくカツだ。チキンカツが3枚とナポリタン、そして割り箸が入っている。これが『高原野菜とカツの弁当』であれば、ご飯はもちろん新鮮シャキシャキの野菜も楽しめるらしい。駅弁でシャキシャキ感を出すのは老舗ならではのテクだろう。

にしても……カツ3枚とは潔い。ナポリタンをクッションにして横たわる3枚、名物というだけあって、見た目はだいぶ爽やか。美しいキツネ色である。クラスの主役級男子3人が並んでいるようだ。

調味料はソース、マスタード、塩の3種類。たった3切れなのに至れり尽くせりの布陣ですね。定番でいくならソースとマスタードだが、上質なカツは塩も合うだろう。それぞれ試してみようではないか。


それでは、冷めたままいただきます。まずはソースとマスタードで……


うめぇ! 冷めてるのにうめぇ! 毎回「冷めていても美味しい」には驚かされる。本当にサクッと軽くてめちゃんこジューシー。でもって、しっかり味が濃い。なんなら冷めた状態がベストなのでは……と思ってしまうほど。よし、次は塩で……


……正解。マジで正解は「塩」だ。口に入れた瞬間、ラスト1枚は確実に塩でいくって決めた。つまりソース味でいただくよりも、塩で素材のうまみや甘みを引き立てて食べるのが正解だということ。これぞ “YATSUGATAKEMEIBUTSU” である!


ただ、ナポリタンはチキンカツと比べてしまうと、どうしても普通。主役級イケメン男子3人のせいで存在感は薄めだ。それでも弁当の中にいるだけで安心感があるし見た目的にも華やかになるから、おつまみ弁当のレギュラーメンバーとして大抜擢されたのだろう。

・恐るべし丸政

ロングセラー駅弁のおかずを楽しめる『丸政のチキンカツ』は、少数精鋭だからこそ強く印象に残る弁当となった。ファミカセパッケージからの実力派カツ……恐るべし丸政。

──というわけで気になった方は、鉄旅のお供としてはもちろん自宅でも職場でも、機会があればぜひ八ヶ岳名物を味わってみてほしい。3人で分け合ってもいいかもね!


・今回ご紹介した店舗の詳細データ

名称 駅弁屋 頂
住所 東京都新宿区新宿3-38-1 JR新宿駅内南口コンコース
時間 6:30~22:00
休日 無休

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.