コロナ禍で2度目の夏がやってきた。この場合コロナ禍というより「マスク禍」と表現したほうが正しいかもしれないが、ともかく昨年の夏は息苦しさで何度も倒れかけたものである。真夏の蒸れ蒸れマスク……想像しただけで気が滅入るなぁ。イヤだなぁ。

そんな初夏、マスク売り場で『YAKeNU(ヤケーヌ)』なる商品が大量に並べられているのを発見。見た目は普通のマスクの5倍くらい暑そうなのだが、パッケージには「ひんやりサラサラ」と記されている。価格は強気の1980円だ。何か秘密があるのだろうか?

・漂う異国感

「高遮熱 & UVカット」の素材を使用しているというヤケーヌ。パッと見は子供用水着と間違えそうなビジュアルである。

「鼻と口元を覆う布」と「口下から首まわりまでを覆う布」が重なる二層構造になっており……

さらに後方にマジックテープが付いていて首全体を完全に覆い隠している。これ1つで首まわりの日焼け対策は万全といえるだろう。着用してみると……




アサシン感がすごい。


ただしこれは、考えようによっちゃあ「アラブ女子」っぽくもある。中東圏の女性らが口元を覆う布は『ニカブ』と呼ばれ、我々は憧れにも似たエキゾチック・イメージを抱いているのだ。

「それならば」と、ホリの深い中東女性風のメイクを施してみた結果……


あんま変わんなかった。


だんだん忍(しのび)っぽくも見えてきたので、このさい判断は読者に委ねることにする。ヤケーヌは色や柄に様々なバリエーションがあり、ポップなデザインのものを選べばアサシンっぽさも減るだろう。たぶん。


・そんなことより

さて……インパクトの強さゆえ、つい「見た目」を先に語ってしまったのだが、ヤケーヌの真のスゴさはそこではない。実はヤケーヌの使い心地は、私がこれまで使ったマスクの中でダントツのトップ。控えめに言ってぶっちぎりナンバーワンだったのだ。

どれほど「通気性がいい」「冷感効果に優れた」と言われるマスクも、真夏に使えば結局は息苦しいもの。せいぜい「多少はマシかもしれない」程度である。そこへきてヤケーヌは、なんならマスクを着けてないより涼しいかもしれないレベルなのだ。こいつぁすげぇや!!

日差しの強い野外でもズンズン歩けちゃう〜♪


・しかし!

が…………ヤケーヌを使って2日たったある時、私は急に不安になった。これって、感染予防効果はどうなんだろう? 

冷静に見てみると、いくらなんでも布地がペラペラすぎやしないか? こんだけ薄けりゃ「そりゃ通気性もいいでしょうね」って感じだ。気になってパッケージをよ〜く読み返してみると……


「日焼け防止専用」…………!


・とんだ落とし穴

ヤケーヌの説明書きに感染予防や飛沫防止に関する記述はない。ただ「日焼け防止専用」というワードから察するに、おそらく一般的な不織布マスク等と比べると、そういった効果は低いと考えるのが妥当な気もする。

もちろんコロナ以前の世界では、夏場にマスクが必要になるなんて想像もしなかった。あるとすれば「日焼け防止」が最重要目的だったのだ。よってヤケーヌが日焼け防止専用であることに問題は何ひとつない。むしろ日焼け対策として積極的に利用したい。

ただ……このご時世、「マスク」と聞くとつい「感染予防のマスク」を想像してしまうのは、きっと私だけではないはずだ。穴あきマスクだけに “とんだ落とし穴” と言えるだろう。つまりコロナ禍の今夏、ヤケーヌが活躍する場面として考えられるのは……


・周囲に人がいないとき
・畑仕事などをするとき
・一般的なマスクとダブル使いで日焼け防止に


……と、いったところになるのだろうか。密な場所での使用には注意が必要だが、日焼け対策としては大いに活躍しそうなヤケーヌ。状況によってうまく使い分けてゆきたいと思う。あ、もちろん忍(しのび)っぽくなりたい人にもオススメだぞ〜!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.