2018年9月の発売以降、年間売り上げ5600万個という悪魔的ヒットを飛ばしたローソンの『悪魔のおにぎり』。一時はローソンの全おにぎりで1位の売れ行きを誇り、派生商品も続々と発売された。毎日食べたいってわけじゃないが、たまに無性〜に食べたくなる味なんだよね。

ところが……! 完全に定番商品化と思い込んでいた『悪魔のおにぎり』が、最近どこの店舗にも売っていない。「まさか」と思いローソンに問い合わせてみたところ……「現在は販売していない」との回答だ。

おまけに今後の販売予定も「現在のところ未定」なのだという……マジかよ! 食べられないと思うと死ぬほど食べたくなってきちゃっただろ!!!

 ・静岡名物『たぬきむすび』

意気消沈していたある日、秋葉原のドンキホーテでひときわ押しの強いポップを見つけた。


『静岡のソウルフード・たぬきむすびの素』……?


このようなマイナー商品を大量陳列とは、秋葉原ドンキの従業員に静岡出身者がいる可能性も否定できない。それはさておき……『たぬきむすびの素』を見た瞬間、私の脳裏に浮かんだのは「悪魔のおにぎりに酷似しているのではないか」という疑惑である。

それから『たぬきむすび』というネーミングについても、我々には思い当たるフシがあるはずだ。そう……

『悪魔のおにぎり』のマスコットキャラクターは “あくまでタヌキくん” ……つまりたぬきがモチーフのキャラなのである! これほど多くの類似点が出揃ったとなると、『悪魔のおにぎり』と『たぬきむすび』が全くの無関係とは考えづらいのではないだろうか?


・ローソンの人に聞いてみた

そこで私はローソン広報の人に電話。「『悪魔のおにぎり』の元ネタは『たぬきむすび』なのか」とズバリ聞いてみた。結果は…………グレー

ローソンの人いわく、コトの始まりは数年前。 “南極地域観測隊の隊員たちが夜食として食べていたおにぎり” のレシピがSNS等で話題になった。そこに目をつけたローソンの担当者が商品化にこぎつけたのが『悪魔のおにぎり』というワケなのである。

よってローソンの『悪魔のおにぎり』と『たぬきむすび』に直接的な関係はない。ただし “南極地域観測隊の人が『たぬきむすび』にヒントを得た” という可能性は十分にありえるかと思う。詳細を調べるのは困難だが、言うなれば両者は ”遠い親戚” のようなものかもしれない。


・静岡で愛され続ける定番の味

さて『悪魔のおにぎり』はネギと天かすを天つゆをご飯に混ぜたもの。対して『たぬきむすび』は……


ネギと天かすを天つゆをご飯に混ぜたもの!!!


基本的な構造はほぼ同じとみられる両者。 “悪魔のおにぎりロス” の救世主として、いやがおうにも期待が高まる。ちなみに『たぬきむすび』とは静岡の老舗レストラン『天神屋』の看板メニューらしく、これはそれを混ぜご飯の素として商品化したものだ。この日の購入価格は257円だった。

袋を開けるとおいしそうなダシのにおい! 乾燥ネギ、天かす、粉末というシンプル構造だ。

あったかご飯に混ぜると……

う〜ん、食欲をそそる香り〜〜〜!! こういう例え方は元も子もないが『緑のたぬき(東洋水産)』の匂いにそっくりである。あとは適当に握れば完成。果たしてお味は……

ムムムムッ…………おいしい! 『悪魔のおにぎり』と全く同じ味ではないが、料理名は完全に同一と言っていいだろう。コッチのほうがやや素朴な味わいであり、地元で愛されているのもうなずける。

そして不思議なことに、おにぎりが冷めるのと比例して、どんどんおいしさが増していくようなのだ。そういえば「本当にウマイものは冷めてからが本番」と誰かに聞いたような気もするな〜。 “悪魔のおにぎりロス” に陥っている人は絶対に購入することをオススメしたい。

ちなみに『悪魔のおにぎり』はローソン商品特有の呼び名であり、他店舗では同様のおにぎりを『たぬきむすび』として販売しているケースが多いようだ。まかないから生まれたという天神屋の元祖たぬきむすび……いつか静岡へ行ったら本物を食べてみたいなぁ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.