先日プレスリリースをチェックしていると、とても気になるタイトルが目にとまった。とあるトウモロコシについてのリリースで、そこには「マンゴーより甘い?!」とある。
ほほう、甘さの比較相手にマンゴーとは大きく出たものよ。マンゴーはフルーツ界隈でも中々に甘い方ではないだろうか? そこをトウモロコシでとは、かなりの強気。これは実際に食べて確かめるしかあるまい。
・汐風パール
そのトウモロコシは「汐風パール」というブランド。PR TIMESによると、糖度が18度から22度もあるのだそう。糖度計などを販売する株式会社アタゴのHPに掲載されているフルーツの糖度表によると、18~22という数値はスイカ(9~13)や桃(12~15)を余裕でぶっちぎっている。
そして名指しで比較対象に挙げられたマンゴーは14~17。糖度18~22というのはかなりのものと言っていいだろう。それを超えるのはバナナくらいだ。しかし糖度と人間の感じる甘さが、常に比例するとは限らない。
基本的に昨今「糖度」として表に出る数字はBrix値といい、対象物の糖類の含有量ではなく、対象に含まれる可溶性固形分の総量を計測したもの。純粋に糖分しか含まれていない物同士であればBrix値で甘さの比較もできるかもしれないが、果物や野菜には酸味や苦みの元になる成分も含まれている。
ゆえに、糖度(Brix値)が高い=甘いというわけではないのだ。その上で、件のトウモロコシは「糖度が高い」ではなく「甘い」という方向で勝負しようというのである。圧倒的な強気に期待が高まってしまう。
・白い
ということで、生産している株式会社松島農園の公式HPにて「お試し用6本入り」というものを購入。筆者が購入した時は税込み4570円。執筆時点(2021年5月7日)に再びチェックしてみると、税込み5000円になっていた。農作物なので、値段は変動するのかもしれない。
そしてクール便で届いたのがこちら。OH……思っていたよりワイルドというか、収穫されたまま感が半端ない。こんな状態のトウモロコシにお目にかかったのはいつぶりだろう。筆者のうろつく都内やその近郊では、基本的に真空パック状態か調理済みしか目にしない気がする。
そして生の状態を水で洗ったのがこちら。真っ白である。国内で最もメジャーなトウモロコシといえば、やはり黄色いタイプ。あれは黄粒種と呼ばれるものだが、「汐風パール」は白粒種に属するものと思われる。
プレスリリースでは薄皮を何枚か残した状態で茹でることを推奨しているが、今回は撮影のためにひん剥いてしまったので、このまま茹でてみよう。茹でると若干色が黄色くなったが、見慣れた黄色いトウモロコシと比べれば圧倒的白さだ。
・食べてみた
ではいよいよ、どれほど甘いのか食べてみようではないか。まずは一口……
あっまい……!!
ヤバいぞ! なんだこれは! 黄色いトウモロコシも野菜の中ではそれなりに甘い方だと思うが、そういうレベルではない。マンゴー相手にメンチ切ったのは伊達ではなかった。
その辺で売られているリンゴやパイナップルなどよりもガチに甘いぞ……! また、これは鮮度の関係もあるかと思うが、かじるたびに粒が弾けて、甘い汁が飛び散りまくる。
恐ろしくジューシーだ。圧倒的ジューシーさと甘さで、絞ってジュースにでもできるのではないかとすら思う。こんなトウモロコシがあったとは……スゴいなぁ。というか、甘すぎて逆にトウモロコシ感が無い。
白いトウモロコシというよりは、トウモロコシ的な外見の白いフルーツという認識で食べた方がいいかもしれない。なお、生で食べてもイイらしいので試しに齧(かじ)ってみたが、確かにそちらもイケるもよう。
ボイルよりシャキシャキ感が増すが、甘さは茹でた場合よりも劣るだろうか。味を何かに例えるなら、汁がクリーミーになったサトウキビみたいな感じ。イケることはイケるが、茹でた方が個人的には好みかもしれない。甘さを抑えてシャキシャキ感を活かしたい場合に良さそうだ。
ということで、「マンゴーより甘い?!」という強気なキャッチの白いトウモロコシ「汐風パール」。正直なところ当初はデカく出たなぁと少し懐疑的だったが、その甘さはガチだった。味自体も美味しいので、ちょっと変わったトウモロコシを食べてみたいという方は、是非食べてみて欲しい。本当に驚く甘さだ。
参考リンク:株式会社松島農園、PR TIMES、株式会社アタゴ
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.