負ければ地獄。勝てば次の地獄。今年開催される『RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント』では、全16名のファイターがトーナメント形式でバンタム級王者を争う。1回戦は5月30日に大阪、6月13日に東京で行われる予定だ。

ちなみに、東京ドームで総合格闘技イベントが開催されるのは18年ぶり。開幕を待ちきれないファンは多いだろう。そこで今回は、優勝候補の一角と目される扇久保博正選手の素顔に迫るべく、毎週末に行われているというYouTube撮影に同行した。そこで見た驚くべき光景とは!

・扇久保博正選手

扇久保選手といえば、極真空手をベースに持つ異色のグラップラーで元修斗世界王者。RIZINでは「バンタム級四天王」などと呼ばれているが……その強さの一方で、YouTubeチャンネル『おぎちゃんねる。』の再生回数がまったく伸びていない。

原因を探るべく、扇久保選手に指定された河川敷へ。なんでも「今日は天気が良いので特別な撮影をする」そうだ。特別な撮影とは一体……緊張感の漂う現場に到着するや否や「ついて来てください」と扇久保選手。大会前だからなのか、かなり険しい表情を浮かべている。

もしかすると極秘特訓が行われるのかもしれない。平日は道場で1日中練習、週末は屋外で特別トレーニング兼YouTube撮影ということだろう。さすが四天王、背中からチャンピオンのオーラがにじみ出ている……と、思っていたのだが



扇久保選手「天気が良いので、筋斗雲を呼びます」


・おぎちゃんねる。に密着

ウソだろおい……確実に頭イカれてるじゃねえか。筋斗雲(きんとうん)とは、おそらく漫画『ドラゴンボール』に登場する “雲の乗り物” のこと。扇久保選手が主人公・孫悟空の格好をした時点で嫌な予感はしていたが「筋斗雲を呼ぶ」は想定外である。

──いや、これはトーナメントの「負ければ地獄、勝てば次の地獄」と同じ地獄を自ら生み出して “地獄慣れ” するためのトレーニングなのかもしれない。

となると、「YouTubeチャンネルの再生回数が伸びない」というのも作戦ということか。まさに勝ちに徹するファイターの鏡……そこまでするのか、扇久保博正という男は。

当然、いくら呼んでも、空を見上げても、筋斗雲はやってこない。扇久保選手に促されて、私も「筋斗雲よーい!」と叫んでみたが、もちろん筋斗雲が来るわけはなく……しっかりスベって地獄を味わうことができた。死の感覚を味わったと言っても過言ではないだろう。

・拳闘士ガチンコファイトで勝負

さて、スベったまま帰るわけにはいかないので、無敗を継続している『拳闘士ガチンコファイト』で扇久保選手と勝負することに。まずは私の強さを証明するため、藤田ブロディ選手と対戦。爆発力を誇るファイターに対し、ここはしっかり冷静に勝利を収めたい。

オラオラオラオラーッッ!

よしゃあああああーッッ!


・ベルトをかけた戦い

さあ、いよいよ扇久保選手と対決である。大会前の調整中に申し訳ない気持ちはあるが……筋斗雲でスベった恨みだけはきっちりと晴らしておきたい。なお、扇久保選手もガチンコファイトで無敗中とのことなので、この勝負は「ベルトをかけた戦い」と言っていいだろう。

絶対に負けられない戦いいいい!

てか、絶対に許さねえええええ!


という激闘が数分間続いたが、勝敗の行方は判定へと持ち越され……結果は、扇久保選手の勝利。クソオオオーーッ!

さすがRIZINファイター、四天王の強さは本物であった。おそらくこの調子なら、トーナメントの結果も期待できるはず。ただ、ユーチューバーとして活躍するには、もう少し時間がかかるだろう。

・RIZINバンタム級トーナメントに注目

RIZINバンタム級トーナメントは、今年最も注目される格闘技イベントの1つだ。扇久保選手の対戦相手は、日本バンタム級の裏番長、春日井 “寒天” たけし選手。過去に判定勝利しているものの「これまで戦った選手の中で、手強かった相手の1人」として挙げている実力者である。

そんなわけで、トーナメントは1回戦から激戦が繰り広げられるだろう。格闘技ファンはもちろんそうでない方もぜひ注目してほしい。また、興味があれば『おぎちゃんねる。』もチェックしてみてくれよな!

参考リンク:YouTube「おぎちゃんねる」 / Yogibo presents RIZIN.28,used with permission.
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24 / ⒸRIZIN FF

▼筋斗雲を呼んでみた

▼拳闘士ガチンコファイトバトル

▼RIZIN.28「負ければ地獄、勝てば次の地獄」

▼扇久保博正選手「バンタム級トーナメント」1st ROUNDについて

▼vs.堀口恭司選手

▼vs.元谷友貴選手

▼vs.石渡伸太郎選手

▼vs.朝倉海選手

▼vs.瀧澤謙太選手