だいぶ唐突ではあるが、この前「サハラ砂漠の民」として知られるベルベル人から、車で砂漠を走る際の注意点を教えてもらった。そもそもこの先、車で砂漠を走行する機会があるかどうかはさておき「なるほど面白いなァ~」と思ったので皆さまにも共有したい。

もし今後どこかの国で「砂漠ツアー」に参加することがあれば、ドヤ顔で知識を披露できるかもしれないしコッソリ安全確認もできるだろう。てか注意を怠ってしまうと、砂漠で動けなくなる可能性は大。いざという時に使える豆知識なので、しっかり覚えておくように。

・ガソリンスタンドに立ち寄って……

もったいぶらずに結論を言ってしまうと、彼らは砂漠を走る前と走った後に必ずガソリンスタンドに立ち寄る。ガソリンが尽きたら死ぬから絶対満タンに……という話ではなく(もちろんガソリンが尽きたら絶望的だが)、タイヤの空気圧を調整するためだ。

どうやら砂漠を走る前には、タイヤの空気をちょっと抜くらしい。つまり「空気圧を低くする」ということ。舗装された道路を走ることを前提とした「指定空気圧」のまま砂漠を走ってしまうと、サラサラした砂にタイヤが沈み込んでしまうらしい。

そこで空気を抜くとタイヤは少しつぶれた状態となり、地面との接地面積が増えてグリップ力が向上するのだとか。なるほど勉強になる。数値を見てもよくわからなかったが、通常の6割~5割程度までブシューッと空気を抜くそうだ。

さらに聞くところによると、あの世界一過酷なモータースポーツ「パリダカ(パリダカールラリー)」においてもタイヤの空気圧調整は超重要で、なんなら車内から空気圧を調整できるスイッチなんてのも普通にあるらしい。

ただし言うまでもなく、空気を抜いたまま舗装された道路を走行するのは超危険。タイヤを痛めるだけでなくハンドリングが不安定になり、パンクやバーストを起こす可能性も高い。砂漠エリアから出たら指定空気圧に戻す必要がある。ふたたびガソリンスタンドへ。まあ当然か。

まとめると、車で砂漠を走る前にタイヤの空気を抜くことで、ベタッベタッと歩くラクダのように走行が安定するということ。とはいえ、運転は慣れたドライバーに任せるのが良いだろう。ラクダも車も見事に扱えるベルベル人は、さすが「砂漠の民」であった。

Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼砂がパウダー状のため、油断をするとすぐにタイヤが沈んでしまう