初めての体験は誰でも怖いもの。ましてや自分の体内にカメラが入るだなんて、ほとんどの人が不安に思うに違いない。私、P.K.サンジュンは人生初の「内視鏡検査」を受けるにあたり、検査の数日前からドキドキが止まらなかった。

なにせ私が受ける大腸内視鏡検査は、お尻からカメラを入れるのだ。人体的な構造では出す一方の肛門が、ある意味で逆流するワケである。迎えた検査当日、結果的に私が最もキツかったのは、予想外のアレ。正直もう2度と “アレ” だけは勘弁して欲しい……。

・人生初の内視鏡検査

なぜ私は大腸の内視鏡検査を受けることになったのか? 詳細についてはこちらの記事をご覧いただきたいが、簡単に説明すると9年前に母を大腸ガンで亡くしているからである。ガンが遺伝するのかはわからないが、用心するに越したことは無いハズ。イヤイヤながらも私は人生初の内視鏡検査を受けるに至った。

当然、内視鏡検査の概要は知っていたし、複数の知人からは「大したことないよ」とも聞いていた。一方で「カメラが腸のコーナーを曲がるときの感覚がキツイ」「尻がヤバかった」「口からオエッとなる」……などと、ネガティブな声があったことも事実。私は震えながら検査当日を迎えた。

・検査自体は…

さて、少々唐突ではあるが、ここで結論を申し上げてしまおう。あくまで個人的な体感ではあるが、私的に「内視鏡検査」自体は余裕のヨシオさんであった。むしろ楽勝。痛くもなければ苦しくもなく、検査を終えた私は率直に「俺ったら心配しすぎィィイイイ!」と感じた次第だ。

当然、検査中は常に排便しているかのような感覚はあったし、腸の中をはいずり回るカメラが気持ちいいハズがない。だが「思ったほどツラくもなかった」というのが私の正直なところ。少なくとも “アレ” に比べれば、検査自体は屁でもなかった。

逆に私はアレがキツすぎたせいで、検査を余裕で乗り切れたのかもしれない。さあ、そろそろアレの正体を明かしてしまおう。私がとにかくキツかったのは、検査当日に飲む腸管洗浄剤……その名も「モビプレップ」である。マ・ジ・の・マ・ジ・で! モビプレップはキツかった。

・腸管洗浄剤「モビプレップ」がツラすぎた

内視鏡検査を受けるにあたり下剤的な薬を服用することはもちろん知っていたし、過去にはバリウム検査の後に経験はあるため、下剤そのものに対するマイナスイメージはない。……が、モビプレップと出会った直後からイヤな予感はしていた。なぜならモビプレップは「ゴリラ用?」と思うほどの特大サイズだったからだ。

前日に飲む下剤「ラキソベロン」は手に収まるサイズだったため何とも思わなかったが、モビプレップはとにかくデカかった。なんと1パッケージの総量は2リットル──。2リットルもの下剤など真面目な話、ゴリラ用ではないのか? 私は戦う前からモビプレップに圧倒されていた。

・モビプレップ地獄

そして検査当日の朝。私はパッケージに2リットルの水を注ぎ、モビプレップを用意した。前日に服用したラキソベロンがイイ感じに効いており、いつでもトイレに駆け込めそうなコンディションである。後はモビプレップを飲みながら全てを出し切るだけ。私は「こんなに飲むのかよ」と思いつつ、モビプレップを口に含んだ。すると──。


まっっっっっず!!!!!!!!!!


そう、私を苦しめたのはモビプレップの味そのもの。お腹が痛いとかトイレに行きっぱなしがツライなんてことではなく、とにかくモビプレップは信じがたいほどマズかった。あくまで薬なので味には期待していなかったが、そうも言ってられないほどモビプレップは激マズである。

味としては「我慢すれば飲める食塩水」と言った感じで、ほのかにスポーツ飲料水系の香りが付いている。別の表現をするならば「海底人のポカリ」とでも言おうか。地上に住む私にとってはとにかく塩分が強すぎ、口に含むと嗚咽が出るほど味は最悪であった。

さらに追い打ちをかけるように、病院から渡されていた説明書には「200mlを10分間かけて飲んでください。それを10回」と記されているではないか。激マズな薬を一気に飲むことは許されず、逆にゆっくりと飲まなくてはいけない地獄。個人的には内視鏡検査自体よりも遥かにツラかった……いや、ツラすぎた。


・絶対に覚えておいた方がいいこと

あまりのマズさにモビプレップをSNSに投稿したところ「わかります」「検査よりそれがツラいんですよね」といった複数のコメントをちょうだいした。どうやらモビプレップのマズさは今に始まったことではなく、一部ではまあまあ知られた話であるらしい。

また、中には「氷などで冷やすとだいぶマシになる」といったコメントもチラホラ見受けられた。実際に試してみたところ、ほう……なるほど。確かに常温よりは味を感じにくくなり、嗚咽は出ないレベルまで飲みやすくなる。「モビプレップは冷やして飲む」コレは覚えておいた方がイイ。

結果としては1リットルを飲み切ったあたりで腸の中はキレイになったため、モビプレップを飲み干すことはなかった。そういう意味ではモビプレップの効き目は疑いようがないほど完璧。問題は味……。薬なので多くは期待していないが、少しでもモビプレップの味が改善されることを願わずにはいられない。

というわけで、人生初の内視鏡検査は検査そのものよりも「モビプレップ」が強く印象に残った次第だ。先述のように、あえてモビプレップを激マズにすることで「検査自体を楽に感じさせる作戦説」もあながち間違いではない……気がする。モビプレップ、なかなかの衝撃であった。

参考リンク:EAファーマ株式会社「モビプレップ」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.